洞窟ばか

著者 :
  • 扶桑社
3.76
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本棚登録 : 212
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594076252

作品紹介・あらすじ

暗闇の先に広がる誰も見たことのない世界が、どうしても見てみたい!

「なぜ洞窟か?」と聞かれれば、「そこに未知の世界があるから」。
17㎝の隙間があれば身体を押し込み、泥にまみれ、ロープに吊り下がり、落石で肩を砕かれたこともある。そこに現れるのは、荘厳な鍾乳石のホールであり、何十メートルもそびえ立つ氷の柱であり、水の張った美しい棚田のプールであり……。地下には想像を絶する素晴らしい世界が広がっている。
しかしそれ以上に吉田を駆り立てるのは「未踏」だ。人類で初めて自分が足を踏み入れる空間。その興奮が吉田を洞窟のとりこにした。

ロープ1本で400メートルの縦穴(東京タワーがすっぽり入る)を下りる恐怖や
最長では11日に及ぶという洞窟内での過ごし方(排泄物は持ち帰る!)、
ベトナムで見つけた火山洞窟があとから大発見だと判明したりなど、
洞窟探検譚はもちろん、洞窟内で遺体を発見した仰天エピソードから、真剣に取り組む洞窟ガイド育成まで、「洞窟のおかげで人生が豊かになった」という洞窟愛がこれでもかと詰まった1冊。

破天荒な行動と憎めない人柄、何よりも、洞窟にかける情熱とときめきに、こちらまで胸が熱くなる。人なつっこくて怖がりで、ロマンチストで、たまにアホ。
読んだら元気が出ることは間違いない。

感想・レビュー・書評

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  •  ナショナルジオグラフィック3月号で洞窟が特集されていた。
     転倒した拍子に岩に挟まって動けなくなり、そのまま死んでしまったからコンクリートで塗り固めたというエピソードがあり、ケイビングこえー、と思った。
     この記事から本書を知り、読みたくなって手にとった。

     アウトドア系で頭おかしいことやってる人たちの書く文章は、なんか面白い。最近だと宮城公博「外道クライマー」とか。
     今作はケイビング、洞窟探検に人生をかけている男の話だ。

     中学高校時代はケンカに明け暮れた男は洞窟と出会って人生を変えた。
     誰も見たことない世界を見たい。
     三重の霧穴に通いつめ、洞窟内部にベースキャンプを作るほど。

     メキシコの400mの縦穴をロープ一本で下り、
     ベトナムでは溶岩洞窟を発見する。

     なぜ洞窟に向かうのか。
     アウトドアをやったことはない連中は、そういうくだらない質問をする。
     やりたいからに決まっている。
     それ以上でも、以下でもない。

     世界の下には未知の世界が広がっている。

  • 冒険と探検の違いは、帰ってくることを前提にしているかどうか、冒険はその行程そのものを楽しむ行為である一方、探検は未知を発見し、世に周知することなのだという。吉田さんはまさしく洞窟探検家で間違いない。

    のっけから落石にあってものすごく大変だった話から始まるのだけど、終始テンション高く、洞窟がいかにおもしろい場所か、読んでいるこっちも洞窟に引きずり込まれるような筆致が続く。
    でもやっぱり、閉所恐怖症の身としては洞窟は無理だなー。顔半分が水没しながら進まないといけないとか、パニックになることが見えている…。

  • TBSクレイジージャーニーでまっちゃんが呆れるほどの洞窟探検家。エピソードが素人にも想像つく登山家のそれとは全然違うぶっとびぶり、まさに未踏のジャンル。文才も抜群、個人的には洞窟には一切残さないというポリシーの排泄物をどうやって持ち歩きするのか、そのエピソードを想像すると大笑いできました。テレビでは味わえない面白さ

  • Google Earthで地形や地質がだいたいわかるので、洞窟がありそうな場所の目星をつける。前後に水が流れているが、その間で消えている場合。

  • 結婚しても奥さんに逃げられて、みたいなのがこういう人のテンプレートかと思ったらそうではなかった。
    家族の理解があって本人が楽しければ良いと思います。
    https://seisenudoku.seesaa.net/article/472426159.html

