「Jポップ」は死んだ (扶桑社新書)

著者 :
  • 扶桑社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784594077778

作品紹介・あらすじ

かつての「ヒットの教科書」が大不況に喘いでいる。
一体「Jポップ」に何が起きているのか?

不況に喘ぐ「Jポップ」をよそに、
音楽業界は活況そのもの!?
徹底した現場取材でその姿を描く!

CDの売上が半減し、国民的大ヒットもなくなり、街からCDショップが消えたいま、音楽業界は風前の灯なのか? ところがどっこい、じつは活気に満ちている。元気の素はパチンコ? ウエディング? カラオケ? 逞しき音楽業界の〝いま〟を徹底した現場取材で浮き彫りにしていく。

主な内容
●〝日本の〟ライブハウスはまず潰れない
●カフェが本物の〝ライブハウス〟を実現
●音楽はYouTubeで無料で、ライブは有料で
●フェスがひとつの産業になった
●自作リリースにカネはいらない
●なぜウォークマンはiPadに惨敗したのか
●パチンコはいまや音楽マスメディアだ
●結婚式という音楽メディア
●楽器の弾けないミュージシャン―――etc.


本書は所謂俯瞰に音楽業界を扱った本ではなく、著者がライブ会場、フェス、パチンコ、結婚式場、楽器店、モジュール・シンセ・ライブ(および店舗)、レコード・カッティング店等々すべてゲンバまで足を運んで取材している音楽ルポ。「ヒットの教科書」とされていた「Jポップ」が凋落する様は他のビジネスにも大変参考になる。そういう意味では〝ビジネス書〟的な側面もある。

感想・レビュー・書評

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  • 2019年10月11日読了。2017年になり、ミリオンヒット連発の90年代から「Jポップ」がどう変化したか、を読み解く本。刺激的なタイトルだが、死んだのは「タイアップ」のビジネスであり大資本が大量生産したプロダクトを大衆に機械的に届ける仕組みであり、届ける側も楽しむ側も「より自由になった」と言えるのだろうか…。CDの売上が縮小する中で、パチンコ業界・カラオケ業界・ウェディング業界が音楽のサプライヤとして大きな勢力になっている、という指摘は面白い…。確かにいかにフェス文化が根付き隆盛とは言っても、フェスに行かない人には関係ない現象だもんな…。

  • J-Popの質自体が悪化したという話では決してなく、J-Popの在り方が変わったということを主軸に置かれている。

    文体自体は読みにくいということはなく、明解だった。

    項目の一つには、音楽を聴くのが無料になった分、ライブに使われるお金が増えているというところがあったが、世界的パンデミックの中、現行の音楽産業の苦悩が想像された。

  • インターネット登場後の音楽をめぐる状況。
    今どこで、どういう形で音楽に触れているのか、
    ライブハウス・フェス・ネット・パチンコ屋カラオケ結婚式・楽器店への取材。
    CDという媒体が売れなくなり、
    設備や機材を維持できるかたちで運営される場所が少なくなる。
    ライブハウスのノルマ制は日本ならではのやり方。
    ライブハウスの経営が安定しても、
    音楽を聴いてほしい人は身銭を切ってすり減っていく。
    むしろ、レンタルホールと割り切って、
    目の前に客がいなくても、
    ライブを動画配信すればいいという若いミュージシャンもいる。
    大音量を前提にしないカフェで、飲食店としての経営と投げ銭の分配で
    店もミュージシャンも客も負担が少なく楽しく続ける、という形が
    増えているらしい。なるほど。

    JASRACの収益からパチンコや高齢者向けカラオケが
    音楽を聴く場のひとつとなっているのは分かるけど、
    それだと一部の有名な、昔から親しまれている曲に集中するよね。

    ウォークマンを生んだソニーの元エンジニアの方のインタビューの中にあった
    「日本人は過去の延長線上で未来を考える」の一言が凄い。
    確かに、時代が進んでまったく新しい環境が生まれているのに、
    それがなかったころのアタマが考えたものに
    いつまでも技術をつぎ込んでいくって
    今もまだ続いてることで、ぜんぜん意味がないことだってあるかも。
    電気自動車もその真っただ中にあるんだろうなあ。

    デジタル化が進んで、アマチュアでも、技術がなくても
    安価に音を作れる、発表できる環境が生まれてる中で、
    アナログシンセという「肉体性」のある楽器が
    注目されているというのが面白い。

  • かるーく読めるいい新書。疑問が解けてよかった

  • 死んだのは「Jポップ」ではなく、「Jポップ」という言葉を生み出し、消費したメディア。ライブはまだまだみてみたいと思う。

  • Jポップについて色んな角度から語った一冊。

    Jポップの音楽的な話かと思いきや、構造的な話が多かった。

  • ‪現代の邦楽を批判する本ではない。むしろ著者は邦楽を「多様性や自由度を増し、どんどん面白くなっている」と評している。音楽の流通からメディアの変化を考察した一冊。特に第3章は音楽に詳しい・疎い関係なく勉強になる。辻野晃一郎氏が語るウォークマンがiPodに負けた理由も興味深かった。‬

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著者プロフィール

1963年1月京都市生まれ。
1986年、京都大学経済学部を卒業し朝日新聞社に入社。名古屋本社社会部などを経て1991年からニュース週刊誌「アエラ」編集部員。
1992~94年に米国コロンビア大学国際公共政策大学院に自費留学し、軍事・安全保障論で修士号を取得。
1998~99年にアエラ記者としてニューヨークに駐在。
2003年に早期退職。
以後フリーランスの報道記者・写真家として活動している。
主な著書に『ヒロシマからフクシマヘ 原発をめぐる不思議な旅』(ビジネス社 2013)、『フェイクニュースの見分け方』(新潮社 2017)、『福島第1原発事故10年の現実』(悠人書院 2022年)、『ウクライナ戦争 フェイクニュースを突破する』(ビジネス社 2023)などがある。

「2023年 『ALPS水・海洋排水の12のウソ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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