政党内閣の崩壊と満州事変: 1918~1932 (MINERVA人文・社会科学叢書 157)
- ミネルヴァ書房 (2010年2月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (406ページ)
- / ISBN・EAN: 9784623055722
作品紹介・あらすじ
なぜ陸軍が権力を掌握したのか-田中義一、浜口雄幸、若槻礼次郎、犬養毅…陸軍改革の試み、その意図せざる挫折を描く。初めて解明される政軍関係の角逐。
感想・レビュー・書評
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事実関係を細かく追っており、自分には難解だったが、流れは把握しようと努めた。
対象期間は原内閣成立の1918年から。政党政治に積極参与する田中−宇垣路線が陸軍の主流となり、田中内閣発足時の田中は自らが陸軍を統制できる自信があった。しかし第一次山東出兵をめぐる混乱でその陸軍支配は揺らぎ、張作霖爆殺事件で田中は辞任。
浜口内閣を経て第二次若槻内閣での満洲事変発生時、若槻は初動では追認するも、次いで幣原と金谷参謀総長など陸軍穏健派ラインの連携により抑えにかかる。しかし幣原のスティムソン談話事件と、連立の協力内閣構想の非実現で関東軍の統制は困難となった。そして政友会の倒閣運動で若槻内閣崩壊。犬養内閣では第一次上海事変後、最終的に陸軍積極論(と、海軍艦隊派も?)を抑えられなくなる。
なお、永田鉄山自身は一貫して陸軍穏健派として扱われており、皇道派の失墜後に軍部内統制を強化しようとしていたが、相沢事件で死亡。以降、「永田なき統制派は現地軍に引きずられる形で華北分離工作にのめり込んでいく」とある。
軍人の政治関与というと否定的なイメージが強い。しかし、政党内閣の意を汲んで軍の統制に努力した陸軍穏健派の存在はどうだったか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本のことをよく知らない欧米人に1930年代の日本では複数の首相と複数の財務大臣と三井グループのトップ一人が暗殺されたんですよという話をすると驚かれることがある。
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[ 内容 ]
なぜ陸軍が権力を掌握したのか―田中義一、浜口雄幸、若槻礼次郎、犬養毅…陸軍改革の試み、その意図せざる挫折を描く。
初めて解明される政軍関係の角逐。
[ 目次 ]
政党による陸軍統治
第1部 二大政党制と陸軍統治の動揺(田中政友会と山東出兵;相対的安定と破局への予兆―浜口幸雄と宇垣一成)
第2部 政党政治と陸軍統治―その同時崩壊(政党内閣と満州事変;政党内閣の崩壊)
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