生命の跳躍――進化の10大発明

  • 245人登録
  • 4.28評価
    • (22)
    • (12)
    • (8)
    • (1)
    • (0)
  • 23レビュー
制作 : 斉藤 隆央 
  • みすず書房 (2010年12月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622075752

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
J・モーティマー...
シーナ・アイエン...
リチャード・ドー...
ジェームス W....
有効な右矢印 無効な右矢印

生命の跳躍――進化の10大発明の感想・レビュー・書評

  • 副題は「進化の10大発明」である。

    「本書で語るのは、進化における最大級の発明たちであり、またそのひとつひとつが生物界をどう変容させたか、われわれ人類がこうした過去を、自然そのものに負けないほどの創意工夫でどのようにして読み取れるようになったか、という話である。」(P.5)

    著者のニック・レーンは、進化の歴史における多くの「発明」の中から以下の基準を設けて10個を選び出した。
    ・生物界を一変させるもの
    ・現在も非常に重要なもの
    ・自然選択による進化の直接的な結果であるもの
    ・象徴性があるもの
    選ばれた生命史上の「10大発明」とは次の通り。
    いずれもその資格があるものだ(温血性が甘いかな?)。

    1. 生命の誕生
    2. DNA
    3. 光合成
    4. 複雑な細胞
    5. 有性生殖
    6. 運動
    7. 視覚
    8. 温血性
    9. 意識
    10.死

    著者は、これらの発明に至った仕組みを最新の科学知見を元に詳細に解説している。 その内容は、...非常に難しい。ここに書かれた事柄を一人の人間が理解して確信を持って記述できるのは、はったりがないとすれば驚異的である。

    内容が難しく、全てが理解できなくとも、この本では改めて全ての生命現象が進化の帰結であることが十全に説明可能であると確信させてくれる。そこには厳然とした確からしさが存在している。
    これらの発明が、変異と淘汰によって推進される進化の賜物であることは間違いない。意識も死も生命現象である限りその例外ではない。意識や死の章の内容がやや消化不良気味であるにしてもだ。

    本書には、いくつもの仮説や想像が含まれているが、科学的思考と検証の結果が詰まっている。まだ分かっていない多くの空隙を将来の作業が埋めていくだろうし、その過程で本書の記載にいくつかの誤りが明らかになるかもしれない。しかし、大筋においてはこのようなものだと信じるに足るものになっている。

    「最大の謎は、複雑な生命の誕生が、地球の生命史全体を通じて一度しかなかった理由だ。 すべての動植物は間違いなく親戚関係にある。つまりわれわれはみな同じ祖先をもつのである。」(p.136)

    そして、最後に置かれた次の文章が、著者が本書で示したかったことを表している。

    「本書で描いた全体像は、真実だと思う。生命はきっと、ここに示したような筋道に沿って進化を遂げたにちがいない。それは独断的思考ではなく、現実において検証され、その結果に応じて修正された証拠なのだ。この壮大なる全体像が、神への信仰心と両立するのかどうかはわからない。進化をよく知る人にとっては両立しても、そうでない人にとっては両立しないこともある。しかし、何を信じていようと、かくも豊富な知識は、驚異と称揚の念をもたらすはずだ。荒涼たる無辺の宇宙に浮かぶ青緑のビー玉で、われわれが周囲の生命とこんなにも多くのことがらを共有しているという事実は、このうえなくすばらしい。生命に対するこうした見方は、単に壮大なだけの話ではない。そこには、不完全さもあれば、荘重さもあり、さらに、知への最高に人間性の豊かな渇望がある」

    生命が、このように生命自身についての知識を持つに至ったことは端的に言って凄いことだと思う。

  • 生物進化における最大の発明は、生物それ自体の誕生だと思う。この本で紹介されている10大発明の中でも、「生命の誕生」(第1章)が一番興味深かった。「意識」(第9章)は2回読んだが、意識の起源が分かったような気にもならなかった。著者も「科学で(まだ)答えがわかっていないばかりか、…どんな答えになりそうなのかも、現時点ではほとんど想像がついていないということを、まず言っておかなければならない。」(348ページ)と書いているくらいだから、分からなくても仕方がないということにしておこう。「死」(第10章)は、生物の死という現象の起源ではなく、生物(特にヒト)の寿命を延ばす可能性についての方に主眼があるようで、ちょっと期待はずれ。

