- Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
- / ISBN・EAN: 9784620108421
感想・レビュー・書評
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代表作は、映像で観ただけだったので、今回が高村薫作品初読み、初読了。
さすがに重厚感はあるが、大きな展開があるわけではなく、それぞれの登場人物の行動、心理描写が淡々とかつ丁寧に綴られていて、自分も彼らが暮らす街の住人になった気持ちで読み進んでいく。すっきり事件解決とはいかないが、親子、夫婦、恋人、友だち…リアルな人間関係とは、そういうものなのだと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ふー、ひさしぶりに長編小説読める幸せ…。
物語の力でぐいぐい引っ張られる小説もいいけど、なにより文体がしっくりくるものって、長い時間をかけて一つの世界にどっぷり耽溺する快感を味わわせてくれますね。そういう意味で高村薫は自分にとっては外れなしの作家。
今作では、合田雄一郎は57歳で警察大学校の教授になっていて、12年前の未解決殺人事件というミステリらしき謎はあるものの、すべては多摩という小さな町に暮らす人々の心を揺らす小さな嵐として過ぎ去るだけ。小さな世界をめぐる、どちらかといえば鬱々とした話だ。人間ドラマというよりも、まるで互いに言葉を交わすことのない虫たちの世界をじっとのぞき込むような。しかし全体を見通して謎を解き明かす神はおらず、刑事たちも、主人公も、あるいは読み手もまた、どうしようもない突風に翻弄される虫たちの一匹にほかならないのである。 -
2020年最初の作品。合田シリーズでもありますが、中心人物というよりは登場人物の一人とした方がいいのかも知れません。一人の女性の殺人事件から12年前の未解決の殺人事件がクローズアップされてきます。その事件が解決されるのではありませんが、当時事件の周囲にいた人々の日常に大小様々な波紋を投げかけます。その描写が実に見事で読み入ってしまいました。合田さんも58歳。初登場の「マークスの山」では30代だったんですね。私も歳を取るはずだわ(^^;;
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あまりはまらず…。途中で断念。
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合田シリーズ。
とりあえず読み切った。
いろいろな人物からの視点で過去にあった未解決事件についてを語る体裁。
新聞で読んでいた人はいらいらしなかったのかなぁと思う。
合田も加納もおじさんになったというか老境に差し掛かってきたのだなーと時間の経過を感じるところが変に現実にリンクしていてリアル。
結局犯人はわからずじまいでなんだかなーというかすっきりしないというか。
事件解決が本題ではなく当時の風俗や社会的な倫理を書きたかったのかなぁ?
時間というのは不可逆的なものなので事件捜査という時間との戦いに負けちゃうと行くか後から物的? な証拠が出え来てもなかなか実証されないし。
ただ当時の人たちの感情に対して寝た子を起こすことになる。
刑事もお仕事なんだけど被害者の家庭も被疑者の家庭も関係者全員がなんか不幸。 -
ネットと現実の世界が混在している今の日本の状況を作者なりに捉えた小説。もはや、合田シリーズの最新刊という枠で捉えられるミステリーを大きく超えている。
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西武多摩川線に乗りたい。野川公園を散歩したい。
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髙村薫さん、気になるんですが相変わらずむつかしいです。
毎日新聞に連載されていた当時は楽しみにしていましたが、毎朝毎朝、細切れに読んで到底理解できる内容ではないなと、単行本になるのを待っていました。
久しぶりの合田雄一郎の登場ということで皆さんの期待も高まっているようでしたが、合田さんもすでに一線を退き警察学校の先生をなさっていて、表立って捜査に加わるということはないです。
また単なるミステリーではないので(高村さんはこのミステリーというジャンルにひとくくりにされるのを嫌っておられますよね?)犯人と刑事との丁々発止みたいなものもないし、結局最後まで犯人が明らかにならないという、別に犯人はどうでもいいではないけれど、その事件を取り巻く人たちの生活、人生観、などが昔にさかのぼって目まぐるしく繰り広げられて、一つ一つ理解して追いつくのが大変でありました。
読後は、あ~面白かったなどということはなく、心に小さなさざ波がいつまでもいつまでも立っているような、ざわつきを感じています。