- Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
- / ISBN・EAN: 9784622072850
感想・レビュー・書評
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「劇」をモチーフとして精神分析を説明する、わかりやすいが難しい精神分析入門。「私たちの『私』とは専ら楽屋裏にいるのであり、それが公的な外部に出るところで装い演じるために自分が消える」「その時『私』は人と人の間はもちろんのこと、話し言葉と書き言葉の間、行間や様々な隙間で、間を渡すことに勤しんでいる。だから日本人の『私』に出会うには、抵抗を解しこの『間』を通して私的な領域に立ち入らねばならない」とあとがきで述べられているが、日本語臨床をライフワークとされている筆者の翻訳文化である精神分析を日本語の意味にこだわることで書かれた好著である。
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読了できず
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読みやすいですが、一貫した北山先生が見ている世界を、一緒に見ることができる。治療者が見えないと、患者は見えないというウィニコットの基本を、先生らしく発展させた傑作。
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著者は本書がエッセイであることを前提として書いておられるが、内容としては限りなく専門書に近いものとなっている。というより、表現自体は優しく、文学的であるが、云わんとしていることが専門的過ぎてついていけないと云った方が適切か。ただ、エッセイだからこそ、著者の生き生きとした味わい深い思想や理論、「遊ぶ考え」が伝わってくる。
さまざまな文学や絵画などの芸術を取り上げながら「劇的観点から見た」精神分析(著者があとがきで述べているように、本書の「劇的」というのは、劇的な展開をいつも約束する治療論ではない)が論じられており、それらに通底する人間理解の奥深さを感じられた。科学や思想、芸術というのは、それぞれ分かち難く、重なり合うところの多いものだと思う。それらの良し悪しを決めるのではなく、それらから「何を汲み取るのか」というところに、人間理解における意義があるように感じられた。 -
まだ自分にははやかったのか、作者の整理がわかりにくかったのかよくわからなかった。でも読んでためになった部分はいくつかあった。
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6/1