  • ~脳内にタンパク質のネットワークが実在し、それが一斉に「歌い」、そのメロディーが感情を生み出す、それどころか感情になるものとしよう。またそうした量子の振動が、どうにかしてシナプスの海を「くぐり抜け」(トンネル効果)、対岸にある別の量子を「歌わせて」、その干渉性を脳全体に行きわたらせるとしよう。するとわれわれは脳内にまるごとひとつ、並行宇宙をもっていることになる。~



    生物界の村上春樹、とあとがきにあったが、ドラマティックでメロディアスな文章で綴られている。意識、心の在り処についての章と、命を後世に繋いでいく為に、老いて死にゆくことは生物界に必要な事象なんだとあらためて考えた。
    やがて、そう遠くない将来に訪れる死を穏やかに受け入れようとさらに思った。

  • 生命はなぜ現在のようであるのか(現在のように進化したのか)という壮大なテーマに取り組んでいる。扱う内容は壮大でえてして概観的になりがちなテーマだが、この本は非常に緻密な(原子レベルの)論理を組み立てている。例えば生命の誕生に関して生物の教科書に載っている原始スープ(有機物に満ちた海)に刺激(落雷など)が加わり偶然化学反応が起こり生命が誕生したという、従来のあいまいだがいかにも起こりそうな記述では満足しない。(このあいまいな説に対しても詳細な検証を行い起こり得そうにないことを詳述する)より具体的な、酸性の海の中のアルカリ熱水噴出孔という舞台を選び、無機物が生命(自己複製組織)となりうる可能性を記述する。

  • 文体がくどいので読むのに時間がかかったけど、NHKスペシャルの生命大躍進を見てからだと読みやすかったかも。

  • 知っている事実も多くあったが、そうとも見えるのか!驚いた一冊。確かに良く考えれば!!な事実に包まれてるな、と覆った。

  • keloinwellさんのおススメ本。

    地球上に惑星規模の大変化をもたらした、進化における10の革命について、現代の研究者が取り上げている様々な説を紹介しながら、考察を展開させている。

    非常に読み応えがあって面白かった。目から鱗どころか読んでいて大きな感動を覚えた。
    特に、興味をひかれたのは「光合成」(専門は獣医学なのに思いがけないことだ。それだけ著者の語り口が素晴らしいことを意味している)、「有性生殖」、「死」の章である。特に、「死」が進化の過程に組み込まれているなんて想像もしなかったから、読んでいて非常に興奮した。

    大学の生物学はおろか、高校生物の時点で本書のような書籍もしくは授業に触れることがあったら、生物学に対する意識が全く違うものになっていたと思う。本書には生物学に関わるうえで大事なものが詰まっているように思える。医学系にも進化論的な考えは必要だと実感した。獣医学や医学系など生物学に関わる学生にお勧めしたい。

  • 遺伝子がなぜこのような形になっているかの説明や
    性の必要性がわかりやすく書いてあった。
    寿命も説明があり、長寿化は筆者が主張するように脳の制約があることに同意

  • 私のような凡庸な大人には、とても難しく、苦しみながら読んだ。何度も投げ出しそうになりながらも読み終えたのは、とにかく書いてあることが驚愕だったから。
    他の本では、さらりと「解明されてない」で済ませる部分を、頑固に執拗にしつこく追及していく。
    一章は、最初の生命がいかに産まれたのか。宇宙から来たとかではなく、地球の自前かつ化学反応だと、いくつもの仮説と反証と実験結果を積み上げて説明する。結論にはすぐに飛びつかない。信憑性のあるものから、惜しいもの、荒唐無稽なものや、研究者同士の喧嘩じみた言い争いまで、様々な説を検討し、疑問を呈し、最終的に著者が完全に合ってるかはわからないがそれ程間違ってないだろうと思える結論をだす。
    この結論が、とても納得感があって、素晴らしくすっきりするので、どうしてもやめられないのだ。
    さらに、DNAの出来た経緯(初期はまるでウィルスのようなRNAだった)や、細菌が強固に30億年細菌のままだった(現在も)のに、真核細胞はなぜここまでに進化したのか、そもそもミトコンドリアとの共生はどのように起こったのか、目はどのように発達したのか、なぜ我々真核生物はワザワザ苦労してまで有性生殖にこだわるのか、などなど、そういわれるとすごく不思議な事柄から、めくるめく進化の世界を見せてくれる。
    高校時代に読みたかった本。

  • 請求記号: 467.5||L
    資料ID: 11102227
    配架場所: 工大選書フェア

  • 残念ながら歯が立たず。生化学の基礎知識が必要な前半はともかく、最後の「意識」「死」あたりはなんとかなるんじゃないかと思って頑張って読み進めたが、結局「死」がメリットになる理由が理解できなかった。くやしー。

