立原道造 鮎の歌 (大人の本棚)

著者 :
  • みすず書房
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本棚登録 : 21
感想 : 1
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  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622080466

作品紹介・あらすじ

永遠の抒情詩人立原道造が生前に出版を構想していた物語集11編を、初めての普及版で贈る。

感想・レビュー・書評

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  •  ある種の難解さを素晴らしさと取り違えている時期があった。本書を冒頭から素直に読めば、それが無根拠な暴論でしかなかったことに気づく。
     「かろやかな翼ある風の歌」は、「或る青年は、風になりたいとつね日ごろ希つていた。そこで彼は風になつた」者特有の恋患いを描いているかに見え、その実我々が恋する人を前にした苦悩を極めて見事に抽出してくれたのではなかろうか。
     解説で松浦寿輝が強調しているように、甘ったるい「幼稚なナルシシズム」の世界として切り捨てるのではなく、そこに「独自の魅力的な日本語の音楽性」を聴きとりたい。

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著者プロフィール

1914年、東京生まれ。先祖には水戸藩で『大日本史』を編纂した儒家の立原翠軒がいる。旧制一高から東京帝国大学建築科に進んだ。13歳ころから短歌や詩を書きはじめ、高校では手製の詩集「さふらん」を作成。大学では同人雑誌を創刊し、小説や短歌を発表した。学業でも在学中に辰野金吾賞を3回受賞するなど将来を嘱望された。37年に卒業し、建築士として建築事務所で働きながら詩作に打ち込む。堀辰雄、室生犀星に師事し、音楽的に構成された繊細な十四行詩型(ソネット)を作り出した。37年に第一詩集『萱草に寄す』、『暁と夕の詩』を刊行するが、同年秋から体調をこわし、39年3月に結核性肋膜炎のため24歳で死去。入院中に第1回の中原中也賞を受賞している。34年に訪れた信濃追分の風景を愛し、多くの詩の背景としている。作品は前期のほか、没後に堀辰雄が編纂した『優しき歌』が47年に刊行、全集は戦後、数回出されており、筑摩書房が全5巻の全集を刊行。

「2023年 『無伴奏混声合唱組曲 春が来たなら』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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