『こころ』大人になれなかった先生 (理想の教室)

著者 :
  • みすず書房
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感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (155ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622083061

感想・レビュー・書評

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  • 先生、青年、静の立場から「こころ」を読む

  •  小説内のほころびや読んだときにちょっとだけ「あれっ!?」と違和感を感じるところなどを手掛かりに、隠された情報や真実を推測してゆく過程は、すぐれた謎解きを体験するようなワクワクした感覚に満たされます。
     そういう作業を可能にするためには、バックグラウンドとしてその小説の書かれた時代や人生の機微、心理学などいろいろな教養を要するということを痛感しました。
     当然のこととして何度も小説を分析的に読んでゆくという大変な作業が必要になるのでしょうが、素人はそこまでいかなくてもゆっくりと小説を味わい、考えながら、大いに空想を働かせながら読んでゆくことによって、ザッと読むのでは分からない事実に出会うことができるかもしれません。
     ただし、そういう作業に耐えうる小説であることが前提であり、そういうものが”古典”たりうるものなのかもしれません。
     

  • レベルは下げないで研究内容を高校生に向けてわかりやすく書いたとあるとおり、小森陽一の『漱石を読みなおす』よりも読みやすかった。

    私が知りたかった「先生の死後の静と私」に言及した小森陽一の論の根拠が紹介してあってすっきりした。

    それにしても漱石は奥深い。


    作成日時 2008年03月20日 12:21

著者プロフィール

1955年生。早稲田大学教授。著書に『漱石入門』(河出文庫)、『『こころ』で読みなおす漱石文学』(朝日文庫)、『夏目漱石『こころ』をどう読むか』(責任編集、河出書房新社)など。

「2016年 『漱石における〈文学の力〉とは』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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