それで、いい! (本はともだち♪ 26)

著者 :
  • ポプラ社
3.99
  • (29)
  • (37)
  • (22)
  • (1)
  • (2)
本棚登録 : 524
感想 : 45
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (79ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784591168363

作品紹介・あらすじ

絵を描くのが大好きな、きつね。上手下手なんて考えもせず、夢中で絵を描いていました。あるとき、先生がきつねに展覧会に絵を出品するように勧めました。きつねは「みんながおどろくような、すごい絵を描く!」と意気込みます。だけど、なにを描いてもすごい絵なのかどうかわからず不安ばかりが募ります。あんなに絵を描くのが楽しかったのに、いまはちっとも楽しくないのです。とうとうきつねは絵を描けなくなって……。

人に認められることは、自信を持つことにつながります。だけれど、認められることばかりに気を取られてしまうと、人の目を気にして、自分自身の気持ちや考えをどこかに置き忘れてしまうこともあるものです。
きつねも、そうでした。ただただ、描きたいものを描きたいように描くことが大好きだったのに、みんなに「すごい絵」と、思わせたいという気持ちが強くなると、描いても描いても満足できず、描いても描いてもこれではいけないような気持になっていました。
そして、だんだん、描くことが苦しくなってしまうのです。

この物語は、子どもたちに、あなたはあなたのままでいい、と語りかけます。
人の目を気にしないで、やりたいことと、やりたいようにしていいのだ、と。
そのままのあなたが、すばらしいのだ、と。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 低学年用の課題図書。

    きつねは、絵をかくのが好きだけど森のなかまたちは、へんだとか、色がはみ出してるとか言う。
    みんなが驚くようなすごい絵をかくには、すごいものを見つけなければと思うけれど…。

    うまくかけずにからっぽのぺしゃんこになったある日、てつぼうをうまく回れずしょんぼりしたうさぎと出会い、家に走って帰ったうさぎのあとを追いかけるとかべ一面にきつねがかいて捨てた絵がはってあった。
    ひとつひとつの絵を思いだしていると
    かきたいから かいてたんだということに気がつく。

    かきたいものをかきたいように。
    こころのままに。
    わくわくしながら。

    そうしてうさぎの笑った顔をかいた。
    森のみんなは…。


    友だちのことばは、とても気になる。
    だけど何が大切なのか自分でわかってほしいと思う。
    大人が言うより周りを見て感じて成長していくんだろうなと思った。

  • 読書感想文コンクール課題図書 低学年の部
    https://www.dokusyokansoubun.jp/books.html

    きつねは絵をかくのが大好きです。
    かきたくなったら、いつでもどこでもなんにでもかいてしまいます。
    みんなは言います。
     なんだ、おまえの絵、本物とはずいぶんちがうなあ。バッタはうしろあしがデカすぎだし、色だってはみだしてるじゃないか。
     うるさい!そのほうがかっこういいじゃないか!そんなにいうなら、てんらんかいまでにすっごい、すっごい絵をかいてやるからな!!!

    きつねは「すごいもの」を探します。木にたっぷりのりんご、空を飛び回るタカ。かっこいい!
    でも、おもうままにかくと、きっとみんなにまた「はみだしてる、本物とちがう」って言われそう。そこでがんばってきれいに上手にかこうとしましたが、すると絵をかくことがぜんぜん楽しくないんです。
    きつねは、じぶんがなんで絵をかいていたのかわからなくなりました。

    きつねとおなじようにがっかりしているお友達がいます。
    うさぎです。
    うさぎはきつねの絵が大好きなんです。きつねさんのかいた大きな木にのぼったら遠くまで見えるんだろうな。この木から、ことりちゃんが初めてとんだんだよね。

    うさぎに言われてきつねは、じぶんが絵をかいたときのこと、その時の気持ちを思い出しました。
    「おれはかきたいからかく、かきたいものをかく、それでいいんだ」

    さあ、てんらんかいにきつねが出した絵はなんでしょう?

    ==
    好きという気持ちを大事にしよう!型にはまる必要はない、楽しくて人を思う気持ちがこもっていれば、絵を見る人たちにも通じるんだ。

    はたこうしろうの挿絵も良いですね。きつねのかいた絵の大胆さ、楽しさ。その時の状況や気持ちも現れています。

  • 絵本だと思って予約したら児童書だったシリーズ。
    最初胸がズキズキした。
    なんでそんなにイジワル言うんだろうって。
    でもそうだよね、好きだからやる。それでいいよね!
    ホッとした気持ちで本を閉じられた。

  • 絵を描くのが大好きなきつね
    それでもやまねこは本物とは違うと言い、
    あひるははみ出しているところを指摘する。
    もうすぐ展覧会が開かれる。
    みんなにすごいと言われるためにきつねはすごいものを探し求める。
    否定されることで自己肯定感を失ったきつねが、それを取り戻す物語。