  • 例えば、保守的であることを憎みそうになったら、細菌のことを思い出そう。保守性の桁が違いまっせ。気まぐれな自分が嫌になったら、カンブリアの生物を思い出そう。彼らは、決してふざけていた訳じゃない。

  • 生物の驚くべき巧緻なしくみを、進化論の新しい学説も交えて手際よく解説してくれる。たんに「こうなってる」という話だけではなく、ひとつのストーリーとして語ってくれるから頭に入りやすい。生物全般にわたる深い理解がないと、こんな芸当はできないだろう。マット・リドレーが<「チャールズ・ダーウィンが墓からよみがえったら、私はこの好著を読ませて知識のアップデートをさせる>と言った(訳者あとがきより)そうだが、最高の賛辞だと思う。

  • 専門書ではないのだろうが、難しかった。若干後悔の念もあった。が、読み終えた感想はというと、話しの進め方が、疑問を提示して、それを生物学者の理論でもって回答していく知的好奇心をくすぐるような進め方であり、もう少し知識があれば素直に楽しめたんじゃ無いかと思われる。確証の結論は完全な結論ではなく、議論の進捗状況が示されているところで終わっているところが多い。あとがきを読むとそれが正直であり、親切なところなのだということがわかったが、やっぱり、素人としてはより分かりやすいものがあればとおもわれた。

  • 生物の進化にはいくつかの大きな革命的な出来事があった。本書ではそれを「発明」と呼び、10の事象に焦点を絞って各々について述べている。これまでの研究成果と併せて、著者の持論も紹介し、生命進化の謎に迫っていく。

    ・・・読み終えて、おもしろい、と思った箇所もあるのだが、やはり自分はあまり進化には興味が持てないのかもしれないなと思った。有力な説があったとして、そうであるのかもしれないが、証明が出来ないではないか、と思うことが多すぎる。そこにロマンを感じることが出来ればよいのかもしれないが、どうも自分はそういう風には出来ていないようだ。

    読む人が読めば、おもしろい本なのではないかと思う。ご興味のある方はどうぞ。
    それぞれの章ごとに一次資料(学術雑誌に掲載された論文)があり、また本書全般に関連する一般読者向けの参考文献が挙げられていて、さらに知りたい人には親切な形式になっていると思う。

    著者が注目した「10大発明」は:1)生命の誕生;2)DNA;3)光合成;4)複雑な細胞;5)有性生殖;6)運動;7)視覚;8)温血性;9)意識;10)死。

    *おもしろいと思ったのは、コドンが最初はトリプレットでなく、ダブレットだったのでは、というくだり。あとは、死と生殖の関係の話がおもしろかった。

    *3章でいきなり、プリーモ・レーヴィが出てきてちょっとびっくりした。ホロコーストの生き残り(そして長い年月の後に自殺してしまった)として記憶していたのだが、化学者だったんですね・・・。
    エピローグでもアウシュビッツについて触れられているのだが、著者はユダヤ系の人なんだろうか? たまたまなのかな?

  • 生物(学)における進化の役割についての知識を発展させるのにはこれ以上無い一冊。ただし、通読するのは決して簡単ではない、重厚な本。
    生物のもつ仕組みはすべからく進化により「選択」されてきたものである。これまでの生物学では、何故その仕組みがあると生存に有利なのかという「Why」の観点が中心に論じられてきたように思われる。本書はそれに加えて「How」の視点、すなわち進化のどのような変遷を経てその仕組みが作られたのか、を論じている。この10年で用意になった分子の比較系統解析、そして最新の分子細胞生物学の知見を踏まえた論考は、まさに人類の知の辺縁を跳躍しようとするものであった。

  • 例えがすごく上手いなぁ、と感心してしまう。
    「意識」の項目はエキサイティングでした。

  • 生命とはその存在自体が不思議なものであるが、その生成のプロセスにも謎は多い。本書はその生命の進化における10個の発明について綴った一冊である。著者はサイエンス界の村上春樹とも称されるニック・レーン氏。彼によってセレクトされた10個の発明は、以下の目次のようなもの。

    ◆本書の目次
    1 生命の誕生 - 変転する地球から生まれた
    2 DNA - 生命の暗号
    3 光合成 - 太陽に呼び起されて
    4 複雑な細胞 - 運命の出会い
    5 有性生殖 - 地上最大の賭け
    6 運動 - 力と栄光
    7 視覚 - 盲目の国から
    8 温血性 - エネルギーの壁を打ち破る
    9 意識 - 人間の心のルーツ
    10 死 - 不死には代償がある。

