活版印刷三日月堂 海からの手紙: 海からの手紙 (ポプラ文庫 ほ 4-2)
- ポプラ社 (2017年2月3日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591153291
作品紹介・あらすじ
<内容>
小さな活版印刷所「三日月堂」には、今日も悩みを抱えたお客がやってくる。物静かな店主・弓子が活字を拾い、丁寧に刷り上げるのは、誰かの忘れていた記憶や、言えなかった想い……。活字と言葉の温かみに、優しい涙が流れる感動作。
静岡書店大賞を受賞・ブクログ1位・読書メーター1位など、話題沸騰の人気シリーズ、待望の第二弾!
<もくじ>
ちょうちょうの朗読会
あわゆきのあと
海からの手紙
我らの西部劇
<プロフィール>
ほしおさなえ
1964年東京都生まれ。作家・詩人。1995年『影をめくるとき』が第38回群像新人文学賞優秀作受賞。2002年『ヘビイチゴ・サナトリウム』にて、第12回鮎川哲也賞最終候補。『空き家課まぼろし譚』『活版印刷三日月堂』「ものだま探偵団」シリーズなど著作多数。
感想・レビュー・書評
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それぞれの4つの感動的なお話を「活版印刷」が
さらりと優しくまとめてくれている。
「文字」の存在って凄いよなあ。たとえそこに、もしこの世に居なくとも、自分の気持ちを相手に伝えてくれる。まあ本がその最たる物だけれど。
でもその本の文字が、手書きという行動に近い、人の手で組まれる活版印刷の文字だったとしたら。
単なる文字の羅列というだけではなく、書いた人や活版印刷を作る人達の、見えない思いやりのような気持ちが通常より3割増しぐらい入って、さらに心に訴えてくるんだろうなあ。余白にも感動しそう。
最後のページを読み終わって、寂しい気持ちになったけど、なんと次シリーズがまだまだあるー!
嬉しいー!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
シリーズ第二弾
こちらも4編からなる連作。
いやー面白かった。
登場人物がみんな素敵なヒトばかり。
どれもよかったけれど、個人的には「あわゆきのあと」が重松清っぽくて好きかも。
それから豆本にも興味がでました。
一度見てみたいと思います。
第六弾まで買ってあるので、続けて読む予定です。-
dolphin43さん、こんにちは♪
第2弾も良かったです。
『あわゆきのあと』の広太くんの素直さと優しさに泣かされっぱなしでしたdolphin43さん、こんにちは♪
第2弾も良かったです。
『あわゆきのあと』の広太くんの素直さと優しさに泣かされっぱなしでした2020/03/08 -
途中で文章が消えてしまったので…。
スミマセン。。
豆本も実物を見てみたくなりますね。
第3弾も手元にあるので、続けて読みたいと思...途中で文章が消えてしまったので…。
スミマセン。。
豆本も実物を見てみたくなりますね。
第3弾も手元にあるので、続けて読みたいと思います(*^^*)2020/03/08 -
mofuさん
コメントありがとうございます。
このシリーズ 私も引き込まれました。
第5・6弾は巻頭ページに活版印刷された1ペ...mofuさん
コメントありがとうございます。
このシリーズ 私も引き込まれました。
第5・6弾は巻頭ページに活版印刷された1ページあるんです。
是非、見てみて下さい。
じっくりと見ると、本当に味のある一文字一文字です。
その後の本の感想も楽しみにしていますね。2020/03/08
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H31.1.12 読了。
・前作同様に活版を通したハートフルなストーリーでした。弓子さんの活版印刷の技術も向上し、常に新たな技術を得ようという姿勢も今後楽しみな展開が待ってそうな予感。
「海からの手紙」が特に良かった。「我らの西部劇」には続きがありそうな終わり方だったので、今後に期待。
続編も読みたい。
・「本には文字しかない。色も形も重さもない。でも、その言葉が、わたしたちのなかで色や形や重さを持ったものになる」
・「不思議なものだ。活字はここに確かに存在する。だが「文」というものはない。「意味」もない。活字で文を組んでも、バラせばもとのひとつひとつの活字に戻ってしまう。なのに、刷り上がった文からは、思いが浮かび上がってくる。声が浮かび上がってくる。その人がそこにいるような気がする。」
・「人間、生まれたときは手ぶらで、なにも持ってない。苗字とか住所とか肩書とかだんだん持ち物が増えてくるんだ。」
・「部屋の中を見回す。これが全部文字……。言葉で世界を表そうと思ったら、これだけの量が必要なのか。」
・「傷があるからこそ形が生まれ、命が宿る。傷がない人生は生きているとは言えない。」
・「時間は流れる。人は変わる。それが生きているということだから。」 -
緊急事態宣言の発出により、地元の図書館もついに閉館してしまった。毎日恐ろしい報道ばかりで、心も落ち着かず、なかなか本を読む気になれなかった
しかし、外出自粛のこの時こそ読書の好機と捉えるべきなのだろう
久しぶりに読みかけの本を手に取ると、騒がしい世情を忘れしばし物語の世界に浸ることができた
シリーズ2作目
今回もどの話も心に沁みた
「ちょうちょうの朗読会」では、あまんきみこさんの『車のいろは空のいろ』の世界が紙面にパーっと広がって柔らかい空気に包まれた
「あわゆきのあと」
生まれて三日目で亡くなってしまった広太の姉あわゆき
1年後に生まれた広太は、顔を見ることもなかった姉
雪が消えたら春が来る。あったかい春が来ることを思ってつけられた「あわゆき」という名前。 母親の思いに胸が詰まる
悲しさは消えないだろうが、広太が作った『ファースト名刺』(赤ちゃんの名刺、住所も苗字も、もちろん肩書きもない、名前だけの名刺)とともにみんなの心に生き続けてほしいなと思う
ファースト名刺の存在を初めて知り、素敵だなと思った
「海からの手紙」
5㎝×4㎝、小さな貝の銅版画と新美南吉の詩、和綴じでハードカバーの豆本、何と贅沢な!
