この星の忘れられない本屋の話

著者 :
制作 : ヘンリー・ヒッチングズ 
  • ポプラ社
3.36
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本棚登録 : 233
感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591156650

作品紹介・あらすじ

人気作家イーユン・リーは若き日、北京の食品マーケットに隣接する隠れ家のような書店に通いつめ、「あれほど多くの魔法をもたらしてくれた本屋はほかになかった」という。世界の注目作家15人が書店との紐帯を明かした本書は、から集められた原稿を一冊に編んだアンソロジー。ワシントンDC、ベルリン、ナイロビ、イスタンブールまで、万華鏡のような書店の魅力を伝える。

目次

そこでちょっと立ち止まる――編者による序文  ヘンリー・ヒッチングズ

本屋の時間  アリ・スミス
この世のどこにもない本  アンドレイ・クルコフ
ヘラクレスの柱  イアン・サンソム
ふたつの本屋の物語  フアン・ガブリエル・バスケス
ライトナーとわたし  サーシャ・スタニシチ
おとぎ話はいつも幸せな結末をくれる  イーユン・リー
蛇を退治するときは……  アラー・アル・アスワーニー
憧れ――何かが起こるナイロビの本屋  イヴォーン・アジアンボ・オーウーアー
雪の日  マイケル・ディルダ
ある会話  ダニエル・ケールマン
ラ・パルマヴェルデ  ステファノ・ベンニ
発展の時代の本屋  パンカジ・ミシュラ
親しみがあるということ  ドロテ・ノルス
ボヘミア・ロード  イアン・シンクレア
物語がわたしの故郷  エリフ・シャファク

訳者あとがき 浅尾敦則
著者略歴

感想・レビュー・書評

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  • 「あるとき、緑色のぶ厚いテニソンの作品集を見かけた私は、その夜さっそくその本の夢を見たので、翌朝母にその話をした。
    数日後、母が、街に出かけようとしていた私を呼び止めて、「はい」と言った。
    見ると、お札を差し出している。「ほら、これで、夢に出てきた本を買いなさい」
           (アリ・スミスの「本屋の時間」より)

    読みながら何度も幸せな笑いがこみ上げる。
    編者のヘンリー・ヒッチングズは、英国の批評家・作家。
    彼の求めに応えて、世界の様々な国の作家15人が、人生のひととき関わりをもった本屋の思い出を語るアンソロジー。
    原題は『BROWSE(立ち読み):The World in Bookshops』。
    巻末にそれぞれの作家さんの紹介付き。
    どの方も寡聞にして知らず残念なことこの上ないのだが、本好きが高じて「病膏肓に入る」人たちの話はどれもが本当に面白い。
    訳者のセンスの賜物か、目次もまた素敵なのだ。

    そこでちょっと立ち止まる――編者による序文 ヘンリー・ヒッチングズ(英)

    1 本屋の時間 アリ・スミス
    2 この世のどこにもない本 アンドレイ・クルコフ
    3 ヘラクレスの柱 イアン・サンソム
    4 ふたつの本屋の物語 フアン・ガブリエル・バスケス
    5 ライトナーとわたし サーシャ・スタニシチ
    6 おとぎ話はいつも幸せな結末をくれる イーユン・リー
    7 蛇を退治するときは…… アラー・アル・アスワーニー
    8 憧れ――何かが起こるナイロビの本屋 イヴォーン・アジアンボ・オーウーアー
    9 雪の日 マイケル・ディルダ
    10 ある会話 ダニエル・ケールマン
    11 ラ・パルマヴェルデ ステファノ・ベンニ
    12 発展の時代の本屋 パンカジ・ミシュラ
    13 親しみがあるということ ドロテ・ノルス
    14 ボヘミア・ロード イアン・シンクレア
    15 物語がわたしの故郷 エリフ・シャファク

    編者を含めてイギリスが4人。ウクライナ、コロンビア、旧ユーゴ、中国、エジプト、ケニア、アメリカ、ドイツ、インド、イタリア、デンマーク、トルコと多岐にわたっている。
    英語以外の言語で執筆されたものはいったん英訳し、更に和訳したもの。
    それぞれの国の光景が文章から見えて、まさに「この星の本屋」の話になっている。

    作家さんたちの個人的な体験のはずが、本好きにとっては共感を呼ぶものばかり。
    9番目の「雪の日」などは、積読だらけになって家族のひんしゅくを買っている人には爆笑もののエッセイだろう。
    猛吹雪がやってくるという金曜日。学校はすでに休校で地下鉄は週末運休。
    妻は急用で火曜まで帰らない。つまり誰にも監視されてない(!!)
    ひとりマイケルは車で古書店へ。
    心ゆくまで店内を逍遙し、過去最高のブッキング(本漁り)をする。
    まぁその楽しそうなこと。
    私が好きなのは4番目の話で、自分を成長させてくれたふたつの本屋を誉め讃えるエッセイ。
    「最高の本屋とは、偶然の発見がきらきら輝きながら勝手に転がり込んでくる、そんな場所である」

