- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784620324586
感想・レビュー・書評
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有り F/イ/17 棚:29〜30
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ドイツ文学者の著者による、老いについてのエッセイ。
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池内氏がNHKラジオでの「著者からの手紙」コーナーに出ていて(2017年11月)、この本の内容について77歳の今の生活を語っていた。それがなんだかおもしろく、あったかくて楽しそうだった。
現在77歳の池内氏。老いは70歳を境に急速に現実化したが、目を背けず、現実を楽しむことだという。
人生に行きと帰りがあれば50歳あたりで下り坂。しかしリタイア後のこの下り坂が楽しくないと、せっかく生きてることもとてもつまらなくなるという。しかし季節は冬が来たら次は春が来るが、人生の残念な点は、春はもう来ない、というのが老いの無慈悲なところだとのたまう。
本はラジオの語りがずっと続く感じ。「二列目の人生」 や「世紀末と楽園幻想 」 などを読んだことがあり、ドイツ文学者として多数の著作があり、仕事も十分にやったとはた目には見えるが、それでもなお、楽しみを見つけて老いの人生を楽しんでいる池内氏。
老人になると体力的にも記憶力的にも劣ってきて、「深海魚」だという。「深海魚」は水圧のために目玉が飛び出たり、口がカーッと開いてたりするが、歳月も深い海と似て、長生きをしてくると過去の重荷で体が曲がったり、顔が歪んだりしてきたりする、と。新しい言葉や考え方に馴染めない、考えや判断の基準が古い、「ああ、これが老いなんだ」と見極めればいいのです、という。
自分に対しての心得、としても読めるが、配偶者に対しての心得としても役に立つ。心得てれば一緒にいる時間の長くなった分目立つ気になる点も、やり過ごせる。 -
著者は1940年生まれだから私より7歳年長。
その方が書かれた生き方実践本。
あまり印象に残るような記述は残念ながらなかった…。