    一般的に、科学における探究の正しい在り様というのは、「Why」を追求することと思われている。しかし、こと「進化」という領域について言えば、話は別物のようである。現に本書の中に、Whyを突き詰めていった部分を探し求めていっても、たいていは「自然選択」の一言ですまされてしまう。ここで描かれているのは「Why」ではなく「How」、つまりどのように進化していったのかということである。進化における特定の一点を深追いすることよりも、全体像を線で捉えていくことの方が、ことコミュニケーションの範疇においては有益なのである。

    本書を読む際には、進化の流れにおける非連続なポイントに着目して読むと面白いと思う。本書の場合非連続なポイントでは、科学という境界を飛び出して説明されていることが多く、見つけ出すことが比較的容易である。現段階で科学的に説明ができていない領域こそ、大きなポテンシャルを保持しているということだ。今後の動向次第ではさまざまな事が解明され、大きく発展する可能性もある。

    例えば「有性生殖」に関する説明の中で、クローン生殖と有性生殖の違いをそれぞれ旧約聖書と新約聖書になぞらえている。変異を罪のようなものだと仮定すると、クローン集団において罪をなくすには、旧約聖書の物語のように、大洪水でおぼれさせるか、地獄の業火でめちゃめちゃにするか、疫病を流行らせるかして、集団全体を罰するしかないというものだ。一方、有性生殖には健常な両親のそれぞれに多数の変異をためこませて、すべてを1体の個に注ぎ込む力がある。これを、キリストが人々の罪を一身に引き受けて死んだ新約聖書の例で説明している。これらは、わかりやすく説明するための手法として宗教を持ち出しているだけでなく、その内容にも多分に形而上学的要素をはらんでいるということを意味している。

    その際たるものが、「意識」についての説明である。本書においては意識の原理を説明するものとして、「見かけは非物理的であっても、実際には物理的存在である心の塵」、「一般的な外観特性に加え、内なる特性を持つことによる地下室の爆弾」、「タンパク質のコヒーレント(干渉性をもつ)な震動」など、あらゆる方面の説を紹介している。これこそまさに、量子力学と哲学と神学がせめぎ合っている模様を表しているということなのだ。

    本書は決して取っつきやすい類の本ではないだろう。専門用語も多いほか、進化の歴史が樹形図状であることを受け、本書の構造自体もノンリニアである。ただし、そこから得られる知的報酬は高く、なにより「思考の跳躍」を実感することができる。「分かる」という行為もまた、非連続性を伴うものなのだ。

  • 和図書 467.5/L23
    資料ID 2010105136

  • 神戸新聞・共同通信?2011.01.30朝刊 書評欄より。

    《生化学者の著者が、生命の進化における最大級の「発明」を10個選び出し、それぞれを論じた本である。選ばれた10個は生命の誕生と死、そしてDNA、光合成、細胞、有性生殖、運動、視覚、温血性、意識だ。》(森山和道・サイエンスライター)

    《この本は後輩たちへのエールである。そして科学という手法・考え方への揺るぎない信頼を示す本だ。そして全てを生んだ進化への賛歌でもある。》

  • はじめに 進化の10大発明
    1 生命の誕生―変転する地球から生まれた
    2 DNA―生命の暗号
    3 光合成―太陽に呼び起こされて
    4 複雑な細胞―運命の出会い
    5 有性生殖―地上最大の賭け
    6 運動―力と栄光
    7 視覚―盲目の国から
    8 温血性―エネルギーの壁を打ち破る
    9 意識―人間の心のルーツ
    10 死―不死には代償がある

全23件中 1 - 23件を表示

生命の跳躍――進化の10大発明を本棚に「読みたい」で登録しているひと

生命の跳躍――進化の10大発明を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

生命の跳躍――進化の10大発明を本棚に「積読」で登録しているひと

生命の跳躍――進化の10大発明の作品紹介

進化史に飛躍的な変化をもたらした10のエッセンスを核に、生命の来歴の豊穣な物語を描きあげた一冊。高い評価を得た前著同様、レーンは最大級の謎の数々に大胆かつ周到に挑んでいる。10の革命的「発明」とは、生命の誕生/DNA/光合成/複雑な細胞/有性生殖/運動/視覚/温血性/意識/死。これらはいかに地上に生じ、いかに生物界を変容させたのか?各一章を割き、最新の科学的解釈、および研究最前線に浮かぶスリリングな仮説や手がかりを語り、それらがわれわれにとって意味するものを問いかける。

ツイートする