- Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
- / ISBN・EAN: 9784623076772
作品紹介・あらすじ
「開発」とは野蛮を文明に移行させる手段なのだろうか。また世界のよりよい方向性を定める行為なのだろうか。本書は、開発の技術を俯瞰し、方向性が大きく変化する歴史の転換点を思想史的に見つめ、日本から「国際開発」を世界へと発信する意味を模索する。そのうえで、歴史的見地から開発が人間にとって持つ意味を学問として位置付ける壮大な試みである。
感想・レビュー・書評
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途上国への関わり方として、開発援助というルートが、一般的になってしまうことにやや違和感があり、少し勉強しておきたいと思って読む。どのような心構えで、知的な武装で望めばよいのか。
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論文集だが読みやすく、読み手に様々な問いの余韻を残してくれる本。開発のみならず国際協力全般に関わる人間の必読書であるように思った。今後も読み返すであろう一冊。
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開発/援助に関心がある方々は筑波大学にも多いのではないでしょうか。そんな方々にぜひ手に取っていただきたいのが本書になります。
まず、「生活の質をどう評価するか(第1章)」「貧しい人々は何をもっているのか(第2章)」「たった一つの村を調べて何になるのか(第3章)」といった問い掛けを糸口に、開発/援助を考える視点について解説されています。その上で、「分業は何を生み出すのか(第4章)」「『想定外』はなぜ繰り返されるのか(第5章)」「緊急物資はなぜ届かないのか(第6章)」「豊かな資源は呪いか(第7章)」といった、開発/援助をめぐる実践的な問題に議論が展開していきます。そして最終部では、「戦後日本は、なぜ援助に乗り出したのか(第8章)」「日本に援助庁がないのはなぜか(第9章)」「『日本モデル』はなぜ打ち出されなかったのか(第10章)」という問いの下、日本の政府開発援助(ODA)について歴史的に検討されています。
平易な文章で丁寧に書かれているので、開発/援助研究の教科書的文献としても読めるかと思います。それでいて、著者独自の切り口や新たな成果も随所に散りばめられており、専門的な研究書としても興味深く読める書物になっています。ぜひ一度手に取って、中身を確かめてみてください。
(ラーニング・アドバイザー/国際 OYAMA)
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