    ******* ここからはネタバレ *******

    教科書のような物語です。
    絵を描くことが好きなきつねは、楽しくて描いていたのに、人からの批評に傷つき、称賛を得られるための絵を模索します。終いにはどんな絵を書いたらいいのかわからなくなっていたところに、実はきつねの絵の隠れファンだったうさぎと出会い、描きたいから描く、描きたいと思ったものを描く意識に目覚めます。
    そうして展覧会に出したうさぎの笑顔の絵は大好評だったというお話です。

    一方うさぎは?
    鉄棒の前回りをがんばると言っていたけれど、それは本当にうさぎがしたいことだったのでしょうか??しなくてはならないことだったのでしょうか??
    うさぎときつねの立場がよくわからないので判断できないのですが、うさぎは少しかわいそうに感じました。
    別に鉄棒なんてできないままでもいいのではないか?と。

    話はきつねの絵に戻ります。
    これは学校低学年対象と思われる作品ですが、良し悪しは別にして、現実的に今の小学校の絵画教育ではやまねこやあひるのようなことが言われいていますね。
    この本を読んだ現役小学生さんたちが、この作品を読んでどう感じるのでしょうか。
    それこそ感想文など読んでみたい気がします。

    そして、きつねの絵はどれもとっても上手ですね。さすがはプロの作家さんです。

    贅沢を言うならば、きつねには自力で自信を取り戻して欲しかった。
    他人からの承認を求めずに絵を描いて欲しかったと思いました。
    まあこれは、大人でも難しいことなのでしょうけど。

    問題のない作品なので、皆さまにオススメできます。

  • きつねは絵を描くのが大好き
    かっこいいな!すごいな!って思ったものをクレヨンでグリグリ描いていきます

    なのに「大きさが違う」「はみだしてる」「ださい」と言われてしまいました

    展覧会のためにきつねはすてきな絵を描こうと決心しますが…、どうやって絵を描いていたっけ…

    〇周りの目を気にし始めると、見失ってしまいますよね
    ちょっと自信がなくなったときに
    〇挿し絵が物語にぴったり!表情豊か

  • 小学2年生の長女が「ママも読んだ方がいいよ!」とお勧めした本。
    誰に何を言われようと、やりたいことをやる!
    子供の心にも響くものがあったのでしょう。
    絵の描き方、配色もとても暖かく、言葉一つ一つの表現の仕方もとても様々に書かれていて、大人の私でもすごく勉強になりました。
    何度読んでも学び感じるものがありそう!
    漢字は使われていないので小学1年生でも、本が好きな幼児でも1人でも読め、幼児への読み聞かせにも良いと思いました。
    本当に素晴らしい一冊です◎

  • じーんとくるお話し

  • 2023年読書感想文課題図書·低学年
    きつねは絵を描くのが大好きです。でも、やまねこからうしろあしがでかすぎてへんだと言われ、あひるには色のはみ出しを指摘されます。展覧会に出す絵はすごいものを描きたいのに、描けば描くほど分からなくなってしまいます。もっと「すごいもの」じゃないと、きっとすごい絵にならないんだ。
    そんなきつねが大事なことに気づいたのは、まえまわりができなくてやまねこにバカにされて逃げ出したウサギを追っていったことでした。
    想像力を捕捉する挿絵が、文章以上の語りを見せて、半分絵本だなぁと思いながら読み進めました。漢字なしなので、始めて物語読む児童でも手に取りやすそうです。

  • 2023年読書感想文コンクール課題図書
    低学年の部

    これまたとても可愛らしい幼年童話でした。
    絵を描くのが大好きなきつねさん。
    「上手に描くこと」にこだわって、描くことの楽しさを忘れそうになるけど…?

    最後、うるっときてしまった。
    友情と、自分が好きなことを貫くとは?のお話。

  • 小学校(低学年)読書感想文の指定図書のひとつ
    絵本すらあまり読まない子なので頑張って読ませた(?)記憶
    文字は大きめ
    普段から本を読む人間なら5分あれば読めるんじゃないかな
    子供の教育にはいいかも
    絵を描くのが好きなきつねさん
    そのきつねさんの絵を否定するともだち
    でもそんなきつねさんの絵が大好きだよっていってくれるともだち
    小学校に入って幼稚園のころとはまた違う知らないおともだちが増えた1年生にはいいお話だよね
    みんながみんな自分のことを好きなわけじゃないんだよ、意地悪なことをいう人もいるんだよ、でも気にしなくていいんだよ、君のことをちゃんと見てくれる人はいる好きな人はいるという教訓の物語
    今の子にはぜひよんでほしいなあ
    そんなこと言っちゃだめだよ、相手の子が傷ついちゃうよって説明しやすい
    いいお話だった

全45件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

礒みゆき(いそ みゆき):栃木県生まれ。ダンサー、造形作家を経て、絵本・童話作家となる。絵本に『みてても、いい?』『わたしのひよこ』(以上ポプラ社)『ぼくのくつしたおまけつき』(ひさかたチャイルド)、紙芝居に『ねんねねんね』(教育画劇)[高橋五山賞審査委員会推薦賞]『かぜヒッキーをやっつけろ!』『「おかしも」は かじの おやくそく』(以上童心社)など多数。

「2022年 『ハロウィンに こんばんは!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

礒みゆきの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×