リンさんの小さな子

  • みすず書房
3.99
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本棚登録 : 361
感想 : 88
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  • Amazon.co.jp ・本 (167ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622071648

感想・レビュー・書評

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  • 故郷の村を失ったリンさんと、妻を失ったバルクさん。
    言葉は通じ合わないのに、心を通じ合わせる、美しい美しい物語。

    およそフランス人が書いたとは思えない、力強い、簡素な文章。けれど、その中にある二人の深い感情に、心を強く動かされる。
    サン・ディウ(穏やかな朝という意味)を見つめる、リンさんの愛情あふれるまなざし。それを見つめるバルトさんの暖かなまなざし。ただ隣にいるだけで心通じ合わせる奇跡を、言葉で、文章で表すと、こうも美しい物語になるのか!と驚かされた。

  • あーさんおすすめ

  • 2009.3.

  • 難民としてフランスにやって来た老人(リンさん)と
    フランス人で、かつて老人の祖国に兵士として赴いた事の有る男性の
    言葉を介さない交流を描いた作品。

    …でありつつ、やはり、タイトル通り、
    『リンさんの小さな子』であるサン・ディウの存在が、
    いつ倒れてしまうとも分らない老人のリンさんをこんなにも生きさせる力になるのだ
    ということが、読後ずっしりと心に残った。号泣。

    読み終わってすぐ、再度違う視点で読み返してみたくなる本。

  • 心に涙の花が一輪咲きました。

    永遠の中へとある日突然旅だってしまった愛するもののことを、
    限りなく優しい気持ちで思い起こす事が出来たのはなぜでしょうか。



    lovefigaro様
    ありがとうございました。

    • lovefigaroさん
      MakiYさん
      思い出すだけで胸が熱くなる本ですね。
      MakiYさん
      思い出すだけで胸が熱くなる本ですね。
      2009/06/24
    • Michiruさん
      熱く、そして切なくなります。
      でも悲しいのではなくて、なんだか嬉し泣きをしたく
      なる気持ちに近いです。
      素晴らしい作品ですね。
      熱く、そして切なくなります。
      でも悲しいのではなくて、なんだか嬉し泣きをしたく
      なる気持ちに近いです。
      素晴らしい作品ですね。
      2009/06/25
  • なんと美しい小説。
    ひさしぶりに鳥肌立ちました。
    言語を越えた二人の男の友情。
    そしてやがて知られることになる真実の切なさ、愛おしさ。
    人が人であること。
    その一番核になる部分を見せてくれる小説です。

    • Michiruさん
      読みたいです。
      読みたいです。
      2009/05/08
    • lovefigaroさん
      これ最近のイチオシです!
      これ最近のイチオシです!
      2009/05/08
  • 読みやすい。
    注意深い人は途中で気づいたんでしょうね。
    幸せに逝けたことが救いなんだと思いました。

  • 誰かと誰かが理解しあうために、扉を開く手段なんてなくったっていいんじゃないのか、と、読みながら考えてました。暗い夜の窓の向こうに、ひかりがひとつ灯っているだけで、人は生きていけるのかもしれないなあ。
    灰色の魂を書いた人だとは思えないほど文章が簡潔でびっくりしました。

  • ―その老人の名はリン。彼がこういう名であることを知っているのは本人しかいない。なぜなら、それを知っている周囲の人たちはみな死んでしまったから。―

    リンさんの、圧倒的な孤独と喪失感・・・戦禍に見舞われた祖国を逃れ、異国の地で難民として生きることを選んだのは、一人息子の忘れ形見、サン・ディウのため。軽い旅行鞄よりなお軽い赤ん坊。言葉もわからず、今いる世界のあり方の見当すらつかず、怯え、とまどい、言われるままに動くしかないリンさん。孫娘を大事に両手で抱え、群衆のなかを歩くリンさんは、“激しい流れに押し流されるがままになっている小さな枯れ枝の幹”のよう。それでも、孫娘のために強くあらねばと、気力を奮い立たせるリンさん。サン・ディウは、リンさんをこの世につなぎとめる命綱。息子を育てる妻の様子を思い出しながら、ぎこちない手つきで赤ん坊の世話をするリンさん。戦争に踏みにじられる前のリンさんの故郷の村の、つつましくも温かく豊かな情景の数々。そして異国の人、バルクさんとの出会い。言葉を“つきぬけて”、お互いの心根を理解し合った、素朴な魂同士の稀有な友情・・・・
    ページをめくるたびに、静かに静かに涙がこぼれてしまった。読み終わって、改めて“この世のすべてのリンさんと その小さな子に捧げる”という献辞を読むと、また泣ける。
    ――La Petite Fille de Monsieur Linh by Philippe Claudel

  • 珍しく翻訳本を読んだ。淋しくも温かいいい話だった。結末に驚かされて、読後の情感が倍増。

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著者プロフィール

1962年フランスのロレーヌ地方に生まれた作家。1999年、小説『忘却のムーズ川』でデビュー、ナンシー大学で文学と文化人類学を教えながら作品を発表してきた。2003年『灰色の魂』(以下の二作ともにみすず書房)により三つの賞を受賞して注目を浴びる。『リンさんの小さな子』は大きな話題となり、『ブロデックの報告書』は「高校生ゴンクール賞2007」を受賞している。トライアスロン、登山、釣りを好む。

「2020年 『結ばれたロープ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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