桶狭間の四人 光秀の逆転

著者 :
  • 毎日新聞出版
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620108315

感想・レビュー・書評

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  • これが四人シリーズでは一番新しいみたい。一番新しいのに最も古い戦いを扱う。桶狭間だもん、光秀をどう絡ませるのかが作者の腕の見せ所ですな。光秀が資料に出てくるのは本圀寺からだから、作家としては自由度の高い人物と言えるかもしれない。今回も抱腹絶倒だったけど、前の3作を振り返ると、先の理由から光秀目線の作品が多かったことに気付いた。もう一度『長篠の四人』を読もうかな

  • 信長モノは面白い。
    この4人にフォーカスした話ってのもよい。
    続編があるみたいなので、また読むかな。

  • 面白かったような面白くなかったような…最後は超居眠りをかましながら読了。秀吉がひどく情けなく描かれているのはいただけない。

  • 大学受験時には日本史を選択しませんでしたが、社会人になってからは専ら、それを取り返すべく日本史に触れてきたと思います。中でも一番興味があるのは、織田信長の一生を決めたと言っても過言ではないと、私が思っている「桶狭間の戦い」です。

    私が以前に読んだ解説本を思い起こしてみると、今川義元が油断していた、緒戦の勝利のお祝いのお酒を飲んでいた等、ありましたが、それまでの今川氏の業績を見ると、それは変だ!と、ずっと思ってきました。

    その後、この本のあとがきでも触れられているように、藤本氏による「桶狭間の戦い」などで、その戦いの様子が少しずつ見えてきました。

    この本は小節です、筆者は多くの文献を研究し、真実に迫る努力をしたのちに、その成果を一般の人にわかりやすい小説の形にしてくれています。

    特に、桶狭間の戦いにおいて、信長・秀吉・光秀・家康がお互いに接点があったという点です。特に、秀吉は光秀の手下のような形で戦いに参加しているとしている点も面白かったです。

    以下は気になったポイントです。


    ・織田信長が美濃・斎藤義龍と、三河・駿河・遠江の今川義元に挟まれてもつぶれずにいるのは、尾張国自体が大国であること、義龍が内政の整備を優先させていること、今川が武田信玄と北条氏康に脅かされているから(p29)

    ・戦国武将が幼いころから孫子六とう、を叩き込まれるのは、標準語や共通語が存在しないこの時代、他国者と会話をする手段が漢籍しかなかったから(p67)

    ・鉄砲は製造工程が複雑できわめて高価だが、速射がきかないという大きな欠点がある。光秀が三丁の鉄砲を用意しているのは、発泡・冷却・玉込めを分担させるため、一丁だけでは弓矢に勝てないから(p75)

    ・いつまでに、と期限を区切らないこと、なれたらいいなあ、と緩く願うこと、そして、願い続けること、が大事、光秀の妻・熙子の言葉(p94)

    ・普段の行いよりも、要所の押さえで人生は決まる(p103)

    ・やり直せる気力が失せた時から、老いは始まる、秀吉の言葉(p130

    ・永禄3年5月1日は、西暦では1560年5月25日であるが、これはユリウス暦換算で、これは紀元前45年ユリウス・カエサルにより制定された、1600年後にローマ法王・グリゴリウス13世により改められ現在も使われている、それによれば6月5日となる(p133)

    ・老いるとは、経験の数と選択肢の数を交換すること、老いるほどに経験が増えて人生の選択肢が減る、光秀の言葉(p204)

    ・組織経営が傾きそうなとき、自分の判断で自己都合あつかいで退職するより、組織経営の立て直しに尽力したが力及ばず組織が倒れて組織都合で退職を強いられたほうが、再就職に有利なのは、いつでもどこでもどんな時代でも同じ(p207)

    ・織田信長の熱田神宮戦勝祈願は、合戦に勝つことを神に頼むのではなく、今川と戦うぞ、という目標を明らかにすること。そうすると、味方から暗殺される可能性は低くなる。この状態で信長を暗殺して今川に持って行っても、暗殺者は再就職先で信用されない。これは善照寺砦で待機している信長家臣団に殺されないための「そなえ」である(p209)

    ・人は銭で命は捨てないが、情熱に動かされて命を捨てる(p222)

    ・戦国時代の戦国武将と家臣団との関係は、雇用主と社員の関係ではなく、個人事業主の職能組合と組合長の関係にすぎない、これは織田信長のケースでも事情は変わらない。自分の功績が第一で、全軍の勝利はその次(p238)

    ・光秀は、「今川義元に自分を高く売るために」織田にいる、秀吉は「織田信長が評価してくれないので、今川義元に乗り換えるために」織田に参陣している(p251)

    ・足軽を束ねて馬に乗って前線に出る侍大将、侍大将を束ねて「備:槍・弓・鉄砲・騎馬組」を率いる武者大将なら戦死することはある、彼らの首を取ることが合戦の勝敗を決める。しかし、総大将が戦場で死ぬことはほとんどない(p259)

    ・戦国時代の合戦は、たくさん敵を殺した方が勝つのではない、陣をくずさず戦場に踏みとどまった者が多い方が勝ちである(p262)

    2019年7月15日

  • 前三冊から少し時間を経て読了。今回のお言葉は「だからどうした?努力に酔うな。苦労に甘えるな。」でした。

  • 信長、家康、光秀、秀吉の若い時の関係が、分かりやすく(?)、滑稽に描かれていて面白おかしく、ある意味シビアに読みました。人生は簡単には進まない、みんな悩んで生きている。

  • 20171002読了

  • 「~の四人」の新作。次はどこに行くのかと思っていたら。桶狭間でした。
    信長は尾張をまとめ上げたころ。家康は今川の人質、まだ名前も元康。秀吉は、雑人の隠密家業。光秀は初老の浪人。四人が四人とも何者でもない頃。言葉を借りれば、夜明け前の四人です。

    光秀の苦労がクローズアップされる今回。いつもは家康が苦労しょいこむんですけどね。光秀の就活物語というのもうなずけます。

    あとがきの「髪と仕事はあるうちに選ばせて遊ばせてあげればいい、年を取ったら選択肢どころか、なくなるから」というのが、先達の重みと戯れの混ざった至言と思います。いつか使わせてもらおうと思います。

  • 4人衆シリーズで桶狭間の今川との戦いの前後を光秀、秀吉、家康、信長の4人の絡みを面白く描くフィクション小説で鈴木さんの真骨頂で有る各人の心模様の描写が愉快!!4人の歳の差関係も知れて特に親子程の年上の光秀の苦労を重ね芽が出ぬ生き様が哀愁を感じる。秀吉は、金ヶ崎でも調子が良いが上手く立回る処世術は後々の時代を乗り越える片鱗を感じる。と言ってもそんな堅苦しい内容では無く、単に面白おかしく4人を描く小説で好きなシリーズだ。

  • 光秀、秀吉、家康、信長という、戦国4大スターが繰り広げる、現代劇風物語。小劇場の芝居の設定に良くありそうな(いや、あり得すぎて逆にないような)感じだけど、わざとらしく、安っぽくならないのは(たとえば、光秀の秀吉へのツッコミとか頻出する)、うまく抑制が効いているからだろうか。
    ある種ビジネス指南書的な見方もできるけど、あくまで気軽なエンタメ作品として読みたいところ。

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著者プロフィール

1960年岐阜県生まれ。94年『めんどうみてあげるね』で日本推理作家協会賞受賞。著書に『浅井長政正伝』『信長と信忠』『お市の方』『織田信雄』等多数。主宰する小説講座からは各文学賞受賞者を多数輩出。

「2020年 『新・時代小説が書きたい!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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