くさいはうまい

著者 :
  • 毎日新聞出版
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本棚登録 : 59
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620316352

作品紹介・あらすじ

発酵の神秘を追って東奔西走、いつの間にか世界中の臭いものを食べ歩くことに…。"発酵仮面"こと小泉武夫のにおい立つエッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • 発酵食、奇食、そして呑んだくれ・食いしん坊の権威 小泉武夫先生の発酵食についての本。
    前半では、非常にマジメな調子で発酵食品個別の食材にフォーカスを当て、その食品が出来上がる科学的根拠や、その効用なんかを書いているんだけど、すぐに我慢ができなくなったらしく、いつもどおりの食いしん坊の話しとなっている。

    発酵食について詳しいわけではないので、パンの起源はお粥のようなもので、それが偶然からクッキー的な平焼きパンとなり、またも偶然から酵母発酵された発酵焼きパンとなったという話しや、アンパンの起源は木村屋初代の木村安兵衛であるということなど、興味深い話しが散りばめられていた。

    先生曰く、この世の中で最も珍奇な食い物は、「フグの卵巣の糠漬け」であるという。ご存知のとおりフグの卵巣には猛毒があるのだが、これを発酵によって解毒し、食べてしまうというのは実に奇抜で独創的な発想で、世界にも例をみないものであるという。

    そして、巻末の対談部で先生はこの世の中で特に臭い食品3つをあげているのだが、最も激烈なものは韓国のホンオ・フェ、そしてカナディアン・イヌイットが食べるキビヤック、そしてスウェーデンのシュールストレミングであると言っている。
    シュールストレミングは、他の2つに比べて特異な側面を持ち、「俺はこんなに臭いものを食べられるんだ」とおう武勇伝に加えられる食べ物であるという点にもふれている。ストックホルムで毎年8月に開催されるシュールストレミング祭りでは、バイキングの格好をした大男達が缶を開けてにおいをクンクン嗅ぎながらやってくるという。

    日本にドクターペッパーという飲み物がアメリカから入ってきたが、あれはあまり日本人には好まれていない。においが日本人好みではないからだ。しかし、においのもととなるベンズアルデビト(R-COOHというパンの焦げるアルデビト系のにおい)ヨーロッパでは、女性の香水にもつかわれるみんな大好きなにおいんまんだそうな。
    そのにおいうの好き嫌いの原点は、その土地に流れる空気なんだという。日本人は、本質的な性質に肥溜めのにおいが好きなんだそうな。

    これまでにおいというと、臭い・臭くない というレベルでしか考えていなかった...というか、必然的にそっちに意識が集中してしまっていたのだが、くさいものでも美味いものとマズイものがあるということを、改めて認識した。だいたい、世界で一番くさいというシュールストレミングが、あのくらいなんで大抵のものは大丈夫な気がする。
    マズイものはまっぴらごめんだが、今後は各地に旅行に出かけたらその地域名産のくさいものでも食ってみようかと思う。

    くさいものを食うことを生業としようとしている人達には、ぜひ読んでいただきたい本だ。

  • 2024年3-4月期展示本です。
    最新の所在はOPACを確認してください。

    TEA-OPACへのリンクはこちら↓
    https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00196585

  • 2021/11/28
    本と本の間の気分転換に何げなく読んでいた。
    発酵食品の臭いとうまみをテーマに書かれたエッセイだが、数多くのものが紹介されていて素通りしていくものも多かった。
    二部はうまみよりも臭い比べというか、そこまでして口にするのかという感じだったが、3部での世界各地のその気候や土地の違いに根ざす臭いに対する受け止め方の違い(湿度の高い地域では有機酸、乾燥地帯ではエステル、ケトンが好まれる)はなるほどという感じ。
    納豆とまでいかなくともニンニクやネギ類も言われてみれば臭いはきついし、万国共通で普通に食されているわけではないということを知ると、やはりそれぞれの風土や食習慣に左右されていて日常的に食べている側からは判らないものだなと思った。
    以前、台湾へ行ったときに空港で感じた臭いが後で臭豆腐のものだと判ったのだが、かたや外国人からは日本ではあちこちで醤油のにおいがするといわれたこともある。
    やはりその場で暮らす人にとっては日常的なものだから気にも留めなくても、特殊な臭いはその土地土地にあるのだろうなと改めて思い出した。
    「風呂吹き大根」の由来は面白かった。

  • (2013-02-10)

  • 発酵と言えばこの人!な、小泉先生の本。他の本でも扱った食材や話題も重複で入ってますが、様々な発酵食品の中でも特に「におい」にこだわった食材・料理を選りすぐってお届け。文章の隙間からその強烈な臭いが伝わって来るような内容は読む人を選びますが、相変わらず面白いです。
    「もやしもん」とか好きな方には楽しめると思います。

  • テーマはもとより、筆致も心地よい。
    次は舌で鼻であじわいたい。

  • チーズの種類がたのしい

  • 発酵食品について扱った書籍である。 この手の本では文章も上手く。内容も非常にそそる。美味しんぼが好きって言う人にはたまらないかも。

  • 楽しいです。みなさん夏でも甘酒を飲みましょう。夏バテには甘酒です。甘酒は点滴と同じ成分があるのですぞ。

  • 発酵食品の歴史と恩恵、作用と知識、著者の失敗談、たまに料理レシピもあり新しい味に出会える本。いっぱいメモとった。匂いは記録できないけれど、少ない経験と体験を元に再現できた。実際の講義に参加できたらもっと楽しそう。

  • この人すごい。食べ物(中にはゲテモノも・・・)を想像しながら読むと楽しいですよ。
    発酵食品について詳しく知れました。

  • 前半は退屈。
    しかし後半のくさいもん話は、がぜんおもしろい。
    中でも、まんが『もやしもん』にも出てた「キビヤック」がすごすぎ!
    アザラシの体内に海燕を何十匹も詰め込んで、土に埋めて3年間発酵。あとは…読んでみて下さい。

  • "ナタデココ"がヨーグルトとおなじく発酵食品だってしってた?    
    パン、チーズ、鰹節、納豆、味噌・・・これみーんな菌が発酵してつくったモノ。

    で、発酵には"におい"がつきもの、
    くさいモノは健康にいい、
    くさいモノには蓋なんてダメだってことがよーくわかる。

    納豆きらいだけど、食うか!って気になった。

  • セミの串刺し、青島でみた。カイコもどこの店でも置いてあったなぁ。

  • 食のチャレンジャー、小泉氏の食遍歴。食の世界は果てしなく広く深い。特に著者はかなり奥地まで行ってしまってるカンジです。面白いですよ。美味しい追体験を期待して読んではいけませんが(笑)(2005/8/23 読了)

  • 980<BR>
    2005/6/4

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著者プロフィール

小泉武夫(こいずみ・たけお):1943年、福島県の造り酒屋に生まれる。東京農業大学名誉教授。専門は醸造学・発酵学・食文化論。専門的な話を、分かりやすく伝える達人。また食の未来を中心に、日本が抱える多くの大問題に挑んでいることから、「箸(★正字)を持った憂国の士」と評される。140冊を超える著作があり、小説も『猟師の肉は腐らない』、『魚は粗がいちばん旨い』など、専門的な知識に裏付けられた独自の作品が多数ある。


「2023年 『熊の肉には飴があう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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