我らが少女A

著者 :
  • 毎日新聞出版
3.52
  • (39)
  • (85)
  • (76)
  • (21)
  • (11)
本棚登録 : 822
感想 : 99
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620108421

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 代表作は、映像で観ただけだったので、今回が高村薫作品初読み、初読了。
    さすがに重厚感はあるが、大きな展開があるわけではなく、それぞれの登場人物の行動、心理描写が淡々とかつ丁寧に綴られていて、自分も彼らが暮らす街の住人になった気持ちで読み進んでいく。すっきり事件解決とはいかないが、親子、夫婦、恋人、友だち…リアルな人間関係とは、そういうものなのだと思う。

  • ふー、ひさしぶりに長編小説読める幸せ…。
    物語の力でぐいぐい引っ張られる小説もいいけど、なにより文体がしっくりくるものって、長い時間をかけて一つの世界にどっぷり耽溺する快感を味わわせてくれますね。そういう意味で高村薫は自分にとっては外れなしの作家。
    今作では、合田雄一郎は57歳で警察大学校の教授になっていて、12年前の未解決殺人事件というミステリらしき謎はあるものの、すべては多摩という小さな町に暮らす人々の心を揺らす小さな嵐として過ぎ去るだけ。小さな世界をめぐる、どちらかといえば鬱々とした話だ。人間ドラマというよりも、まるで互いに言葉を交わすことのない虫たちの世界をじっとのぞき込むような。しかし全体を見通して謎を解き明かす神はおらず、刑事たちも、主人公も、あるいは読み手もまた、どうしようもない突風に翻弄される虫たちの一匹にほかならないのである。

  • 上田朱美という女性がつきあっていた男性に殺害される。
    犯人の証言から、殺された朱美が12年前に起きた殺人事件に関わっていた疑惑が上がる。
    12年前の事件とは、
    朱美の恩師ー水彩画の先生が殺された事件。
    刑事たちは当時その事件に関わっていた人間に聞き込みを始める。
    そこから朱美という、当時15歳だった少女やその周辺の人間、関係性が見えてくる。

    この本のレビューを書く際、検索をした所、画集まで出ているのを見て、人気のある本なんだなぁ・・・と思った。
    私はこの作者の本は初めて読んだけど、あまりに読みにくい文章で全然ダメだった。
    読んでいて内容が全く頭に入ってこない。
    人物同士の会話がカギカッコで区切られてなく、彼らの思っている事も全て続けて文章で書かれているので読みづらい。
    ゲームがどうのこうのというのをやたら詳しく書いてあるのにも閉口した。
    まるで苦行のような感じで、とりあえず読んだからには結末が知りたいと思って我慢して読んだ。
    そうして知った結末は何じゃそりゃ?
    で、これだけ人気ある作品、作家だというのを見ると、私には読解力がないんだろうと思う。
    どんな本でも読めるというタイプでなく、本の好き嫌いが激しいので仕方ないかな・・・って感じ。
    しばらくこの作者の本はいいかな・・・。

  • 2020年最初の作品。合田シリーズでもありますが、中心人物というよりは登場人物の一人とした方がいいのかも知れません。一人の女性の殺人事件から12年前の未解決の殺人事件がクローズアップされてきます。その事件が解決されるのではありませんが、当時事件の周囲にいた人々の日常に大小様々な波紋を投げかけます。その描写が実に見事で読み入ってしまいました。合田さんも58歳。初登場の「マークスの山」では30代だったんですね。私も歳を取るはずだわ(^^;;

  • あまりはまらず…。途中で断念。

  • 合田シリーズ。
    とりあえず読み切った。
    いろいろな人物からの視点で過去にあった未解決事件についてを語る体裁。
    新聞で読んでいた人はいらいらしなかったのかなぁと思う。
    合田も加納もおじさんになったというか老境に差し掛かってきたのだなーと時間の経過を感じるところが変に現実にリンクしていてリアル。
    結局犯人はわからずじまいでなんだかなーというかすっきりしないというか。
    事件解決が本題ではなく当時の風俗や社会的な倫理を書きたかったのかなぁ?
    時間というのは不可逆的なものなので事件捜査という時間との戦いに負けちゃうと行くか後から物的? な証拠が出え来てもなかなか実証されないし。
    ただ当時の人たちの感情に対して寝た子を起こすことになる。
    刑事もお仕事なんだけど被害者の家庭も被疑者の家庭も関係者全員がなんか不幸。

  • ネットと現実の世界が混在している今の日本の状況を作者なりに捉えた小説。もはや、合田シリーズの最新刊という枠で捉えられるミステリーを大きく超えている。

  • 宮部みゆきならともかく、高村薫ワールドで、モンストやらドラクエやらに遭遇するとは思わなかった。シャドバ?デッキ構築?あ、本筋と無関係でした(笑)

    舞台は小金井周辺で、殺人現場は野川公園。
    うーん、ローカル過ぎる。おまけにポルシェ洋菓子店やらLEMON DROPやら、実在のお店がわんさと出てくる。そうか、先日吉祥寺に行った時、なんか全然別の街…と思ったら、ロンロンがないからだったのか!
    登場人物は多めだが、キャラ造形が地道に丁寧にされるせいで混乱はない。同様にストーリーも阿漕なイベントでどんでん返しってこともなく、反則なギミックに欺かれることもなく、外堀を確実にじっくり埋めながら、現在形の神視点の三人称で淡々と終焉へと導かれる。
    …ってでも、コレ、フーダニットじゃなかったってこと?うーん。仮にも警察官小説で、このラストはなくないか?ま、警視庁へ異動した合田の次作に期待する…って、次も7年後か?w

  • 西武多摩川線に乗りたい。野川公園を散歩したい。

  • 髙村薫さん、気になるんですが相変わらずむつかしいです。
    毎日新聞に連載されていた当時は楽しみにしていましたが、毎朝毎朝、細切れに読んで到底理解できる内容ではないなと、単行本になるのを待っていました。

    久しぶりの合田雄一郎の登場ということで皆さんの期待も高まっているようでしたが、合田さんもすでに一線を退き警察学校の先生をなさっていて、表立って捜査に加わるということはないです。

    また単なるミステリーではないので(高村さんはこのミステリーというジャンルにひとくくりにされるのを嫌っておられますよね?)犯人と刑事との丁々発止みたいなものもないし、結局最後まで犯人が明らかにならないという、別に犯人はどうでもいいではないけれど、その事件を取り巻く人たちの生活、人生観、などが昔にさかのぼって目まぐるしく繰り広げられて、一つ一つ理解して追いつくのが大変でありました。
    読後は、あ~面白かったなどということはなく、心に小さなさざ波がいつまでもいつまでも立っているような、ざわつきを感じています。

全99件中 41 - 50件を表示

著者プロフィール

作家

「2022年 『ベスト・エッセイ2022』 で使われていた紹介文から引用しています。」

髙村薫の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×