([は]9-1)翔ぶ少女 (ポプラ文庫 は 9-1)

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  • ポプラ社
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  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591149966

感想・レビュー・書評

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  • 神戸の大震災で両親を失った3兄妹と妻を失った“おっちゃん”が奇跡的に出会い、家族になっていく。
    被災者に限らず、人の心の傷が完全に癒えることはないのかもしれないが、人とのつながり、暖かさといったものを信じたくなるお話。
    通勤中に読んでたら、電車の中でも泣いちゃいました。

  • 阪神・淡路大震災で崩壊した神戸市長田区で生きるふたつの家族の物語。

    まさに地元で被災したわたし(生まれて3ヶ月なので記憶は無いけど)は、毎年1.17になると昔から通ってた学校で追悼の式が執り行われていた。当時の直視できなくなるような惨状をうつした映像、倒壊した家屋の前で「夢やったらええのに、夢やったら…」と泣きながら何度も呟くおばあさんの映像、おもちゃのように崩れている高速道路の写真、地震の恐怖を小さい頃から植え付けられて育ったわたしにはこの本は正直読んでいてしんどいものがあった。

    主人公・ニケはパン屋さんを営む家庭で幸せに暮らしていた。地震のせいでお店は全壊、両親は下敷きになって他界した。子供たちの目の前で火災にのまれていく両親。
    思わず自分と重ねた。
    わたしの家も長田区でお店をしている。我が家は全員生きていたけど、もしわたしの家族がこんなことになっていたら…
    わたしはまだ赤ん坊なので、当時発泡スチロールの箱にお湯をはって体を洗ってもらっていたなんてこと覚えてもないけど、当時の惨状なんてまったく覚えていないけれど、それでもニケのように生きられたかな。

    当時、地震が起こったときわたしが寝ていたベビーベッドは倒れてきた本棚でぺちゃんこに潰れたと聞いた。両親が身を呈してわたしをベッドから連れ出して覆いかぶさって守ってくれたと聞いた。
    涙が止まらなかった。助かった命もあれば、目の前で失われていった命もあった。
    祖父母の家は全壊したけど、ガレキの中からふたりとも這い出て全身砂まみれになったまま我が家まで駆けつけてくれた。

    震災で失うものは大きい。今でも本当の意味で復興しているかと言われればそうではないかもしれない。家族を失った人たちは孤独と戦いながら生きてる。
    けれどニケたちのように、その中でもかけがえのない何かと出会えたなら、それを守りながら生きていくしかない。

    本を読み進めて、涙が止まらなくて、両親に会いたくなった。

    後半は、今までとは全然違う表情を見せてくるのでどんどん文字を追った。無垢でまっすぐな少女・ニケとその家族がこれからも幸せに暮らせますように。

    じしんにもまけない つよいこころをもって
    なくなったかたがたのぶんも
    まいにちを たいせつに いきてゆこう

    (「しあわせはこべるように」より)

  • 神戸市長田区‥‥震災で両親を亡くした三人兄妹。助けてくれたゼロ先生との震災から避難所生活、仮設住宅の生活、再建した自宅での生活。長い年月を少女・丹華を中心に見せてくれる。電車で読んでるのに涙が出て困る場面が‥‥

  • 身を切るような悲しみで始まって、救いがあって、それでも大きな切なさと一緒に成長していく三兄弟たち。色んな種類の涙を流しました。本当に良い本でした。

  • 震災は忘れた頃にやって来る。1995.1.17テレビの中の映像はもはや見るに堪えない物でしたが、当事者でない私の関心は次第に薄れていった。そして16年後私の住む東北での大惨事。本書は11年前の私の張り裂ける思いとシンクロして、丹華がゼロ先生を助ける為東京に向かうくだりは私の胸が締め付けられ涙無しには読む事が出来なかった。大人だけで無く子供達にもこの本が読めるように児童書向けにお勧めしたいと思います。

  • 涙腺崩壊注意。被災者の苦しみ。自分の乏しい想像力を実感させられる。たとえ大きな傷を負ったとしても、そこから回復に向かうなどと安易に考えていたことが恥ずかしい。苦しみの中、手に手を取って生きていく姿に感動。そして今もなお彼らが苦境に身を置いていることを忘れてはならないのだと胸に刻みたい。
    あらすじ(背表紙より)
    1995年、神戸市長田区。震災で両親を失った少女・丹華は、兄妹とともに医師のゼロ先生に助けられる。復興へと歩む町で、少しずつ絆を育む一家を待ち受けていたのは、思いがけない出来事だった―。『楽園のカンヴァス』の著者が、絶望の先にある希望を温かく謳いあげる感動作。

  • 全くリサーチ無し。表紙が可愛いから手に取った本。
    予想に反して重い内容。冒頭から泣いてしまった。
    あの辺りの新しく綺麗な街並みの背景には、悲しくツライ過去があったことに気付かされた。
    大切な人が目の前で苦しんでるのに助けられない。助け出す事を諦めざる負えないなんて、悔やんでも悔やみきれないだろう。例えそうするしかなかったとしても。その悔しい気持ちや悲しみを抱えながら自分は生きていかなければいけないなんて、辛すぎる。

  • マハさんらしい優しいお話だった。大好きな人のために行動したいときに羽が生えるなんて勝利の女神を描きたかったのかな。仲間外れも親を震災で亡くす辛さも入れつつ前向きに生きる少女をしっかり描いてて心がほんわかしました。
    「人が人を想う強さとやさしさ」
    ゼロ先生を失いたくない一心で祐也先生へ掛け合うくだりは止めどなく涙した。

  • 夢中になれました。方言と震災描写があるため読むのに時間がかかりましたが読めてよかったです。
    ゼロ先生とユイさんが常に良い人でこんな人に出逢いたいと思いました。終わりの羽?はニケちゃんの願望だと解釈しました。原田さんは3冊目ですがこれが一番好き。

  • 大号泣

著者プロフィール

1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。森美術館設立準備室勤務、MoMAへの派遣を経て独立。フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。2005年『カフーを待ちわびて』で、「日本ラブストーリー大賞」を受賞し、小説家デビュー。12年『楽園のカンヴァス』で、「山本周五郎賞」を受賞。17年『リーチ先生』で、「新田次郎文学賞」を受賞する。その他著書に、『本日は、お日柄もよく』『キネマの神様』『常設展示室』『リボルバー』『黒い絵』等がある。

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