- Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
- / ISBN・EAN: 9784594069162
感想・レビュー・書評
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稼働店舗と1店舗あたりの在席女性の数から、日本全国の
風俗嬢の人数を30万人と推測。
風俗嬢の平均月収は49万円、首都圏と地方のワリキリの
平均金額の違いなど、まあ、風俗関連の数字について
よくぞここまで仮説を立てたと、好きな人には面白い夜の経済学。
ただ、ただのエロ経済の話ではなく、光ったのが後半部分の
貧困・生活保護に関わる考察。
それなりの所得を得ている人たちは、生活保護を受けている
人たちに対して厳しい評価を下している、これはすなわち
”貧困を想像できていない”という指摘。数字が物語っているだけに
間違いなく事実。
(別のことでも触れて、著者は”自分にやや厳しく、他人には
超厳しい”傾向と表現しています)
そして、この結果が今の日本を覆っている、息苦しさにもなっているの
ではないでしょうかね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
まともにデータのない「夜の世界」に対して、社会科学的な手法を用いてあれこれと推定してゆく切り口が面白い。社会科学的な思考法を学ぶと同時に、社会科学的な手法を用いた遊びの面白さもある。
巨乳のほうが選ばれやすいとか、お尻よりも胸を好む日本のほうがセックス回数が少ないとか、「そりゃそうだよなぁ」と思う下世話な話も多くて面白い。さすがSPA.
推定される月収といい、リスクに対する収入といい、リスクに見合っていないなぁ、というのが第一感だった。やはり貧困との関連が気になる。 -
いわばヤバい経済学の日本版。統計的手法を駆使して社会現象をあぶり出していく。
タイトルが「夜の経済学」と言うだけあって、下半身よりの話題から分析が始まる。例えば、風俗嬢の割合を可能な限りの情報を駆使しながら執拗に推定していく(20人に一人が風俗嬢の経験を持つという結論は、肌感覚的には少し控えめにも思えるが)。そのほか大学偏差値別の童貞/処女率とか、まあ下世話な話に事欠かない。
ただ、これはあくまで導入。話題が地域別の風俗価格の分析に入ったあたりから、性風俗産業というのが様々な格差を如実に表すものであることが明らかになる。そこからさらに、生活保護や流言飛語といった社会問題にまで踏み込んでいく。下世話な話はここに至るための誘導であり、本来的な目的は、データから冷静な分析・議論をしていこうという真っ当なもの。そうして集められたデータからは、例えば高所得者ほど生活保護に対する寛容度が低い、多くの日本人が外国人の犯罪率を実際より平均的に20倍も過大に評価しているなど、考えさせられる実態が炙り出される。もちろんアカデミックな分析ではないものの、こうした形で巷間印象だけで語られがちな現象に光を当てることは意義のあることだと思う。
まあ、最後の最後で、アダルトメディアの分析をして、ふたたび下世話な下半身に戻って話をしめていて、このあたりはやはりSPA!の企画なんだな、という妙な納得感がある。 -
この手の本としてはかなりのヒット。
本文にも書いてあるとおり Inspired by 「ヤバい経済学」で、公式統計がない風俗などの分野について、なんとかして統計データを作った上でクロス統計で分析を行う、というのを読みやすくまとめてある。人々はなんで風俗産業で働いているのか、とかね。
「ヤバい経済学」を読んだ時と、知的興奮という意味ではやっぱり非常に近いんだけど、出てくる分析がフィールドが日本だけあって、特に階層社会の現状については全く他人事ではない頭が痛い分析がバンバン飛び交うので、読後感はちょっと重い。「ヤバい経済学」も重い話題は多いんだけど、やっぱりアメリカの話題だから微妙な対岸の火事的な感覚で読めちゃうしね。特に風俗とワリキリでの参加者の階層や意識の違いのくだりは、現代日本社会の参加者なら誰でもかなりグサッと来るんじゃないか。 -
多くのメディアでは語られない、もし語られたとしても根拠の乏しい、夜の経済について、生真面目にデータを用いて分析している本。
こういうサブカルチックな本は面白い。ただ、こういう本はよく、筆者の主観が多分にはいってしまうものだと思うが、この本はかなりの調査量に基づいたデータをもとに議論が進むので、現実味があり、とてもおもしろかった。
正直、ブックカバーをつけて読むべきだったかなぁと今さらながら思っている所存である。 -
キャバクラ勤めしていた身として、興味津津。
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荻上作ってことで。夜の経済学をちょっと覗いてみたいってのもあったし。なかなかに興味深いデータが見られました。
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思ってたのと違ったが、統計学の観点から物事を捉える大事さを学んだ
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経済
社会 -
<blockquote><b>荻上</b 2ちゃんでも生活保護受給者をパッシングは目立つから、下が下を叩くんだな、っていうイメージが合ったんだけど、もう少しシンプルで【貧困を想像できない人がより厳しい」ってことなんだよね。
<b>飯田</b> だんだん、ジヌンが厳しいとは思っていない。「アタリマエ」だと本当に思っている、その「アタリマエ」観というのは、イデオロギーとはまた別なのかもね。一部のタカ派な人が大きく攻撃しているのが目立つけれど、実はそれは例外で、貧困文化からと多い人はむしろ声を出さずに静かにかららの首を締めていくという状況なんだ、
<b>荻上</b>そういう人は自分が厳しいとは思っていない。「アタリマエ」だと本当に思っている。その「アタリマエ」観というのは、イデオロギーとはまた別物なのかもね。(P260)</blockquote>