複雑系を哲学する:〈生成〉からとらえた〈存在〉と〈認識〉 (小林道憲〈生命の哲学〉コレクション)
- ミネルヴァ書房 (2017年1月10日発売)
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- Amazon.co.jp ・本 (466ページ)
- / ISBN・EAN: 9784623077304
作品紹介・あらすじ
無数の要素の相互作用から自己自身を形成していく動的系を〈複雑系〉というとすれば、宇宙、物質、生命、社会、すべて複雑系である。二十一世紀の新しい科学の方向を指し示す〈複雑系の科学〉の存在論的・認識論的基礎づけ。絶えざる生成のうちにあり、常に新たな創造に向かっている自己形成的世界の存在論的、認識論的基礎を考えるには、存在を関係に、関係を生成に還元し、世界内認識の立場に立って主客分離の世界観を乗り越えねばならない。〈存在〉と〈認識〉を〈生成〉からとらえる生命哲学の展開。
感想・レビュー・書評
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『複雑系の哲学―21世紀の科学への哲学入門』(2007年、麗澤大学出版会)と『続・複雑系の哲学―21世紀の科学への哲学入門』(2009年、麗澤大学出版会)のほか、3編の論考を収録しています。
著者は、複雑系にかんする科学的研究を手がかりにしつつ、主客二元論の構図に依拠した従来の哲学を超える存在論および認識論の構想しています。とくに、「生成」および「創発」の発想を、ライプニッツやベルクソン、ホワイトヘッド、メルロ=ポンティ、西田幾多郎といった哲学者たちの思索に接続することで、自然科学における新たな動向の背後にあると考えられる哲学的な世界観を解明しようとする試みがなされています。
ただ個人的には、「複雑系の哲学」というタイトルから予想されるような、ある程度自然科学の成果にそくした議論が展開されているわけではなく、ニューエイジ思想に類似した生命論的哲学がいささかナイーヴなしかたで語られているように感じられます。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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