- Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591149102
感想・レビュー・書評
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可もなく不可もなく、極普通の青年・芯(木山芯輔・きやましんのすけ)が、主人公・・・というと、"平凡って面白みが無いってことでしょ"と思われそうだけど・・・実はそれが彼の魅力なのです。
ほどほどに優しくて、ちょっと冷めていて、可愛いのです。
なんたって、脇を固める面々が少々個性的だから。
その個性もまたちょっといいのです。
真面目に一生懸命に生きているのに、なぜかうまくいかないと思っている不器用な人々の物語です。
そんな優しい物語は、大好きです。
芯の祖父、祖父の同級生の福田さん、美千代さん、そして、陽子さんの「我儘を言い合い、聞き合う互助会」がとっても素敵。
『誰かを喜ばせたい、というようなきもちは結局のところ、最大の我儘なのかもしれない、・・』
"ありがた迷惑"という言葉がありますが、ここのみんなは、優しくて、その上わきまえている。
『芯くん。きれいな花が咲いている、って言ってみなさい』
『きれいな花が咲いている、って声に出して言うと、笑ったみたいな顔になるの。しかめっ面しては、言えない言葉なの』
『誰かの助けになれるとか、そんなものは一緒に倒れる覚悟がある相手にしか、ほんとうは言ってはいけないことなのだ』
『愛嬌(あいきょう)と云うのはね、自分より強い者を斃(たお)す柔らかい武器だよ。』
本当にそうですね。相手はたおされたことに気付かない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大通りから入った閑静な地に佇む通称「ミナトホテル」は、大正末期に建てられたキャラメルのような見た目の宿泊施設だ。館内には四季折々美しい花が飾られ、骨董家具が設えられた六つの客室は防音仕様。看板を出していないのに、人知れず「眠れない」「食べられない」お客が集い、時には長期で滞在する者たちも―。誰かと繋がりあうことのよろこびを、やさしく温かく力強く紡ぎ出した、心に響く物語。
歳をとっても支え合える友人関係っていいな。
「我儘を言い合う互助会」を結成し、定期的に会っていた4人のうち、陽子さんが亡くなった。その一周忌を執り行うために、メンバーの1人である木山の孫(芯)が借り出される。
芯の目線で話が進んでいくのだが、話が進むうちに、芯の周りにも、人生の友となりそうな人たちが登場する。
きっと、このつながりは続いていくんだろう。続いていってほしい。 -
特に大きな事件も流れもないけれど読んでいてホッと出来る話。
人間がすごく温かいなぁと感じる作品。 -
優しい物語。
「他人のつらさの度合いを他人が決めることこそおかしい」って、その通り。
「たいしたことじゃない」って勝手に決めつけるのダメね。自分も気をつけなきゃだわ。
芯が渡部さんに言った言葉、刺さる。かっこ良かった。
「そうやって、すぐ他人をバカにしますけど、そうすることで自分のプライドを保っているのかもしれないですけど、やめてください。他人は自分の精神を安定させるための道具じゃないですよ」
なんて理不尽な!って、怒りで湧き出た言葉、言わずに飲み込んだこと何度もあったけど、芯みたいに言い返したかった。 -
なんだかとても不器用だけど、心の綺麗な人たちが色んな問題を抱えて、でもそれを不器用なりに乗り越えていく。そんな話でした。
芯輔と花岡さん、湊と桐子さん、葵くん。素敵な人たち。
そして芯輔の祖父はもっと素敵でした。 -
「手の中にある」が良かった。
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紹介されていて、ちょっと読んでみた
最後の章は、泣いた
電車で読んでて、何度も手を止めた
かし子の気持ちや境遇がよくわかる
小説だけど、共感もするし、応援もする
それは自身へ向けての気持ちもあるのだろうな -
単なるいい人や悪者が出てこない
登場人物みんな実際にそこら辺に生きてるような平凡で雑多な人々に不思議と惹きつけられる静かな物語 -
少し感動。結構名言が詰まっていると思う。
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書き留めておきたいなと思う言葉がいくつもあった。
最後にあたたかい涙がぽろり。
またふと読み返したくなるだろうな。