わくわくしながら、出来上がっていく過程を楽しんだ
手のひらに取って、見てみたい
貝 殻 新美南吉
かなしきときは
貝殻鳴らそ
二つ合わせて息吹きをこめて。
静かに鳴らそ、
貝殻を。
誰もその音を
きかずとも、
風にかなしく消ゆるとも、
せめてじぶんを
あたためん。
静かに鳴らそ、
貝殻を。
「我らの西部劇」
父親と、成長し思春期にさしかかった息子の微妙な関係。女の私には、しかも娘しか持たない私には分からないが、もどかしさだけはひしひしと伝わってくる
現実で何が起こっても、高校生の頃、通いつめた場末の映画館のスクリーンに広がる広大な風景、輝く遠い場所があったからここまでやってくることができた自分と重ね、息子にも、息子にとっての「輝く遠い場所」を持ち続けてほしいと祈る父。その思いは、父の死後、何年も経ってから明らかになり、ギクシャクしている我が息子との関係を見直すことにも
順送りなんだなと思う
活版印刷三日月堂は、人づてに、口コミで、さらに作品が次の顧客を連れてきているようで、順調
弓子さんの仕事の幅も、技術も広がっているようで次回作も楽しみだ
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「星たちの栞」を読んだ後、印刷博物館に行って活版印刷機を見てきて良かった。
「あわゆきのあと」で、少年が三日月堂の探検に行ってその古い機械を覗き見する場面、あの印刷機のイメージを鮮明に思い浮かべることができた。
つい最近知ったのですが、今年になって、川越に活版印刷所が復活したのですね。櫻井印刷所です。
社長は三日月堂と同じく若い女性の方で「活版お披露目会」には、ほしおさなえさんも参加されています。
この作品の影響力たるや、すごいものがありますね。
小説を読んでいると心に響く言葉との出会いがありますが、この本では[海からの手紙]の次のセリフでした。
"飛びたいから飛ぶ、飛べるから飛ぶ、だけど飛ぶには技術が必要、飛びたくても技術がない人は飛べない、だから飛べる人は飛ぶべきだ。" -
シリーズ2作目。順番通りに読まなくてもこれだけ読んでも楽しめそう。
今回もあたたかく素敵な言葉が散りばめられていて、幸せな気持ちになった。
本や印刷のことが好きな人ならば、このシリーズはとても気に入ると思う。
4篇入っているけど「あわゆきのあと」と「海からの手紙」が特によかった。
「あわゆきのあと」では、死に漠然とした恐怖を感じている広太くんに対して、弓子さんがやさしく語りかけている場面が印象的。「心って、きっとひとつじゃないんだよ。身体に宿ってる広太くんと、ほかの人の中にいる広太くん。ほかの人の中の広太くんは、広太くん本人が死んじゃっても生きてる。」「わたしは、お母さんやお父さんやお祖父ちゃんやお祖母ちゃんのことを覚えてる。広太くんのことも覚えた。わたしは、その人たちみんなでできてる。わたしもきっと少しずつでもいろんな人に覚えてもらって、その人の一部になってる。わたしが支えてもらったように、わたしも誰かを支えられるかも」
「海からの手紙」では、「表現は翼」という言葉が鮮烈だった。「飛ぶことに意味はない。飛びたいから飛ぶ。飛べるから飛ぶ。それだけ。だけど、飛ぶためには技術が必要。飛びたくても、それを身につけていない人は飛べないでしょう?飛べる人は飛ぶべきだ。僕はそう思うんですよ。」「壜はそう簡単に岸にはたどり着かない。だからたくさん投げないといけないんですよ。そうしたら、そのうち誰かが拾ってくれるかもしれない。」自分も昌代さんのように「表現すること」が何なのか分からなくなってしまうことがある。そういう時はこの言葉を思い返したい。 -
シリーズ2作目。
どの話もとても良い。みんな優しくて素敵な人たち。
読後も温かい気持ちになる。
「書いた人も、組んだ人ももうここにいないのに、版が残っている。これを刷れば、言葉が浮かび上がってくる」
それが活版印刷の素敵なところなのだろう。 -
シリーズ第二弾。
良い感じで安定してきていますね。
各話それぞれ活字と言葉の温かみというものが伝わってきて、読んでいて優しい気持ちになれます。
第一話「ちょうちょうの朗読会」で『車のいろは空のいろ』が取り上げられていて、懐かしくなりました。私も恥ずかしながら音読動画を挙げているので(閑古鳥が鳴いていますが・・汗)、この本を音読してみようかな。と思いました。
個人的に好きだったのは、第二話「あわゆきのあと」。生まれてすぐになくなった姉の存在を知らされた、少年の気持ちが繊細に描写されていて、家族への想いに胸がいっぱいになりました。「ファースト名刺」、素敵ですよね・・。
本好きな人は、少なからず印刷や活字に興味あるかなと思うのですが、このシリーズはそんな方にお勧めしたいですね。
と、いう訳で?『車のいろは空のいろ(すずかけ通り三丁目)』を音読してみました。↓↓
https://www.youtube.com/watch?v=7jPA7dxm9sg