    ネット書店への批判も散見されるが、これだけ愛されれば本屋さんも本望だろう。
    本書が出たときに「あ、うちのことが書いてある!」ってさぞかし喜んだだろうし。
    (書店名で検索すると本当にヒットするのですよ!)
    本屋のスタイルも国により様々で、店内の過ごし方も違うのがまた面白い。
    「光の射さない穴蔵であると同時に闇を照らす灯台でもあるという、ほかに類のない場所」である本屋さんへの愛にあふれた、万華鏡のような魅力の一冊。
    お気に入りのエッセイが見つかったら、巻末からその作家さんの作品へといかれるのもよろしいかと。・・・ワタクシはそういたします。

  • 目次を見て、ゾクゾクしちゃうから!

    ポプラ社のPR
    世界の注目作家15人が、ワシントンDC、北京、ナイロビ、イスタンブールまで万華鏡のような書店の魅力を描くアンソロジー。
    https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/8008173.html

  • いろんな国の人がそれぞれ思い入れのある本屋さんについてお話ししてるのを盗み聞きしてるかんじ。

  • 人気作家イーユン・リーは若き日、北京の食品マーケットに隣接する隠れ家のような書店に通いつめ、「あれほど多くの魔法をもたらしてくれた本屋はほかになかった」という。世界の注目作家15人が書店との紐帯を明かした本書は、から集められた原稿を一冊に編んだアンソロジー。ワシントンDC、ベルリン、ナイロビ、イスタンブールまで、万華鏡のような書店の魅力を伝える。(アマゾン紹介文)

    翻訳本はほとんど読まないため、この本の作者様15名、どなたも知りません。それでも、タイトルに惹かれて読みました。よかった。
    特に『冬の日』(マイケル・ディルダ)がよい。古本好きはどこにでもいるんだなーと嬉しくなりました。

  • 本屋に行きたくなってうずうずする一冊!!
    わたしは電子書籍を読むことも、ネットで本を買うこともあるけど、やっぱり本屋に行って立ち読みして衝動買いすることに勝る幸福はないな。

  • 色々な作家の本屋に対する思い入れが感じられる。本屋さんで本を買うのは、インターネットで欲しい物を手に入れるのとは、また違った楽しみがある。何気なく手に取ってパラパラ拾い読みをして「あっ、面白そう」っと購入する。ほとんどハズレた事がない。また、そういう本が思いれのある一つに成ったりする。本との出会いが本屋さんにはある。この本には、各種作家の思い出の本屋と一緒に思い出の本が掲載されている。そんな本は、当然の事ながら読みたくなってしまう。また、読みたい本が増えてしまう…すごく幸せだ。この本自体も、本屋さんで何気なく手に取ったものだが、思いがけず良い本に巡り合った。

  • 世界中のあちこちの国の作家15人と編集者、計16人が、それぞれの書店の個人的な体験をつづった本。
    イギリス、ウクライナ、コロンビア、旧ユーゴスラビア(ボスニア・ヘルツェゴビナ)、中国、エジプト、ケニア、米国、ドイツ、イタリア、インド、デンマーク、トルコといった、様々な国の書店が、作家たちの思い出フィルターを通して、キラキラと輝きながら登場します。
    登場する作家は一人も知らない人でしたが、どのエッセイも愛にあふれておりノスタルジック。

    書店と一言で言っても、国や文化が違うだけで、またそれぞれの雰囲気が違ってくるものだなあと気づきます。

    作家たちの心に根差すすてきなエピソードを読むにつけ、年々姿を消しつつある書店の必然性について考えずにはいられません。ネットで本が買える便利な世の中になりましたが、見知らぬ本との偶然の出会いや本を通じての書店員さんとの交流など、ネットでは満ち足りない情操面での潤いを与えてくれるのが、本屋という空間であることを、あらためて感じます。

    書店という販売形態がそのうちに幻の存在となってしまわないように、一購買者としてせっせと町の本屋さんをフォローしていこうと、改めて思いました。

  • 本の本
    書店

  • ★学生選書ツアー2018選書図書★
    【所在・貸出状況を見る】
    https://sistlb.sist.ac.jp/opac/volume/217667

  • 実際の忘れられない本屋の話のエッセイを編んだアンソロジー。

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著者プロフィール

1956年、広島生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。音楽雑誌の編集部勤務を経て翻訳を手がける。
訳書に『カラフルなぼくら 6人のティーンが語る、LGBTの心と体の遍歴』(ポプラ社)など。

「2017年 『ピンプ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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