毒になる親 完全版

  • 毎日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (407ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620326740

作品紹介・あらすじ

刊行から20年、日本社会は大きく変わった。
毒親ブームの原点となった本書の、未訳部分をすべて加えた完全版。

感想・レビュー・書評

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  • (2024/03/29 3h)

    「毒親」という言葉の初出・出典元。
    家族というものの在り方を定義づけ、自分と家族とを客観視する作業に役立つ本です。

    p.352 「自分の親になる」という言葉に感銘を受けました。

  • 途中まで読んだが、重くなってやめた。アメリカ社会の闇の深さに耐えきれなくなった。対岸の火事ではないのだろうが…。

  • 親子関係に苦しさを覚える全ての人へ。本書は、毒のように、子どもの心身を蝕んでゆく親の特徴や、その親と対峙する方法を説く。20年前に翻訳版として刊行された初版に引き続く完全版である。初版本を読んだ際、私は初めて、自分が受けた教育は歴とした虐待だったと理解し、涙しながら読み進めた。間を開けず本書を読んだため、事実上短期間で2回読了したことになるが、今回は泣かずに読み切れた。事実を受け止める心の準備ができてきたということだろう。これから、自分の心を守るための行動を取っていきたい。

  • 今ではメジャーな概念になってきた、「 毒親 」toxic parentsの先駆けであり、自らカウンセラーとして現場に立つ著者による本である。毒親が子に与える影響は甚大である。

    毒親には以下のような特徴がある。

    毒親の影響は、汚染のように広がっていき、代々受け継がれる、すなわち、毒親の親も毒親なのだ。
    毒親は子供のためと言いながら、実は、親に対する依存度を大きくすることによって、自分の立場を守ろうとする自己中心的な性格。
    ネガティブな感情を、本来向けなければならない対象から逸らせ、より容易なターゲットである子供に感情のはけ口を持っていく。
    自分自身に強い恐怖や不安、不満があり、子供なしでは自身のアイデンティティーが確立できないので、子供が独立すると、裏切られたように感じる。
    日常的かつ執拗に言葉や暴力で傷つける。時には、ユーモアの外見を纏っていることさえある。
    毒親に育てられた子供の特徴は以下のようである。
    親からしっかりと心を支えてもらった経験がないため、自分が生きている事の価値が見出せない。
    客観的に見て毒親と判断されても、親はもちろんのこと、子供も自分の親が毒親であることに気づかないことも多い。
    自分自身の達成感がなく、外からの評価軸でしか自分自身を評価できない。
    親が不幸でいると、それがあたかも自分が原因と考えてしまう。その結果、罪悪感や過剰な義務感が生じ、親との共依存の関係になる。
    親の期待に過度に応えようとし、親の機嫌をとることにかなりのエネルギーを浪費する。それが、本当は子供自身がのぞむものでない場合に、心身症や鬱、頭痛など様々な精神や身体症状が生じる。
    親の機嫌を損ねないように、無意識のうちに自分自身に限界を設定し、親を超えることがないようにしている。そのため、出来の悪い自分を「内面化」し実現してしまう。
    過度の反抗という態度も、親からの影響であるため、親からの汚染が続いていることになる。
    支配から逃れようとして、自分自身が望んでいることも無視する結果となる(自己処罰)。
    過去の事なのに、あたかも現在も続いているかのように感じる。親が死んだ後でさえも、トラウマに苦しめられることもある。
    抑圧されたフラストレーションと怒りが心の底に溜まっており、他の人間を感情でコントロールするようになる。
    毒親の、もう片方の親(夫であれば妻、妻であれば夫)も傍観者であれば、共犯者であり協力者ということになる。共犯者を避けるためには、離婚という選択肢もあるが、その際子供の事を考えてなかなか踏み切れないこともあるだろう。その際、覚えておかないといけないことは、離婚は夫婦間の問題であって、子供には関係ないということである。
    毒親による汚染を断ち切るために、まず、自分の親が毒親であるのか気付くことが重要である。治療はカウンセリングが中心で、過去のトラウマから本人を切り離す作業を行う。自分を守る術を知らない子供だった時に、大人からされた事に対して、子供には責任がないということを知るのが重要だ。それと、最も大事な事は、親を変えることはできないということだ。どんなにひどい家庭であっても、子供にとっては家が平和であることを望んでいるものだ。だけれど、いつかは親が変わるのではないかと期待しても虚しい結果になるだけだ。変わることができるのは自分自身だけなのだ。治療がうまくいくと、仕事で問題が生じても、それが仕事の問題なのか、自分の内面の傷が引き起こしているのか区別できるようになる。

