- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784622087762
作品紹介・あらすじ
『神よりの逃走』『沈黙の世界』等、スイスで著述活動を続けた批評家ピカート。第二次世界大戦後まもなく刊行された本書は、ヒトラー政権下のナチス・ドイツ社会を分析、批判しつつ、それを支持していた人間像を描き出す。すなわち20世紀に入り社会状況の変化から支離滅裂な「あたらしい人種」が現われ、独裁者の言葉を受け入れる素地が作られてきたと評価するのである。しかし単に時代の暗黒面を強調するだけではなく、人類の進むべき道をも考察する。独裁者と全体主義といった、古くて新しい問題を考えるうえで省みたい書である。
感想・レビュー・書評
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1946年と戦後早い時点で出版されたナティズムに関する本。
タイトルから、精神分析的な人のなかに存在する破壊とか暴力に関する本能みたいなことを書いているのかなと思ったのだけど、かならずしもそういう話しではないみたい。
価値観が分断されて、ニヒリズムにおちいったところにヒトラーが入り込んだ。ヒトラーやナチズムは、無価値、空虚なもので、ドイツ国民の混乱を表現したものにすぎない、みたいな話し。
もちろん、こうした傾向は、ドイツだけではなく、20世紀の社会には広くみられるものとするが、やはりドイツに特有のものとしての説明も多い。
で、著者の主張は、西欧の文化的な根源であるギリシア・ローマ〜キリスト教的なものとつながり、分断を乗り越えるという方向性。
分断のなかにヒトラーが入ってきたという側面はたしかにあるけど、ちょっと説明は単純すぎる感じだし、文化的なつながりという方向もリアリティは感じられないかな?
46年の時点で、こういう見方もあったんだという歴史資料的な感じで読んでしまった。詳細をみるコメント0件をすべて表示