古代ローマの市民社会 (世界史リブレット 3)

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  • 山川出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (90ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784634340305

作品紹介・あらすじ

古代ローマの市民たちは、さまざまな姿で、歴史の舞台に登場する。あるときは、質実剛健で勇敢な兵士として、あるときは、自らの一票で国家の行方を決定するポリス的人間として、また、あるときには、繁栄を享受して刹那的な快楽に耽ける皇帝と民衆たちとしてである。本書では、このようなローマ市民たちの社会を多面的に描く。

感想・レビュー・書評

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  • 古代ローマについての歴史を、前半は権力者と市民との関係を軸に、後半はローマに住む各階層の人びと(市民・解放奴隷・奴隷など)をそれぞれの立場や、社会との関係、家族とのつながりについて書かれています。
    古代ローマは、最近の「テルマエ・ロマエ」ブームに象徴されるよう、日本人に人気のある時代であり、授業でもとくに熱が入る時代の一つです。ギリシアと違い人間的で、オリエントと違い世俗的で、中国と違い権力者と一般人との距離が近く、教師生徒関係なく好きになる要素が満載です。本書はその基礎となる知識をしっかりとおさえていますので、世界史好きの高校生にも是非読んでほしい一書です。

    以下備忘録
    ローマの分割統治について
    (前338年のラテン同盟戦争の勝利とともに導入された新たな同盟体制は、各都市は個別にローマと関係を結ぶことになる)1.ローマの同盟市の地位にとどまった都市、2.ローマに併合されて自治市(ムニキピウム)となった都市、3.新たに植民者が派遣されて植民市(コロニア)となった都市にわけられた。1の同盟市は、理論的には独立国家であったが、領土の一部を割譲させられ、度軸の対外政策を有することを許されず、ローマ軍を補助するための兵力供出を義務づけられた。2の自治市は、住民に「完全な市民権」を与えられた自治市と「投票権のない市民権」を与えられた自治市に区分され、ともに自治を許されていた。3の植民市は、通例、ローマ市民のみが入植したローマ市民植民市とローマ市民およびラテン諸都市出身者の入植したラテン植民市とに区分される。なお、前338年の時点で、同盟市となったラテン人都市やラテン植民市の住民は、遅れて同盟市となった諸市・諸部族に比べて優遇された。これらの諸都市やその住民のもつ特権をラテン権と呼ぶ。

    ディクタトル(独裁官)は、非常時に一名任命され、国家の全権を掌握する任期六ヶ月の公職であった。この種のディクタトルは、第二次ポエニ戦争以後には、任命されることはなかった。共和政末期のスラやカエサルも、ディクタトルを名乗ったが、彼らは内乱を勝ち抜いた軍事力を背景とする独裁者であり、かつてのディクタトルとは異なった性格のものと考えられる。

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著者プロフィール

学習院大学教授

「2013年 『ローマ帝国と地中海文明を歩く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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