  • ムスコ用に借りた本が吉田さんの本で、それが面白かったので大人用の本も借りてみた。
    死ぬこと以外はかすり傷精神で、やりたい事をやり通す生き方はなかなか痛快。
    映像作品も観たくなりました。

  •  まだ見ぬ洞窟を求め、暗い縦穴をロープ1本で降り、岩の分れ目へ身をねじ込んでいく。
     日本全国、世界各地の洞窟を探検する人の自伝的な本。

     洞窟の危険さ、暗さ狭さ怖さを語る一方で、洞窟に入りたいと、新しい洞窟を見つけたいと熱く語るひと。
     洞窟内部の描写がすごくリアル。スリルどころではなく危険極まる中、著者の嬉々とした洞窟語りが異色を放っています。

     冒頭から始まる大ピンチ。文章は勢いに乗る一方で、テンション上がりっぱなしで最後までつっ走るのがすごい。

     どの分野であれ、『自分が最初の1人』になりたいという人は、結構いるとは思います。新商品、新技術、新理論、新発見、etc.
     でも、『物理的な意味で』の『自分が最初の1人』っていうのは、……あんまし聞かないなぁと。

     写真と文章で語る光景が、とにかく現実離れしているので、ちょっとした冒険に出かけた気分になれました。
     顔だけ水面から出して通る細い洞窟、体を斜めにしないと通れない細い洞窟、1回行ってみたいです。

     もともと洞窟好きなので、本を読んでると、そわそわします。無性に洞窟に行きたくなる。
     いいなぁ、暗くて狭くて岩盤が迫る地下空間。

  • シンプルで強い人はカッコイイ。

  • 内容(「BOOK」データベースより)

    落石で骨折し片手で300メートルのロープをよじ登る。17cmの隙間があればもぐりこむ。排泄物はすべて持って帰る。とき に10日間以上洞窟に入りっぱなしのことも。何度死にかけても、見てみたい!!圧倒的な暗闇に広がる、美しくも恐ろしい世 界。

    クレイジージャーニーで彼が小さな穴に体をねじ込んで進んで行く姿を見たときには、体に恐怖の震えが走りました。閉所で暗闇って僕の中では高所以上の恐怖。なんでこんなところに入るんだろうともっとも不思議に感じる探検です。大きな空間に出た時の感動は分かる、苦労して自分で見つけた空間だと感激もひとしおでありましょう。でも駄目、やはりあの映像は心臓に悪いし、自分が引っ掛かって出られなくなる事を勝手に脳内シミュレーションしてしまうので息が苦しくなる。。。
    文章になると落ち着いて読めていいですねやはり。破天荒で豪放で自己中心的で精神論者で意外と慎重な人柄がむき出しで、これだけ自己顕示欲強いのに人が離れないというのは、とても強い引力がある人なのでしょう。自分的には苦手なタイプなんですが、これぐらいぐいぐい行く人の話の方が断然面白いですよね。
    もう一作位書くと、いい具合に自己顕示欲が抜けたいいものが書けるような気がします。

  • あふれんばかりの情熱を捧げる対象が洞窟だった。人それぞれ好きなものは違うだろうが、この著者は登山、ダイビングなどを経て洞窟探検に行き着いた。一気に読めて、自分でも洞窟探検をしているような気にさせられた。

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著者プロフィール

洞窟探検家。1966年、大阪府生まれ。20代後半で洞窟にのめり込み、今まで入った洞窟は国内外含め1000以上。(有)勝建代表取締役、(一社)日本ケイビング連盟会長。洞窟のプロガイドとして、テレビ番組での洞窟撮影、学術調査、研究機関からのサンプリング依頼、洞窟ガイド育成など、洞窟に関わることならすべて請け負う。洞窟をガイドする事業「地球探検社」、洞窟探検チーム「JET」、洞窟探検プロガイドチーム「CiaO!」主宰。

「2021年 『洞窟ばか~すきあらば前人未踏の洞窟探検~』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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