精神の革命――急進的啓蒙と近代民主主義の知的起源

  • みすず書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622086147

作品紹介・あらすじ

スピノザの思想的系譜につらなるドルバック、エルヴェシウス、コンドルセ、ミラボーなどの「ラディカルな啓蒙主義者」たちの思想が、実はフランス革命の真の原因であり原動力であった。当時のパンフレットや雑誌、新聞などにあらわれた議論・論争を追いかけ、政治運動にどのような影響を与えていったかを考察した画期的書。思想史啓蒙期研究に最も重要な一石を投じながら、これまで日本で紹介されなかったアメリカの歴史家のエッセンス、初の邦訳。

感想・レビュー・書評

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  • フランス革命前夜の知的状況には啓蒙主義者にも穏健派と急進派があり、スピノザに知的起源を有する急進派が優勢となったことがフランス革命の契機となったというのが著者の主張である。百科全書が何度も引用されているが、その中でも穏健派と急進派の記述のばらつきがみられ、意見の一致が見られないというのは非常に興味深い。
    また、チュルゴーが日本をたたく評価している記述があるのもまた興味をそそられる。

  • 東2法経図・開架 133A/I85s//K

  • 『精神の革命――急進的啓蒙と近代民主主義の知的起源』

    原題:A REVOLUTION OF THE MIND: Radical Enlightenment and the Intellectual Origins of Modern Democracy
    著者:Jonathan Irvine Israel
    訳者:森村敏己

    【書誌情報】
    四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/320頁
    定価 5,400円(本体5,000円)
    ISBN 978-4-622-08614-7 C1010
    2017年7月10日発行

     「啓蒙」とは何か。カント以来続くこの壮大なテーマをめぐって、著者ジョナサン・イスラエルは「急進的啓蒙」という概念によって新たな展望を示そうとする。啓蒙の主流をなす穏健派と、少数派ながら近代民主主義の形成に貢献した急進派、および反啓蒙。これら三つの潮流が織りなす思想のドラマとして17世紀以降のヨーロッパの知的状況を解釈するイスラエルの議論は、近年、大きな注目と反響、そして批判を呼び起こしている。
     みずからのインテレクチュアル・ヒストリーを「論争に焦点を当てる方法論」にもとづくものとし、大西洋の両岸で繰り広げられた「啓蒙」と呼ばれる思想運動のうちに、普遍的意義を持つとされる価値観の形成過程を見いだそうとする立場、現実世界を変革するうえで「思想」が及ぼした影響力を重視する歴史観、そしてポストモダニズムを批判しながら特定の価値の「普遍性」を主張する姿勢。こうした点もまた、論争の的となった。
    当時の思想書だけでなく、パンフレットや雑誌、新聞などの膨大な一次史料の精読をもとに、啓蒙「三部作」とされる一連の大著でつぎつぎと展開される議論を簡潔に示した本書は、歴史家イスラエルによる啓蒙研究の特徴を明瞭に表わしている。近代的価値観が問い直されつつある今日の状況に、一石を投じる書といえよう。
    https://www.msz.co.jp/book/detail/08614.html


    【目次】
    序文

    第I章 進歩および世界の改良をめぐる啓蒙の路線対立
    第II章 民主主義か社会階層制か?――政治的断絶
    第III章 平等と不平等の問題――経済学の台頭
    第IV章 啓蒙による戦争批判と「永久平和」の探求
    第V章 対立する二つの道徳哲学
    第VI章 ヴォルテール対スピノザ――啓蒙が示す哲学体系の基本的二元性
    第VII章 結論

    訳者解説
    訳註
    原註
    文献一覧
    索引

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著者プロフィール

1946年、イギリス生まれ。ケンブリッジ大学クイーンズ・カレッジを卒業後、1972年、オクスフォードにて博士号取得。ニューカッスル大学、ハル大学を経て、1974年よりユニヴーシティ・カレッジ・ロンドンにおいて近代史を担当。2001年からプリンストン大学で教鞭を執り、現在は同大学の名誉教授。

「2017年 『精神の革命』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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