- Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
- / ISBN・EAN: 9784594069032
感想・レビュー・書評
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すべてのJ-POPがパクリである、ということをグングン掘り下げていってくれることを期待していたのだけど、その背景やら考察やらが結構長い。メタ視点、という観点からみるヒット曲の法則、という導入は興味深く入ったのだけど、途中で脱落した。何故か。メタ視点を持ったまま、いつの頃からか人は純粋無垢なものに夢中になっていく、と。僕はこの「いつの頃」に、本流から脱落している。だからそれ以降の論がさっぱり共感できない世界になってしまうのだ。
そういう視点を除いて読んだら、一部しか理解できないかもしれないが、たしかにすべてのJ-POPはパクリなのであろう。創作者と一般人の境目は小さくなっている。音楽にかぎらず、ウケるパクリ方があるのだ、ということだ。そういえばウケたい感じの人は、もう外観やらプロフィール写真やらまで似てくるよね。だけど、巻末の「マキタスポーツに何を足すとどう見えるのか」という壮大な(嘘)実験は、そういうことに目くじらをたてるのが愚かしく思えて脱力です。ありがとう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
既出の論評が多く、他にも筆者の決めつけが多いというか片手落ちに感じた。もう少し根拠が明示されていれば印象は変わるかもしれない。
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マキタスポーツ頭いいー!
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唯一性=オリジナリティー 涙の圧縮陳列=感動のドン・キホーテ化 カタルシス 涙腺プレイ カノン進行 翼ならば広げる桜ならば舞い散る奇跡ならば起こるセットとなる主語と述語 JPOPは工業製品 ドラマティックマイナー Am→F→G→C 6451 小室進行 集中と選択の戦略 ももいろクローバーZヒャダイン サビだらけ オリコン年間シングルCDランキング2012上位AKB48関連あるいはジャニーズ関連ようやく23位になって初めて登場 パヒュームある種の潔さ企業ロゴのような美しさ モータウン調ともいえる恋するフォーチュンクッキー ラウンドワン型 ガソリンポイント ビジュアル語変換 メタモルフォーゼ→変身 思想模写 形態模写 声帯模写 対象と同化 楽曲模写=作詞作曲モノマネ 細かすぎて伝わらないモノマネ選手権 桑田佳祐の手癖Em→D→C→B7 岡村靖幸=アレックスオノルド 武井壮 アスリートと歌い手の感覚はすごく似ている 示唆しさ 長渕剛ちまった 田舎者の被害者意識というものが基礎にある ノベルティー批評的な ビーフお互いに中傷し合う 情けねえ長渕剛オマージュ 野猿 規格/人格=1オリジナル曲としての完成度が高くなる 既にあるものをうまくカスタマイズする形での自分らしさ 分析・分解の方法論 大瀧詠一 風の噂
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面白かった
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メタ視点 他罰的なツッコミ目線 1985年ホームビデオの発売、マンザイブーム
ヒット曲の法則
コード進行、歌詞、楽曲構成、オリジナリティ
①カノン進行
大逆循環 ベースラインが一音ずつ下がってまた上がって戻る
②歌詞
困ったときのサクラ、扉、翼、キセキ
③楽曲構成
また逢う日まで AメロBメロ構成からABCメロ(サビ)構成へ
ABやABAといった形式は歌詞の展開に限界があったが、ABCの形式であれば起承転結を導入することもできた。起承転結が可能になったことによって、作詞の手法も多様化し、さまざまな楽曲の世界観が作られていく。当然、よりドラマチックな展開にするために作品中のクライマックスを迎える「サビ」という概念が生まれてくるのも時間の問題だった
十年目のプロポーズ
①サビ出し 「一番おいしいところから始めよ」
②間奏 ドラマチックに曲の印象を変える
③Aメロ ラッパー1
④A'メロ ラッパー2
⑤Bメロ(クリシェ) タメを作って翼を広げる
⑥サビ カノン 謎掛けの回収
⑦間奏 コール&レスポンス 観客と一体感をつくり出す 物販対策
⑧大サビ ドラマティックマイナー 観客の高ぶった感情にダメ出しを
⑨アウトロ カノン 余韻を残す 物語は永遠に続く
④オリジナリティ=唯一性
「トイレの神様」理論 超個人的なことが意外に普遍性を獲得する
別にトイレに神様がいようがいまいが関係なく、リスナーは「トイレの神様」の歌詞世界を、自分のおじいさんやおばささんとの過去の思い出に置き換えて共感することができる
カノンのコード進行は、「安心の法則性」
大逆循環という一定の規則性は、日常生活に置き換えれば「行ってきます」から「おかえりなさい」であり、そのサイクルを守ることは「退屈な日々」を生み出すかも知れない
アイドル
終わりを愛でる芸能
AKB48の楽曲
歌い継がれていくアンセム方式
「会いたかった」は、宝塚の「すみれの花咲く頃」
ももクロ
ラウンドワン型 サビだらけの楽曲
ビジュアル系のキメ、カオ、ヒモ
作詞作曲モノマネ
①手癖=コード進行
ドラマティックマイナー Am-F-G-C
②メロ癖
③のど癖
④歌詞癖
長渕剛 「〜ちまったぁ」 弱者の視点 田舎者の都会での苦難
日本のポップスは全てノベルティソングである
人格/規格
規格と人格が互いに過不足ない状態になっている作品が最もオリジナリティが高い。規格と人格がマッチングしていない場合は、コミカルなものになったり、違和感が出る
アーティストとしての文体がより確率すればするほど、その思想が浮き彫りになっていく -
http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4594069037
── マキタ スポーツ《すべてのJ-POPはパクリである ~
現代ポップス論考 20140129 扶桑社》
マキタ スポーツ 物まね芸人 19700125 山梨 /籍=槙田 雄司 [A]
…… 僕も佐村河内 守さんみたいに楽譜は読めませんが、工夫すれば
オリジナリティーは出せる。ゴーストに頼らなくても曲は作れる。この
本は佐村河内さんにおすすめです(略)今後頑張って世に出てくること
あったら、僕と組みませんか。
(サイン会では、長髪にサングラス姿で佐村河内さんになりきり登場)
http://www.nikkansports.com/entertainment/news/f-et-tp0-20140208-1254908.html
画像:佐村河内守氏のものまねで登場したマキタスポーツ
http://cache2.nipc.jp/entertainment/news/img/et-hasei140208-makita-ns-big.jpg
http://hayabusa3.2ch.net/test/read.cgi/mnewsplus/1391852080/-100
(20140208)
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創作論でもあるが、現在のSNSなどが普及し誰でも発信者に表現者になれる時代での戦い方やオリジナルを巡る問題をマキタさんがやっている音楽ネタから丁寧に説明している。
大塚英志『物語の体操』に近しいものがあると感じるのは表現者の「私」を巡る問題がネットによって誰でも発信できるようになると、オリジナルとコピーの問題や自意識をいかに管理するかなんてことができないとかなりやっかいな問題になってしまう。
そこからこぼれ落ちるぐらいだとまだいいが、逆恨みなんかに反転してしまうと『黒子のバスケ』脅迫問題を起こすような事件にも繋がるのではないかと僕は思っている。
ここでマキタスポーツさんが書いていることも大塚さんの『物語の体操』でも共通しているのは曲も物語もパターンがあっていろんなものを掛け合わせることで創作は可能だということ。しかし、最終的には作り手の個性が反映されていく。パターンだから同じように工業製品のようにある程度までは作れるが、あとは作り手の唯一性が大きな個性として独自なものにオリジナリティーを獲得できるかというものになる。
とても面白くタメになる一冊でした。