それでも食べて生きてゆく 東京の台所

著者 :
  • 毎日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620327563

感想・レビュー・書評

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  • 「それでも食べて生きてゆく 東京の台所」大平一枝著|日刊ゲンダイDIGITAL
    https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/315813

    それでも食べて生きてゆく 東京の台所 | 毎日新聞出版
    https://mainichibooks.com/books/social/post-591.html

  • ありのままの台所を訪ね歩き、取材したルポルタージュ。10年たった今回のテーマは、喪失と再生。簡単ではないテーマ。

    雑誌に載っているようなおしゃれなキッチンとは違う、素のままの台所。写真と共に語られた、その台所の持ち主の生活。リアルだからこそ、心に響いた。「何もを失わずに生きている人などいない。みな、何かを喪失し、それでも立ち上がり今日もごはんを作っている。」という言葉に、生きようとする、人の強さを感じた。家族を亡くして日が浅いなか取材を受けた方、伴侶との別れでひとりになった方など、みなさんの生きざまをうかがい知れて、私も頑張ろうと思えた。

  • 「何も失ったものがない人などいない」
    本当にその通りだと思います。

    両親を看取り、愛犬も看取り、子供たちは新しい家庭を築き、今、夫と二人暮らしになり…
    料理と言えるものを滅多にしなくなりました。
    一歩外に出れば、食べたいものは自分で作らなくてもいくらでも食べることができる世の中ですが、
    やはり、大切な台所。
    年末の大掃除も、ここだけは徹底的にやる、わたしの大切な場所。

    東京に住んだことはないけれども、
    わたしはわたしの思いを込めて、大好きなキッチンを守って行こうと思えた本でした。

  • なんでもない普通の人たちが食事をつくる「台所」を中心に、そこで食事を作り、暮らす人々を取材しているシリーズ。
    今回はそこに「喪失と再生」というテーマを設けている。死別や離婚など様々だが、長く生きる事で何も失ってなどいない人はいない。皆が何かを失い、その喪失感と向き合いながら台所で食事を作っている。
    もう少し軽い感じの読み物を想定してページを開いたが、予想外にずっしりと胸に響く話が詰まっていた。

  • NHK「あさイチ」でこの本を知って、読みたいと思った。
    「台所」を舞台に一般の人、プロの料理人など、さまざまな人の人生の一部を「喪失と再生」というテーマで書かれている。
    一人一人のお話は短い章でまとめられているが、少しの写真と大平さんの文章で、心にぐいぐいと詰め寄ってくる。
    読みながら、何度も泣いてしまった。
    テーマが重いので、暗くなりがちだけど、その中に必ず一筋の希望があって、立ち上がって、それでも食べて生きていく姿が心に沁みた。
    おすすめしたい本。

  • 愛犬の秀太朗が亡くなって、最初に読んだ本。
    喪失感は無くならないが、この本を読む事で
    復帰する後押しをもらえた。
    このタイミングで、ふらりと寄った本屋で陳列されて
    いたのは何かの縁。
    大切な本の一冊になった。

  • この本の前に著名人を取材した本を読んでいたけれど、
    この本の奥深さに、前に読んだ本が吹き飛んでしまった。

    子供にたかりにくる親はドラマの中だけじゃなかった。
    色々な困難があっても、それでも食べて生きてゆく人たちに励まされた。

    ありきたりだけれど、今生きている時間を大事にしよう...と思った。

  • 何気なく読んだら重すぎた 丁寧な暮らし系の話だと思ってたのに でも読んでよかった

  • 夕方にコンビニに行くとお弁当だけでなく一人用のおかずが豊富に用意され棚の前には高齢者がどれを買おうかと吟味しています。単身世帯の増加は個食を年齢性別問わずの「当たり前」にしているようです。そういう意味ではコストの問題を超えて、料理を作る、人と食べる、という昔の「当たり前」は非常に豊かな行為になってきていると思います。「衣食住、足りて礼節を知る」と言いながら消費社会を猛進していきた日本人の暮らしの今を知るのは「食」と「住」の交差点である「台所」が一番、ふさわしいのかもしれません。本書に登場する「台所」という舞台の主演俳優たちは、料理を作る、人と食べる、という個食という内向きのベクトルを外向きに向けてコミュニティ食(勝手にネーミングしましたが、これもコ食だ!)で物語を描いている人々です。それはかつての当たり前の家族制度とは違う繋がり方の選択であり社会変革は、台所革命から起こっていると感じました。台所って「おふくろの味」に代表とされるコンサバプレースに思い込んでしまうのは終焉していて、いまやリベラルの起点なのだと思いました。そういう意味では朝日新聞デジタルの&Wの連載ということを差し引いても男性の存在感、薄い薄い。

  • 食べもの(というよりは台所)+市井の人のドキュメンタリーという大好物ジャンルで即買い。

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著者プロフィール

大平 一枝:作家、エッセイスト。長野県生まれ。大量生産、大量消費の社会からこぼれ落ちるもの・
こと・価値観をテーマに各誌紙に執筆。著書に『東京の台所』『男と女の台所』『もう、ビ
ニール傘は買わない。』(平凡社)、『届かなかった手紙』(角川書店)、『あの人の宝物』(誠
文堂新光社)、『新米母は各駅停車でだんだん本物の母になっていく』(大和書房)ほか。
「東京の台所2」(朝日新聞デジタル&w)、金曜エッセイ「あ、それ忘れてました(汗)」
(北欧、暮らしの道具店)、「令和・かぞくの肖像」(OIL MAGAZINE)など連載多数。


「2021年 『ただしい暮らし、なんてなかった。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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