暴力について―共和国の危機 (みすずライブラリー)

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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622050605

感想・レビュー・書評

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  • 「暴力について」の他に、数編論文が収められているが、やはり中心となるのはこれ。 <br>
    アーレントは、まず、暴力=Violence=Gewaltをたの混同しやすい概念からの分離でもって、論述を開始する。 <br>
    すなわち、権力、力、強制力、権威などからである。 <br>
    この暴力についての考察は、ベンヤミン「暴力批判論」と比較することで理解をしやすい。<br>
    <br>
    「理論的に見て、権力と暴力が生物学的用語で解釈される、政治的な事柄をめぐる有機体思考の伝統ほど危険なものはありえないとわたしは思う。 <br>
    …政治的な用語ではなく、生物学的な用語で語るかぎり、暴力の礼賛者たちは、自然の営みの中では破壊と創造は自然の過程の両面にほかならないという否定しがたい事実に訴えることができるので、集合的な暴力行為は、それが本来もっている魅力とはまったく別に、動物王国における生命維持のために生存競争と暴力死がそうであるのと同様に、人類の集合的生活にとって自然な必要条件であると訴えられるかもしれない。」 <br>
    <br>
    国家の擬人的表現には大きな落とし穴が、付きまとうことは、憲法学、政治学、社会学を取り扱うものは意識しなければならないと思う。 <br>
    <br>
    目次<br>
    政治における嘘―国防総省秘密報告書についての省察 <br>
    市民的不服従 <br>
    暴力について <br>
    政治と革命についての考察―一つの註釈

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著者プロフィール

1906-1975。ドイツのハノーファー近郊リンデンでユダヤ系の家庭に生まれる。マールブルク大学でハイデガーとブルトマンに、ハイデルベルク大学でヤスパースに、フライブルク大学でフッサールに学ぶ。1928年、ヤスパースのもとで「アウグスティヌスの愛の概念」によって学位取得。ナチ政権成立後(1933)パリに亡命し、亡命ユダヤ人救出活動に従事する。1941年、アメリカに亡命。1951年、市民権取得、その後、バークレー、シカゴ、プリンストン、コロンビア各大学の教授・客員教授などを歴任、1967年、ニュースクール・フォー・ソーシャル・リサーチの哲学教授に任命される。著書に『アウグスティヌスの愛の概念』(1929、みすず書房2002)『全体主義の起原』全3巻(1951、みすず書房1972、1974、2017)『人間の条件』(1958、筑摩書房1994、ドイツ語版『活動的生』1960、みすず書房2015)『エルサレムのアイヒマン』(1963、みすず書房1969、2017)『革命について』(1963、筑摩書房1995、ドイツ語版『革命論』1965、みすず書房2022)など。

「2022年 『革命論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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