- Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
- / ISBN・EAN: 9784591159088
作品紹介・あらすじ
親子で読んで語り合ってほしい。
戦争のこと、家族のこと、このさきの平和について。
大阪で暮らした著者の母親をモデルに、大阪大空襲で市井のひとびとが味わった悲しみを鮮烈にえがく! 今こそ読んでほしい本格的戦争児童文学!
昭和16年。小学3年生の笑生子(えいこ)は、大阪の新千歳国民学校に通う女の子。「ちいやん」と呼ばれて、かわいがられている。働き者の両親と、京都に住む長女の澄恵美(すえみ)、今は家庭を持って別に暮らしている厳格な長男の正義、いつでも心やさしく家族を助けてくれる次男の成年、電車の車掌をしているモダンでマイペースな次女の雅子、わがままだけど愛嬌いっぱいの弟の春男という大好きな家族に囲まれて、しあわせに暮らしていた。しかし、ひたひたと戦争の影がしのびより、笑生子の日常を少しずつ違うものに変えていく。大好きだった成年の戦死、成年が手伝っていた動物園の閉鎖、建物疎開で離ればなれになってしまった仲良しの千代ちゃん……そして、恐ろしい大空襲。戦争は笑生子から少しずつかけがえのないものを奪っていく。
どんな苦しい毎日でも生きていこうとする人間のたくましさと、その命のつながりによって今のわたしたちは生かされていること、そして、この戦争の悲劇を二度と繰り返してはならないことを訴える。
感想・レビュー・書評
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今!戦争文学!
子どもたちに伝えたい
戦争の残酷さを
繰り返し伝えなければと
世界をぼんやり見てるだけでも思ってしまう
お母さんの実体験をもとにつづられた描写
息がつまる
大人と子どもに向けられた作者の熱い想いを感じる
≪ 暴走の世界が行く先 あの恐怖 ≫詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
戦争がはじまり、笑生子の暮しも変わり始めていた。優しい成年にいやんが兵隊さんに行くことになった。笑生子と弟の春男は学童疎開に。
激しい空襲で逃げまどい、焼き殺されていく人々を目の当たりにした。病気の母親と世話になることになった長兄の家では、つらいことばかりだった。
主人公の少女は、越水氏の母親がモデルだそう。 -
ときは1941年(昭和16年)夏
大阪に住む国民学校3年生の笑生子(えいこ=ちいやん)は、両親、成年(なるとし)兄やん、弟の春男、犬のキラたちとつましいながらもしあわせな日々を送っている
しかし、戦争は笑生子たち家族のうえにも影を落としはじめ、兄の出征、犬の献納、集団疎開、そして3月13日から始まる大空襲と、人々を巻き込み苦しめ生活を破壊しいのちを奪ってゆく...
「越水利江子作家生活25周年記念作品!」と銘打たれた本作は、著者の母をモデルとし、徹底した取材に作家の創作力をくわえて書きあげられた戦争児童文学の力作
《ずっと昔の戦争だと思えるあの時代は、まぎれもなく今このときにつながっているのを、わたしは物語を書く作業の中で強く感じました。
あのころがどれほどむごい時代だったとしても、あのころはたしかに今につながって、未来へもつながっていくのです。》
《暴走する国家や政治を恐れて、人々が沈黙すれば、この恐怖は、ふたたび、わたしたちに襲いかかってくるでしょう。
そうならないために、現代の幸せなお母さんやお父さん、子どもたちに向かって、わたしは、この物語を書きました。どうぞお母さんやお父さんも、お子さんと一緒に読んでください。多くの方に読んでいただくために、わたしはこの本を、おとなだけが読む本にも、子どもだけが読む本にもしませんでした。おとなと子どもが一緒に読んで、話し合ってほしかったからです。》
──「あとがき」より
戦争の悲惨さ、いのちのたいせつさ、家族の絆、人間のたくましさをみごとに描き出した著者渾身の作品はポプラ社「ノベルズ・エクスプレス」レーベルから -
戦争は人を壊し、仲良しだった人をも引き裂いてしまう。紙切れ一枚で大事な家族を招集して、紙切れ一枚で存在を決してしまう恐ろしい国。戦死するのが名誉で、戦死したらおめでとうと言われる。金属だけではなく、飼い犬も兵隊のために献納する。それがかつての日本だった。戦争の直接の描写自体も恐ろしいが、戦争へ向かって突き進む国の描写もまた恐ろしかった。本当に戦争は二度としてほしくない。犠牲になるのはいつでも一番弱い非戦闘民なのだから。
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前から気になっていたもの。戦禍の大阪を舞台とした児童文学。戦争は絶対に繰り返してはいけない。著者の母がモデルと言うだけあり、真に迫るものがある。
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う〜ん、読んで欲しいなぁ。
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戦時中でもたくましく生きる人々。それをたたきつぶす空襲が、衝撃的。馬や犬など、動物たちが印象的でした。