- Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
- / ISBN・EAN: 9784592851233
感想・レビュー・書評
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「青龍の涙」のスピンオフ。またしてもただの異形との恋物語に留まらない、ヘビーな内容でした。
前回の神様攻から、今回は鬼攻となっていて空恐ろしくなってる気がしますが、むしろ神様よりずい分やさしい気性であることが意外でもあり、そこがストーリーの根幹になっていました。
神様の時もそうだったように、鬼にも人のような名前がないんですよね…
神様は早々に名前が決定しましたけど。
毎度ながら、こういう細かい巧みな技にやられてしまいます。人にあらず、という意識が知らないうちに刷り込まれてしまうすごさ。そして、鬼という存在の畏怖はそのままに、潮に見える鬼にだけは愛ゆえのやさしさが備わっているという特異さ。
鬼の世界ではずい分浮いた異端の存在なんだろうなと思えば思うほど、彼の優しさに切なくさせられました。
自分の命を賭してまで潮を守ろうとする深い愛に、涙無しには読めませんでした。泣かされました。
葛藤がすごいんです。命を奪うのか、奪わないのか、奪わせるのか、奪わせないのか…これこそ究極の選択です。
鬼と潮にも、そして読んでるこっちにも。にっちもさっちもいかない状況に直面してしまった愛し合う二人が一体どんな方法で幸せをつかみとっていくのか、ほんとに心配しながら読んでしまいました。
花丸BLACKらしく大人向けのハードな描写があっただけに、いっそう甘く感じました。ハードと言ってもエロ的にじゃなく、グロ的にです。その後泣かされましたよ!
慟哭する鬼が優しすぎてたまりませんでした。
潮の絶対諦めない気持ちに心救われる気がしました。
愛する人のためならどんな可能性でも見い出して、何でもしようとする強さに成長を感じました。
青龍では二人きりで異世界での新婚さんとなりましたが、こちらは潮の家族をちゃんと考えての同居婚。
そんな作者さんの細かい心配りにほっとさせられました。