チビクロ・パ-ティ (DAYAN’S COLLECTION BOOKS)

著者 :
  • ほるぷ出版
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感想 : 7
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  • / ISBN・EAN: 9784593592166

感想・レビュー・書評

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  • ダヤンの物語。影が取られなくてよかったね。

  • 再読
    影だけのパーティ

  • 図書館の本

  • 本書とは、というよりも、このダヤンの影とは、不思議な出会い方をしている。

    私はダヤン自体とも出会ったのが去年の9月と、実は極々最近である。

    しかも、そのときはサイト上の壁紙にいるところを見ただけだったから
    ダヤンという名前を知らなかったのだ。

    ダヤンをダヤンと認識したいきさつについては、『ダヤンと銀の道』のところに記したが、
    11月に図書館で表紙見せで置かれていた『ダヤンから256のおめでとう』と目が合った瞬間だった。

    11月から12月にかけて、ダヤンの長編ファンタジーの世界全7巻を読んだ。

    キャラクターグッズや絵が主流の不思議なお話やショートストーリーだけだったら、
    私はダヤンにはそれほど興味を持たなかったかもしれない。

    ダヤンはキャラクターが先に立ち、あとからファンタジー世界ができたのだが、
    このファンタジー世界があったからこそ私はダヤンに惹かれたのだと思う。

    このあたりはダヤンのファンでも異なるようで、お話よりもキャラクターが好きとか、
    初期の頃のもっと目つきが悪かった頃が好きなど、
    ファンでもいろいろな方がいることをネット上のおしゃべりで知った。

    私は、ファンタジー世界でダヤンのイメージを作り、
    1本の全体を貫くストーリーがあれば、それで十分幸せになれるというタイプなので、
    ショートストーリー集的なコレクションブックにはそれほど興味はなかった。

    読んだのは、ダヤンのコレクションブックpart1の『ダヤンのたんじょうび』のみだった。

    ダヤンのインプットはこんな感じで行われたので、
    ショップで黒いダヤンのグッズを見たときも、
    黒をカラーのバージョンのひとつとして捉えて、
    勝手に「まっくろダヤン」と呼んでいたくらいだった。

    これが「ダヤンの影」であり、「チップ」という名を持つことを知らなかったのである。

    不思議なことに、ダヤンについては、先に姿を見てあとから名前を知ることが多い。

    さらに、この『チビクロ・パーティ』についてはおもしろいことが続く。

    実は洋書に先に出会っているのだ。

    ある本屋で偶然猫本フェアをやっているのに出会ったのだが、
    その本屋は和書も洋書も隔てなくおいているところだったので、
    ダヤンのコレクションブックのうち3冊の英訳本がまとめて置かれていたのだ。

    歩き出そうとしているダヤンの後ろにびよーんと伸びている真っ黒い影。

    影はダヤンに覆いかぶさろうとしているかのようだ。

    ダヤンは気付かない。

    この表紙に惹かれて、"Chibikuro Party"を手にしたのだった。

    日本語が先にあって英訳された本は、
    英語が先にあって日本語が後に来るのとはまた違った味わいがあると思うが、
    今回は、それはまた別の話ということにして、
    ストーリー自体について追ってみることにする。

    ダヤンの物語では、月が象徴的に使われることが多いように思う。

    今回も月が紡いだ光の糸の束をタシルの街へ投げおろし、
    その光が動物たちの影を生き返らせることで物語は始まる。

    ダヤンの影も目を覚ます。

    眠っているダヤンのベッドの下で黒々と広がり形を創っていこうとする影。

    目を覚ましたダヤンが、自分とそっくりのまっくろいねこが窓じきいの上に
    座っているのを見つけたときの本当にびっくりした表情は、
    私が見てきた長編ファンタジーのダヤンとは異なるもののように思え、
    それだけでとても新鮮だった。

    今夜は年に一度の影のお祭り。

    今宵は影は主から離れて自由に過ごせるのだ。

    ダヤンは影を見て「ずいぶんでぶだね」と言い放つのだが、
    つまりはダヤンも立派なでぶねこってことだ。

    影のお祭りに興味しんしんのダヤン。

    この好奇心旺盛さは、彼を不思議の世界に巻き込む要素の一つ。

    そして、はたと立ち止まる。

    「きみのことを、なんてよぼう」。

    影は、ダヤンから離れて独立した時に、もうダヤンではなくなっている。

    ダヤンから見える対象となっているのだから。

    そんな難しいことをダヤンは考えているわけではないのだが、
    彼はいつも本能的なところで本質をつかみ、答えにたどり着くようなところがある。

    単に名前がないと不便だということで生じた疑問だったようだが、
    この瞬間からダヤンの影は「チップ」と呼ばれることになる。

    名前をもらったチップは大喜び。

    「ぼくに名前ができた。ぼく、名前をもらったぞ」って、
    とんぼがえりをうっちゃうくらいに。

    そうだよね。

    キミは生まれたんだもん。

    うれしいさ!

    「チビクロ・パーティ」は、11匹のリスの影が口々に言っていた言葉。

    どうやらこのお祭りは、「チビクロ・パーティ」というらしい。

    チップは、生まれてはじめて、自分で食べたり飲んだり歌ったりする楽しさを味わうのだ。

    生まれて、肉体を持って、自分で何かすることの楽しさ。

    影たちが表現するのはそんな世界であり、喜びだ。

    そんなとき、この自由を一日だけではなくて、ずっと自由に暮らせたらいい、
    誰かの影ってことではなく、と言い出す者が現れる。

    夜が明けないうちに逃げ出して、朝までにサンドを越えれば自由になれるのだと。

    それを聞いていたダヤンは、このままではみんなが影なしになると
    街のみんなに知らせようとまずはジタンのところに向かうのだった。

    ダヤンはこの誘惑の真の意図を知らなかったのだが、ジタンはそれを見抜く。

    影と実体が最後に分かり合うのは、言葉ではなく音楽、そして共にダンスを踊ること。

    本書は、考えるよりも感じて楽しむファンタジックな世界なのだけど、
    相互理解って言葉だけですることではないよなぁなんて妙に納得してしまったのだった。

    ダヤン、キミと出会ってから名前を知らなかった時期も含めて約10か月、
    キミのおかげで読書ライフに新たな彩ができて、感謝してるよ。

  • 年に一度、かげ達のパーティに魔王の手下が混じっていて、‘かげ’がさらわれてしまいそうなことを知ったダヤンは・・・・・・/はらはらわくわくするパターンで、またジタンが活躍するのが嬉しい♪

  • 2005年2月8日

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著者プロフィール

本名:池田晶子。東京都吉祥寺生まれ。
1976年、革工房「わちふぃーるど」創設。1983年に東京都自由が丘本店のシンボルキャラクターとして「猫のダヤン」を描く。その頃から不思議な国・わちふぃーるどを舞台にした物語を描き始め、絵本や画集、長編物語、旅のスケッチ紀行など、多方面で執筆活動を続けてきた。現在までの著書は130タイトルを超える。
2023年はダヤン誕生40周年にあたり、6月の松屋銀座での記念原画展を皮切りに、全国で巡回の予定。

「2023年 『猫のダヤン ポストカードブック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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