サラエヴォ・ノート

  • みすず書房
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622033691

感想・レビュー・書評

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  • ボスニア内戦中にサラエヴォを訪れたスペイン人作家によるルポルタージュ。内戦中にサラエヴォ入りした多くの人たちが感じたであろう、セルビア人武装勢力の恐ろしさ、国際社会の無為・無力を作者が感じるままに率直に書いています。
    民族・宗教の垣根を越えて、一緒に暮らしていたコスモポリタンな街サラエヴォの人々の気持ちもどんどん追い詰められていく様子も取材から見えてきます。
    本編最後の文章が印象的でしたので、引用しておきます。

  • (1997.07.25読了)(拝借)
    (「MARC」データベースより)amazon
    93年夏、サラエヴォを訪れそこで遭遇した破滅的な世界の光景を描き、大きな反響を得たルポルタージュをまとめたもの。この町の悲劇は終わっていない。包囲され、脅かされ、分割の危機に瀕している。文学者から世界への言葉。

    ☆関連図書(既読)
    「ユーゴスラヴィア」加藤雅彦著、中公新書、1979.09.25
    「ポーランド 労働者の反乱」芝生瑞和著、第三書館、1981.05.10
    「小さな草に」大石芳野著、朝日新聞社、1997.04.01

  • 内戦まっただ中のサラエヴォ体験記。エクスクラメーションマークの多さからもゴイティソーロが中立的な、冷静な見方をしているわけではないことが分かるだろう。内戦が終わってすでに10年以上が経過する現在から見れば、セルビアのみを悪者にするこの本の傾向を非難することはたやすい。当時は「良心的な」知識人はボスニアを擁護し、セルビアを非難することが当然の役目だったのかもしれないし(ペーター・ハントケはセルビアを擁護して非難を浴びた)正義の心に駆られてボスニア擁護を表明し国際社会を非難することに罪があるわけではない。

    事態が展開している最中に自分の信念を表明することは難しく、だからといって黙っているのがいいのかというとそうとも言えない。自分の発言があとから見れば一方的で場合によっては有害かもしれないと後々判断されることを承知でも発言する。発言すれば事態の展開に影響を与えることは避けられず、またその影響自体が常にいいものとは限らない。

    と、意見表明の難しさについて考えてしまったのは、時を経て状況が変わった今、この本があまりにも色あせて見えたからかもしれない。たとえ今となっては考え方が古くなろうとも、おもしろいものはおもしろいはずである。主張が先に立ちすぎたからなのか、なぜなのか。

    四年ほど前に読んだときの感想はこちら。
    http://d.hatena.ne.jp/bananafish/20060714#p2

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