正直シグナルーー非言語コミュニケーションの科学【新装版】

  • みすず書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784622089568

作品紹介・あらすじ

世界が注目する独創的な研究から、イノベーションと物語が生まれる瞬間を切り取った刺激的なレポート。「場の空気」や「暗黙の了解」など、言葉にされないさまざまなコードを、私たちは息苦しいほどに意識ながら生活している。もしそうした「雰囲気」のやりとりが、未来のテクノロジーによって当人にも他人にも丸見えになってしまったらどうだろう? 著者はまさにそんなテクノロジーを開発してしまった。
本書は、非言語的シグナルによるコミュニケーションの領域に初めて科学のメスを入れた研究と、そのパイオニアである著者のビジョンを覗きこむ。前半はこうしたシグナルの想像以上の影響力を例証するややテクニカルな議論だが、集団や社会のダイナミクスを語る後半は、専門の枠を超えたスケールの大きな問題提起となっている。正直シグナルが可視化される未来の社会では、「ネットワーク・インテリジェンス」──人の集合が一個の頭脳のように形づくる知性──が、はるかに効率的に利用されるはずだと著者は語る。
これは私たちにとって朗報となるのか、それとも悪夢となるのか? 私たちはどんな未来を求めるのか。それを幅広い視点で考えるためにも、MITメディアラボで進行する先覚的な研究の水準を、いま目の当たりにしておきたい。解説・安西祐一郎。

感想・レビュー・書評

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  • MITのメディアラボに所属するペントランド先生の本です。私は「ソーシャル物理学」を先に読んで非常に感銘を受けていたので、こちらも続けて読むようにしました。「ソーシャル物理学」と比べると、本書の方がポーカーやスピードデートなど少人数でのコミュニケーションを対象にした研究ですので、読みやすいかとは思います。本書では、人間が発する第3のコミュニケーションチャネル(正確にいうと原始時代からあったという意味で第1というべきか)について焦点をあて、デジタルセンサー技術を活用して大量のデータを収集・分析しています。具体的に第3とは何かといえば、言語、感情ではなく、先生の言葉を借りれば「社会的シグナリング」というものです。

    本書では「影響力」「ミミクリ」「活動レベル」「一貫性」という4つの社会的シグナリングに焦点を当て、それをソシオメトリックバッジという機械で測定していきますが、イメージとしては、相手とのコミュニケーション・キャッチボールがリズム良く進んでいるのか、相手に同意を示している(共感を示している)のか、コミュニケーションが盛り上がっているのか、また自分の話し方の強弱は一貫しているのか、などを意味します。

    そしてこれらの社会的シグナリングを把握することで、会話の結論がどうなるかについて高い確率で予測できる、というのが著者の主張です。意識による合理的な判断ではなく、無意識(意識下)のシグナリングとその反応が議論の帰結を左右するという結論はかなり大胆な気がしましたが、個人的には当たっているのではないかという気がしなくもありません。センサー技術が加速度的に進化し、価格もどんどん安くなっている中で、これからペントランド先生のような研究領域はさらに進化するのだろうと本書を読んで感じました。

  • コミュニケーションの内容や結果はいくつかの非言語的な情報(正直シグナル)によって予測できるという研究をまとめた本。
    前半では、正直シグナルが広範な1対1コミュニケーションの事例でコミュニケーションの結果と相関を持つことを主張している。

    後半ではコミュニケーションを人の集合となる社会的ネットワークに拡張させた際にも正直シグナルが有効であることを主張している。
    正直シグナルから示唆される情報に基づいた意思決定が、より適切な意思決定に繋がるという趣旨。

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著者プロフィール

アレックス・ペントランド( Alex Pentland)
マサチューセッツ工科大学(MIT)教授。MITメディアラボ創設から関わり、現在はMITコネクションサイエンス・ラボとヒューマンダイナミクス・ラボの所長を務める。ビッグデータ研究の世界的第一人者で、フォーブス誌が選ぶ「世界で最も有力な7人のデータサイエンティスト」にも選ばれた。また、10社以上のビッグデータ関連の会社を創立した起業家でもある。世界経済フォーラムでは、ビッグデータと個人データ保護に関するイニシアチブをとった。邦訳されている著書に『正直シグナル—非言語コミュニティの科学』(みすず書房)がある。

「2018年 『文庫 ソーシャル物理学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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