一日一日が旅だから

  • みすず書房
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (77ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622048145

作品紹介・あらすじ

ひと晩で変化する季節、ゆたかで厳しい孤独、老年という地図のない冒険…。『独り居の日記』のサートンの詩選集。

感想・レビュー・書評

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  • 知っている彼女を通り越し、未来のあなたをみつけた。服を着るのも難儀だと、あなたは笑っていた。燃えさかるほのおを抱きながら、メランコリーをひとひら握りしめ、いのちを深く感じている。
    彼女は耳をすます。わたしは耳をすます。神殿 への隘路の奥、木立の明暗のあわいより。玲瓏な星たちが語りかけている。恩寵の源へと誘い優しく真実を歌いあげるあなたは、永遠のMuse。きょうの冷たい雨にさえもやわらかく祝福されているようにかんじるのはあなたのおかげにちがいない。

  • 一日一日が旅 -かもしれない。

  • 「ときどきわたしは死にたくなる」という詩が良かった。自分ももう少し頑張ってみようという気持ちになる。「そんなことをいいながら ほんとうは 死にたくないのです。 木の葉が色を変えはじめたいま もういちど あの赤と金とを見たいのです」(p.66)

  • 小説家、エッセイスト、そして詩人であったメイ・サートン(1912~1995)の詩集「一日一日が旅だから」、2001.10発行、武田尚子さんの編訳です。一杯の水、祈り、一日一日が旅だからに分けられ、それぞれ数編の詩が納められています。著者の青年、壮年、老年の作と思われます。

  • この詩集はメイ・サートンの青年・壮年・老年を代表する三部から構成されている。どの時期にも共通しているように感じるのは「大切に生きる」ということ、「大切に生きている」認識だと僕は思う。
    詩人のその認識は力強い。
    自然と共に生きる、年老いても生きる、死にたくなっても生きる、そして人間として生ききる決意。一面から見たらそれは美化していることになるのかもしれないが、僕は「人間であることを選べ」と言い切る詩人の生々しい生へ向けられた姿勢に、憧れすら抱いてしまった。

    老年に差し掛かると詩人は、生の向こうにある「死」を視野に入れ始める。
    それでも訪れるいつかの死まで、今を大切にし、未来への生の希望を言葉に託す詩人の願いが、当然であるべき姿のようで、どっしりとした大きいもののような気する。その根幹がぶれない強さが詩人の「大切に生きる」ことに対する力強い認識であると思った。
    大切にとは、感じること、見ること、意識すること。

  • 敬愛する作家メイ・サートンの詩集。
    訳者、武田尚子さんの選。
    私は詩よりもやはり随筆の方に心惹かれます。
    老いて行くことへの素直な不安と、亡くなった人への哀惜の年。
    孤独を受け入れて行くことの難しさを感じつつも前向きにそれに向き合おうとする作者の姿は痛々しいほどです。

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著者プロフィール

(May Sarton)
1912-1995。ベルギーに生まれる。4歳のとき父母とともにアメリカに亡命、マサチューセッツ州ケンブリッジで成人する。一時劇団を主宰するが、最初の詩集(1937)の出版以降、著述に専念。小説家・詩人・エッセイスト。日記、自伝的エッセイも多い。邦訳書『独り居の日記』(1991)『ミセス・スティーヴンズは人魚の歌を聞く』(1993)『今かくあれども』(1995)『夢見つつ深く植えよ』(1996)『猫の紳士の物語』(1996)『私は不死鳥を見た』(1998)『総決算のとき』(1998)『海辺の家』(1999)『一日一日が旅だから』(2001)『回復まで』(2002)『82歳の日記』(2004)『70歳の日記』(2016)『74歳の日記』(2019、いずれもみすず書房)。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

「2023年 『終盤戦 79歳の日記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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