    このように毒親の汚染状況を知ると、子供を叱るのも怖くなるかもしれない。しかし、親子の基本的な愛情と信頼関係があれば、たまに怒りを爆発させることがあっても子供は大丈夫となのだ。間違えたり、失敗することは子供の成長にとって重要なプロセスである。

  • たとえ日常的に虐待を受けたのでなくても、叩かれたり、冗談だとしても身体あるいは能力に対して侮辱的な言葉を言われたりした体験は、親に限らず、先生や同級生など、相手は誰であれ大人になっても記憶から消えないものだ。自分は虐待を受けていない、していない、だから関係ない、ではない。事実として知っておく必要がある。

  • 二章 義務を果たさない親
    この部分が特に自分には響いた。
    子供が辛い状況に置かれた時に話を聞いたり、寄り添い心のケアをすることは【親が当然子供に行うべき義務】とのことだった。
    これをしてもらえなかった子供は、自分には生きる価値がない、誰にも愛されない存在なのだ、と考えるようになる。
    まさに自分がそれだった。

    こういう風に扱われた子供を"透明人間"と本書では表現していて、別作だが、『輪るピングドラム』で子供たちが子供ブロイラーという工場に連れて行かれ、ベルトコンベアに載せられ一人一人透明にされるシーンはこのことを表していたのかと本書を読んで気付くことができた。私もあの子供処理工場で透明にされた子供だったのだと今なら理解できる。

  • 家庭環境がリソースを規定し、そのせいで少ない経験で育ったとしても、それが人格形成に致命的な影響を与えるものだろうか。テストやスポーツのように、ルールや様式が決まっていて、反復練習が効果的であるようなものは、塾や習い事が有効だ。しかし、勉強ばかりしていて殴り合いをした事がない子と、経験豊富で早熟な若者が、大人になってその経験値で幸福度に差が生じるかというと、微妙だ。今の自分の状態を過去の因果に、自在にこじ付けられるような気がする。

    親とて、家庭環境の一部だ。確かに虐待は影響が大きいだろうが、それ以外の点では、今の自分を親のせいにして生きるのは、少し違う気もする。同じ親でも、兄弟で違う生き方があり、友人関係の方が影響が大きいという話もある。

    本著はセラピー本として、極端なケースに向いているが、一般論としては、却って本来、因果関係の弱い記憶を強化して自己暗示する危険すらあるような気がした。人格形成にあらゆる事が影響するのは確かだ。しかし、メタ認知と自己決定により、取捨選択しているのではと、そう考えられる自分は毒親に当たらなかった幸運に感謝すべきなのだろう。

  • 毒親の由来となった本を20数年を経て、訳書にする際に割愛した部分を加筆した本。

    毒になる親のタイプ別に具体例が載っていて、想像しやすい。
    自分は、自分の親が、いわゆる毒親であろうと感じていた。
    彼らが、よく口にすることを、その場にいたかのように書かれていて、毒親育ちであることが、自分の被害妄想ではないことが確認できた。

    後半は、毒になる親から人生を取り戻す方法について触れられている。
    親を許す必要はないということ、親が変わるかもしれないという幻想を抱かないことについて、納得がいった。

    親と”対決”することで、親から謝罪の言葉を引き出すためというより、自分が前に進むため、変わることのない親に対して決別する(卒業する)意味があるように思った。

    本を読んで、個人で親と”対決”できるとは思わないが、
    手紙を書いて、自分の感じたこと、どのように生きたいかをはっきりさせるのは、良い方法のように思えた。

    全体として、
    民主主義、先進国に共通することなのかは、わからないが、
    文化は違えど、毒になる親というのは、どの国においても、同じような態度をとるものなのだなと感じた。

  • 二部構成で書かれており、一部では毒になる親はどういう親かということを、二部では毒親から解放される方法論について書かれているが、自分が親になり戒めの為に手に取った本だったので、どういう親が毒親かということについて書かれたパートは非常に勉強になった。

  • 毒になる親が子供にどのような影響を与えることがわかった。子どもへの接し方を少し考えさせられた。

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