- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784620320670
感想・レビュー・書評
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今度の原発事故というのは何よりもメディアの敗北の結果
世論がメディアを通じて国と電力会社に買い占められていた
朝日ブックcomでも《特集 原発神話のまやかしを問う》と題して、取り返しのつかない未曾有の大惨事になった福島原発事故について、いつ収束するかもわからない現在、間近に迫る死の恐怖を原発と放射線のとてつもない危険性を終日終夜ひしひしと実感すると同時に、私たちと私たちの子孫が生きるこの国に、安全だと言い続けて日本列島にちょうど時限爆弾を巻くように原発を作り続けてきた人たちを告発・弾劾する本を紹介しています。
もちろんその中では、30年以上前から全存在をかけて鋭く警告・糾弾してきたわが広瀬隆と明石昇二郎の『原発の闇を暴く』がもっとも本質的に辛辣に断罪しているのはいうまでもありませんが、佐高信のこの本は、より殺気立って、天に代わって成敗するぞという熱意のこもったもので、思わず私もそれにほだされて密偵の役を演じたくなりました。
【本書で原発戦犯として名前を挙げられた人】
アントニオ猪木、浅草キッド、梅原猛、江波杏子、小沢遼子、小沢一郎、大宅映子、大前研一、大坪弘道(検事)、大林宣彦、王貞治、大熊由紀子、岡江久美子、荻野アンナ、奥村喜和男(官僚7)、 勝間和代、蟹瀬誠一、菅直人、ビートたけし、北野大、北村晴男、金美齢、木場弘子、木村剛、草野仁、小泉純一郎、小宮山宏、小佐古敏荘、幸田真音、近藤駿介(原子力委員長)、堺屋太一、さかなクン、佐賀元明(検事)、杉山元、鈴木篤之、鈴木京香、鈴木光司、住田裕子(タレント弁護士)、正力松太郎、関村直人、田原総一郎、竹中平蔵、寺田農、豊田有恒、東京電力、中島健、中曽根康弘、中畑清、長島一茂、西山英彦、野口健、平岩外四、福沢朗、星野仙一、弘兼憲史、福島敦子、藤沢久美、藤原銀次郎、古舘伊知郎、マスメデイア、前田恒彦(検事)、班目春樹、舞の海、松本零士、みのもんた、三宅久之、民主党、茂木健一郎、森本宏(検事)、薬丸裕英、山折哲雄、与謝野馨、養老孟司、吉村作治、吉本隆明、労働組合、渡瀬恒彦、渡部恒三
【本書で誠実さを讃えて名前を挙げられた人】
井深大、忌野清志郎、池田成彬、今中哲二、宇井純、河合栄冶郎、木川田一隆、小出裕章、郷誠之助、佐藤栄佐久(前福島県知事)、ゾルゲ、高木仁三郎、高橋是清、原田正純、広瀬隆、松下龍一、松永安佐衛門、松村健三、矢次一夫詳細をみるコメント1件をすべて表示-
猫丸(nyancomaru)さん原発戦犯か、まぁ殆どの人は同罪でしょうけど。原発戦犯か、まぁ殆どの人は同罪でしょうけど。2012/08/07
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容赦なく原発推進者達を斬り捨てています。
あの人にもこの人にも手厳しい。文化人だ、著名人だ、スポーツ界で名を馳せた人だと言われても、理念のない、哲学のない人たちはいとも簡単にお金に屈する。
また、電力会社のあくどさ。今までも色々な醜聞を聞いていますが、あれでは犯罪者の集まりでしかない。 -
これまで原発推進にかかわってきた文化人批判である。確信犯もいれば、深く考えず、おそらくは広告料にのせられ、原発に旗を振った芸能人もいるに違いない。そういう人がテレビにでてくると「痛い」。内心は後悔している人もいるに違いないがあまり見たくなくなる。あまり偉そうなことは言えないが、人の宣伝をするときはよく考えてしなくてはいけない。本書は原発推進派だけでなく、原発に反対した人たちの列伝でもある。その一人高木仁三郎さんと著者は懇意だったようで、高木さんの塾に呼ばれ官僚批判の話をしたが、高木さんは、佐高さんの煽動ぶりにあまり感心しなかったという。つまり、煽動では人の心に届かないと思ったようだ。高木さんは同じことを広瀬隆さんにも感じたようだ。この点はとても共感した。佐高さんは、広瀬さんのことを「広瀬はいつも、読者に、見えなかったものが見えてくる快感を味わわせるが、そのために彼が払っている努力は並大抵のものではない」という。ぼくもそう思う。広瀬さんは人が見えないものを、とことん調べることで見つけるのである。CO2の嘘や、電気はないのではなく、大きな企業の電力を、電力会社が買わないことからきているとか。東京電力では、のちに原子力推進派になるが、電力国家管理に体をはって抵抗した木川田を高く評価する。小出裕章さんも反原発の群像の一人だ。
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<閲覧スタッフより>
“原発安全神話”に絡みついた様々な文化人たち。反対派も含め、その一人一人を細かく分析・分類・告発しています。政治、メディア、産業など・・・影響力があればこそ、その責任は大きい?
