現代物理学における決定論と非決定論 [改訳新版]――因果問題についての歴史的・体系的研究

  • みすず書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622087366

作品紹介・あらすじ

「本書は『実体と関数』に始まり『シンボル形式の哲学』に結実し『国家の神話』に終わる、カッシーラーの生涯の哲学的問題意識のすべての要素の結接点に位置する」(山本義隆)。1994年に学術書房から刊行された書の新版。今回、原書初版に基づき本文・解説とも大幅に書き改め、英訳版の序文も加えた、実質上新刊である。ボーアの観測問題を哲学的に基礎づけ、科学と哲学を架橋した画期的著作であり、同訳者の『実体概念と関数概念』とも対になる書。

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  • 『現代物理学における決定論と非決定論――因果問題についての歴史的・体系的研究【改訳新版】』
    原題:DETERMINISMUS UND INDETERMINISMUS IN DER MODERNEN PHYSIK: Historische und systematische Studien zum Kausalproblem
    著者:Ernst Cassirer(1874-1945)
    訳者:山本義隆(1941-)

    【書誌情報+内容紹介】
    A5判 タテ210mm×ヨコ148mm/392頁
    定価 6,480円(本体6,000円)
    ISBN 978-4-622-08736-6 C3041
    2019年1月16日発行

    「カントのとらわれていた、近代科学のカテゴリーのみで経験の対象が構成されるという理性主義的偏向と、その近代科学をもっぱらニュートン物理学のみに求めるという時代的制約の、両面での限界を克服した立場から、あらためて現代物理学の世界認識に取り組んだのが本書である。その意味においても、本書はカッシーラー哲学の全貌を知るうえで不可欠であり、またその点に本書がカッシーラー哲学全体のなかで有する重要性もある」(訳者)

    量子力学の本当の困難は、それが根底的な〈非決定論〉を導入したということ、それが私たちに〈因果概念〉の放棄を要求しているということ、そのことにあるのではない――この問題提起から始まり、ナチス・ドイツを逃れ亡命先のスウェーデンで1936年に執筆された本書は、『実体概念と関数概念』に始まり『シンボル形式の哲学』に結実し『国家の神話』に終わる、カッシーラーの生涯の哲学的問題意識のすべての要素の結接点に位置するものである。
    1994年に同訳者により学術書房から刊行された旧訳書を、原書初版に基づき本文・解説とも大幅に書き改め、英訳版の序文も加えた、改訳新版。量子力学的世界の哲学的基礎付けを試み、科学と哲学を架橋した画期的著作である。
    https://www.msz.co.jp/book/detail/08736.html

    【目次】
    まえがき

    第1部 歴史的・予備的考察
    第一章 「ラプラスの魔」
    第二章 形而上学的決定論と批判的決定論

    第2部 古典物理学の因果原理
    第一章 物理学的命題の基本型――測定命題
    第二章 法則命題
    第三章 原理命題
    第四章 普遍的因果律

    第3部 因果性と確率
    第一章 力学的な法則性と統計的な法則性
    第二章 統計的命題の論理学的性格

    第4部 量子論の因果問題
    第一章 量子論の基礎と不確定性関係
    第二章 原子概念の歴史と認識論によせて

    第5部 因果性と連続性
    第一章 古典物理学における連続性原理
    第二章 「質点」の問題によせて
    最終的考察と倫理学的結論

    英訳版の序文
    訳者あとがきと解説
    訳注
    原注
    事項索引
    人名索引

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著者プロフィール

1874-1945。ドイツの哲学者。旧ドイツ領ブレスラウ(現ポーランド領ヴロツワフ)に生まれる。ヘルマン・コーエンの下でカント哲学を学び、マールブルク学派の一人に数えあげられるが、近代認識論史の大著である『近代の哲学と科学における認識問題』(1-3巻、1906-20、4巻、1950〔邦訳『認識問題』全4巻・5冊〕)や『実体概念と関数概念』(1910)で独自の立場を確立。ベルリン大学私講師をへて1919年新設ハンブルク大学教授に着任。さらに『シンボル形式の哲学』(1923-29)で言語・神話・宗教・芸術などを包括する文化哲学の体系をつくりあげた。1933年、ナチスの支配と同時に亡命を余儀なくされ、オクスフォードからスウェーデンをへて、1941年以後アメリカで活躍する。1945年4月、ニューヨークで歿。著書は他に『自由と形式』(1916)『カントの生涯と学説』(1918)『ルネサンス哲学における個と宇宙』(1927)『啓蒙主義の哲学』(1932)『現代物理学における決定論と非決定論』(1936)『人間』(1945)『国家と神話』(1946)などがあり、その多くが邦訳されている。

「2019年 『カントの生涯と学説 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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