小さな大世界史:アフリカから出発した人類の長い旅

  • ミネルヴァ書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784623071401

作品紹介・あらすじ

本書は、オーストラリアの歴史家・ブレイニーがコンパクトにまとめた世界史。アフリカを出発した人類が各地に散らばり、いかに暮らし、働き、技術を磨いたのか。ヨーロッパを相対化しつつ、著者ならではのユニークな視角で、世界の大きな流れをいきいきと描き出す。随所にちりばめられる軽妙な比喩とユーモアも味わい深いダイナミックな通史。(原書:Geoffrey Blainey, A Very Short History of the World, Penguin, 2007.)

感想・レビュー・書評

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  • 世界史を概観する。個別の国や時代を切り取って並べた歴史ではなく、がばっと鷲掴みに世界史全体を見るような視点。世界史についてもっと知識があったらより楽しめるんだろうなと思う。読み物として面白かった。人類史が技術の発展や気候環境に大きく影響されることを改めて感じた。やっぱり蒸気機関が発明されてから、ぐぐっと世界が繋がりだして発展していく様にはわくわくさせられる。

  • 環境や技術革新によって歴史が変わっていくことが説明されているのが興味深かった。
    訳者が途中で変わるためか、読みにくい部分もある。




    中世に温暖期があって、ヴァイキングなどがヨーロッパ北部に定住した。その後小氷期に入り、多くの人々が飢餓にあえいだ。

    印刷技術とともに進む宗教改革

    トウモロコシ、ジャガイモ、サツマイモ、トマト、アーティチョーク、ターキー コロンブス以降アメリカからヨーロッパにもたらされた

    奴隷取引 1908年まで、人を奴隷として売ることは禁止されていなかった 
    ヨーロッパ人やイスラム教徒の介入以前から、アフリカには活発な奴隷交易があったようだ
    アフリカの内部では多くの人々がその親類によって奴隷にされていた

  • 世界史。グレートジャーニーの本ではない。

  • テーマとしては特定の時期や地域に縛られず世界史の概観をつかむ通史。以前読んだ銃・病原菌・鉄に近い。しかし銃・病原菌・鉄より面白い。詳細→http://takeshi3017.chu.jp/file7/naiyou25101.html

  •  紀元前1万2000年から9000年にかけて、氷河は急速に溶けていった。居住可能な地球の大部分において、気候の変化は、驚くべきものであったにちがいない。それは、一人の長い人生のあいだにも驚くべきものに見えたであろう。海岸に住むひとびとは、別のある変化に気づいていた。海が上昇してきていると。海面の上昇は、気候の温暖化がはっきりわかるようになるよりも前から見られたのだった、(p.18)

     ローマ人は、次世代のために、日常生活やその楽しみ、苦悩、喜び、心配について詳細に書き残している。だからわれわれは、庶民の食事をだいたい味わうことができる。それは、堅いパン、「新鮮な手押しのチーズと二番なりの緑のいちじく」、そしてもちろん、小さいが人気の魚シラスである。われわれはローマの農場を歩き回ることもできる。それはウェルギリウスの詩に負うとことが多い。(p.95)

     伝染病というのは動かずにいられない旅行者のようである。それは旅路が開かれると勢いづく。モンゴルの侵略によってアジアの広大な地域をカバーする統一的支配が成立すると、古くからの隊商ルートに沿った貿易が再生され、それによってヨーロッパに向けて北西に移動する腺ペストの通り道も提供されたのである。(pp.164-165)

     クリストファー・コロンブスやヴァスコ・ダ・ガマの航海は、数千年以前にあった農業のゆっくりとした発見以来、世界史における最も重要な出来事であった。ポルトガルの航海は、以前には船で接触することはできなかった世界の二つの活動的で豊かな地域をつないだ。スペインの航海は、人が住んではいたが遠く離れてたがいに知らなかった二つの世界を結びつけた。これらに相当する出来事は、他の惑星に先進的な生命が発見されない限り二度と起こらないであろう。(p.170)

     科学革命は、世界の見え方を驚くほど進歩させた。1550年以前は、金属加工業の熟練工が機械式時計屋印刷機などのような進歩を担ったのに対し、後年の顕微鏡や望遠鏡などの発見を促進したのは、ガラス工業の熟練工であった。ガラスは、見えないものを見るための、科学者の移植された目となった。(pp.227-228)

     ガリレオの改良された望遠鏡は、コロンブスやマゼランが海の旅行によって達成したことを、空において達成した。それは新たな世界地図を描いたのである。ガリレオは、主にヴェネツィア・ガラスでつくられた自分の望遠鏡を通して、自分で「最も美しく喜ばしい光景」と言った月を詳しく調べた。かれはまた、他のだれも見たことのない月のクレーターや凹凸のある表面を見つけた。かれは太陽の黒点を見たり、星で構成された天の川を見つけたりした最初の人物だった。(p.229)

     世界は、何万という小さな自己充足てきな地域から成り立っていた。一晩でも家から離れたところで寝るということは、異常な経験であった。これは中国、ジャワ、インド、フランス、メキシコなどどこでも同じであったーただ、オーストラリアとそこのアボリジニの場合はそうでなかったー。ひとびとは、その全生涯を一つの場所で過ごした。食べるべき食料や、衣類や履物に使う材料はほとんどそこで手に入った。彼らを興奮させ恐れさせるニュースやゴシップはそこから出ていた。そこでかれらは妻や夫を見出した。(p.274)

     ただちに、ヨーロッパとアジアの二つの戦争は一つに結びついた。そして、ドイツと日本が一方の陣営で戦い、アメリカ合衆国、イギリス、中国、その他世界のほとんどの国々がもうひとつの陣営で戦った。第一次世界大戦が第一義的には窮地にあったヨーロッパの戦争だったのに対し、今回の戦争はまさに世界戦争だった。
     平時にせよ戦時にせよ、世界が小さくなったことをこれほど映し出した出来事はなかった。飛行機とラジオが大陸を飛び越えて渡った。太平洋は、ガレー船の時代の地中海と同じように、簡単に横断された。(p.328)

     人類の歴史において、あまりにも明白なのでめったに論評されることがないひとつの深くて大きな変化がある。それは、かつては非常に大切だった区別が、じょじょにあいまいになってきているという変化である。季節はあいまいになり、夜と昼の違いや、夏と冬の違いもぼやけてきた。夜の間は重要ではなくなり、ひとびとの行動に対する月の影響も弱くなった。仕事とレジャー、都市と地方なども、大きな区別ではなくなった。(p.347)

  • 東2法経図・開架 209A/B52c//K

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