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所在記号:543.5||サタ
資料番号:10206539
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どういう人たちが、どういうふうに原発を安全なものと信じ込ませてきたかを知る本。
知識人切りで有名な著者の筆力が楽しみ。 -
福島原発事故から1年近くが過ぎた現在、つねづね感じていたこととして、かつて原発を「安全」とマスコミ等で言いつづけた多くの専門家等の懺悔の言葉が聞かれないことがあった。彼らはあまりにも無責任である。その矢先に、原発を擁護し推進してきた文化人等をバッサリと切る本書を読んだ。このような本がとうとう出てきたかという思いと、やっぱり出てきたかという感想を持った。
今までの様々な報道をみると、福島原発事故は、決して「天災」ではなく「人災」である。不完全な巨大技術である原発は、確かに国策で進められたのは間違いがないが、それを安全に運営する謙虚さや慎重さを失っていた「東電」や、それを保証した多くの「推進派学者」、宣伝に加担した「文化人」は、今こそ前面に出て、謝罪し、これまで得てきた多くの謝礼を震災義援金に寄付すべきではないかと、思わず感情的に思ってしまった。
本書を読むと、多くの「文化人」とよばれる人々が「原発推進」に群がって、宣伝に加担し多くの利益を得てきたことがわかる。本書では、誰が過去にマスコミでどのように発言してきたのか、だれが東電の広告に登場し、無責任な発言をしてきたのかを詳細に取り上げている。数十人が取り上げられているが、目立つのは「課長・島耕作」の弘兼憲史氏だ。そういえば島耕作のキャラを使った広告は目立っていた。
文化人だけではなく、学者・政治家・メディアも取り上げられている。すべてが金銭になびいたとは考えたくはないが、かつて原発推進の旗を振ったことへの、せめて反省の言葉くらいは聞きたいものだと思った。
しかし、本書を読んで、これらの無責任な人々への過度な攻撃も支持できないという思いも持った。彼らは確かに無責任で、金銭のために原発推進の旗を振ったかもしれないが、彼らを攻撃しても得るものは少ないと考えるからである。やはり、今必要なものは冷静な事実の検証と今後の方針の論議であると思う。社会の分裂につながるような過度な攻撃は、あまり支持できない。しかし、本書を読んでちょっと溜飲が下がる思いを持った。 -
使命感か。厳しい書きよう。考えさせられる。
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中曽根康弘、梅原猛、ビートたけし、勝間和代、養老孟司ほか、原子力推進に関わった文化人を取り上げています。
そして「えぇ~っ、こんなこと書いていいの!?」と思うほど、切り込んでいます。
俎上に上がった人たちのこと思うと読んでいて、ちょっと心が痛みました(笑)。
僕は、チェルノブイリ原発の事故以来、原子力エネルギーの利用には疑問を持ち続けています。
できれば、原発は減らしていって欲しいし、今の東北を1日でも安心して暮らせるの状態にもどして欲しい。
今は、自分たちの生き方を改めて考えなければならない時なのだと思います。