ヤマケイ文庫 山怪参 山人が語る不思議な話

著者 :
  • 山と渓谷社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784635049245

感想・レビュー・書評

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  • 田中康弘『山怪 参 山人が語る不思議な話』ヤマケイ文庫。

    シリーズ第3弾。今回も山と山里で暮らす人びとから収集した話が多数描かれる。火の玉に狐火、幽霊、ツチノコ、座敷わらしに大蛇、人を化かす狸や狐、神隠し、祟り、虫の知らせなどなど、山と山里には不可思議が存在する。

    作中にも書かれていたが、確かに田舎の家は外と変わらずオープンで家の中をオニヤンマが通り抜けたり、視線を感じてふと目をやればニホンカモシカが裏山に佇んでいたりと、家の中と山との境界線が無いように思う。

    不可思議と言えば。昔、隣とはかなり離れた田舎の祖母の家を尋ねた時に納屋の2階で遊んでいたら、裏山にもんぺ姿の女性が佇んでいるのを見たことがある。一瞬のことであったが、あれは誰だったのか今でも謎である。

    また、友人と2人で深山の森に入った時、何処からともなく軟式野球のボールが足元に転がって来て周りを見渡すと、いきなり周囲に漂う強い獣臭に驚き、一目散に友人と共に森から走り出たことがある。近くに熊が潜んでいて、それを知らせる何者かが居たのかも知れない。

    まだまだ山には不可思議が一杯あるのだと思う。

    定価880円
    ★★★★

  • 私の実家は峠の入り口にある。夜は当たり前に暗かった。

    大人になってから、友人が夜に車で送ってくれることがあたっときは、その暗さに一様に驚いていた。私はその度に、その反応に驚かされていた。

    程度は違えど、森や山、海や川、雪とその暗さが背景となった話が、この本にも登場する。私は故郷の森や山を思い浮かべながら、自宅のある東京に帰省から戻る新幹線車内で、この本を読み進めた。

    読み終わったのは、自宅に戻ってお風呂に浸かっていた頃。妻と息子は妻の実家にいて、家には私一人。東京は、雪が降るかと思うぐらい寒い夜。閑静な住宅街で、何の音もしない。本を置いてしばらくしたその時、「ガチャガチャ」という暴力的な音が…

    結局、お風呂がぬるくなるまで浸かっていたのだった。

    セコムしてますか?

  • 山人、マタギなどの不思議な話をまとめた本。結構ビビっちゃう話もあり。教訓的なものもあり。
    マタギのみが話す山言葉、というのがあると知らなかった。山神様に敬意を示して話される言葉で外の人間に教えることはできない。

  • このシリーズ、これで読むのは3作目かな?
    今回も良かったです。いかにも怪談!怖いでしょ?、というような話はなく、生活している中でふと出会ってしまった怪異、怪異とも言えないような不思議な話が満載で、楽しんで読めました。
    山で行方がわからなくなってしまう話は、本当に不思議ですね。何なんだろう?大人数で捜索しても見つからないのに、ある時フッと発見される。「そこ何回も捜したのに!」って。けっこう掲載されてるので、本当にあるんですね、そんなこと。山や自然を侮ってはいけないと思いました。私は臆病なので侮ったことないけど…

  • 「ホラー苦手だっつったじゃん! ホラー苦手だっつったじゃん!」と繰り返したくなるぐらい、ホラー要素万歳だった。

  • 徐々に実話怪談テイストになってきている。

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著者プロフィール

長崎県佐世保市出身。
佐世保南高校→島根大学農学部→日本写真学園
雑誌、冊子等の撮影、執筆を生業とする。
秋田県の阿仁マタギとの交流は20年に及び“マタギ自然塾”としての活動を行う。
狩猟採集の現場から「地の力」とそこに暮らす人々の生活を常に見つめてきた。
「マタギ 矛盾無き労働と食文化」は阿仁マタギの里での生活を活写。
熊、ウサギ、岩魚、山菜、キノコと山の恵みを享受してきたマタギの暮らしを追った。
今は引退されたり、亡くなられた多くのマタギ達との様々な体験が記録されている。

「2023年 『完全版 日本人は、どんな肉を喰ってきたのか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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