ヤマケイ文庫 完全版 日本人は、どんな肉を喰ってきたのか?

著者 :
  • 山と渓谷社
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本棚登録 : 63
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784635049672

作品紹介・あらすじ

沖縄県・西表島のカマイ(リュウキュウイノシシ)から本州のクマ、シカ、イノシシ、ノウサギ、ハクビシン、カモ、ヤマドリ、北海道・礼文島のトドまで各地の狩猟の現場を長年記録してきた“田中康弘渾身の日本のジビエ紀行”完全版!!

日本各地の狩猟やジビエにまつわるレポートを豊富な写真をまじえて伝えます。

---
日本列島へ人類が入ってきたルートは、主に3つあると考えられている。
サハリン経由で北海道、半島経由で九州北部、そして島伝いで九州南部である。
偶然であるが、今回の旅はこれらに重なる部分が多い。
日本人がどこから来て何を食べて日本人になっていったのか。
もちろん、そんな高尚な学問的探求心ではなく、知らない土地を歩き、話を聞き、そして食べて理解したいのである。
“論より証拠”ならぬ“論より食”なのかもしれない。
(「はじめに」より)
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感想・レビュー・書評

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  • 田中康弘『完全版 日本人は、どんな肉を喰ってきたのか?』ヤマケイ文庫。

    日本列島を南から北に移動し、各地の狩猟現場を巡りながら、実際に狩猟で得た肉を食べながら、日本人が何を食べてきたかを明らかにするノンフィクション。

    肉でも野菜でも米でも、何かを食べるということは命を頂くという行為だ。それを念頭に、それぞれの土地に根付いて来た特色のある食肉文化は将来に残すべき大切なものであろう。

    元々、マタギ文化に興味を持っていたので、なかなか面白い内容だった。

    沖縄県西表島島に生息するカマイと呼ばれるリュウキュウイノシシ。本州のイノシシと比べると小型のようだ。イノシシが生息する北限が秋田県の栗駒山系ならば、南限が西表島らしい。

    さらには、宮崎県椎葉村のイノシシ猟、大分県のシカ肉レストラン、タヌキ、アナグマ猟、高知県安芸市のハクビシン、石川県のカモ猟、秋田県のツキノワグマ、ウサギ、最後には北海道礼文島のトド猟が紹介される。

    イノシシ肉は何度か食べたことがあるが、あの脂身の美味さ、赤身の濃厚な味わいは忘れられない。シカ肉は一度だけ焼肉で食べたが、ラム肉と牛肉の中間のような淡白な感じで、美味いなと思った。ツキノワグマの肉は秋田でクマ汁を食べたことがあるが、脂がしつこく余り好みではなかった。トド肉は北海道旅行のお土産で缶詰を購入し、食べたことがあるが、クジラ肉の缶詰のようだった。カモ肉はジビエ料理で食べたことがあるが、地鶏や軍鶏などよりも味わい深く、美味いと思った。

    ちなみに今、住んでいる福島県の中通りの田舎町にはイノシシが棲息しているが、福島第一原発事故の影響で放射能が高く、未だに食べることが出来ない。それでも、イノシシが畑や田んぼを荒らすため、害獣駆除が行われているが、行政が買い取る価格は僅か2万円ほどと言う。

    定価1,155円
    ★★★★

    • ことぶきジローさん
      猫丸さん。コメントありがとう。

      引っ越したばかりの田舎ののどかな町の一斉清掃に初参加した時に、じいさん方がここにイノシシの通り道がある...
      猫丸さん。コメントありがとう。

      引っ越したばかりの田舎ののどかな町の一斉清掃に初参加した時に、じいさん方がここにイノシシの通り道があると教えてくれて、その際に聞いた話です。原発事故から12年も過ぎたのに、まだ放射能の影響があることに現実を知りました。

      倒産してもおかしくない東電に多額の税金や、他の電力会社の金を投入し、責任を果たさない悪徳企業を生かしていることに怒りを覚えます。

      復興予算も減らし、軍事費の増強や少子化対策に予算を回そうとする政府にも怒りを禁じえません。
      2023/06/07
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      ことぶきジローさん
      原子力行政って一体何なんでしょうね?日本原電が黒字と言うのも意味不明だし、全て廃炉にすべきなのに老朽原発の運転期間延長...
      ことぶきジローさん
      原子力行政って一体何なんでしょうね?日本原電が黒字と言うのも意味不明だし、全て廃炉にすべきなのに老朽原発の運転期間延長とか、、、

      > 一斉清掃に
      遠くから文句しか言わない猫ですが、地元の方々が少しでも安心出来る生活が早く送れますように。。。
      2023/06/08
    • ことぶきジローさん
      猫丸さん。人類はまだ原子力を制御出来ないのに、利権目当てで見切り発車で進めた原子力発電事業に問題があるのでしょう。いくら契約とは言え、稼働し...
      猫丸さん。人類はまだ原子力を制御出来ないのに、利権目当てで見切り発車で進めた原子力発電事業に問題があるのでしょう。いくら契約とは言え、稼働していない原発のために電力会社から金を吸い上げ、何もしていないのに黒字という日本原電はおかしいです。東電社員にしても普通に給与や賞与が支給されるのもおかしいです。最近の電力の大幅値上げは原発再稼働或いは稼働期間延長のための原子力ムラの連中の圧力でしょう。
      2023/06/08
  • ゼロからの命のいただき方|日本人は、どんな肉を喰ってきたのか? |Review|志村まうしろ(2023年3月23日)
    https://note.com/bright_gnu588/n/nae2d7b890d57

    日本人は、どんな肉を喰ってきたのか? 田中 康弘(著/文) - 枻出版社 | 版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784777931613

    ヤマケイ文庫 完全版 日本人は、どんな肉を喰ってきたのか? | 山と溪谷社
    https://www.yamakei.co.jp/products/2823049670.html

  • 『日本人は、どんな肉を喰ってきたのか?』
    2023年12月18日読了
    各地の狩猟の取材記録をまとめた一冊。著者が実際に狩猟について行き、猟師にと鍋を囲み、酒を酌み交わし…といった経験をもとに執筆されている。

    各地の猟場環境や狩猟の仕方の違いも面白いのだが、なんといってもハントした野生動物を実際に調理し食らう場面に、なんだか憧れてしまう。

    ただ「肉を喰う」場面なのだけれども、狩猟の労をねぎらうとか、仲間と団らんするとか、もちろん恵みをいただくことへの感謝の念とか、現代の私たちが忘れてしまった経験や思いがそこにあるような気がした。

    また、統計だけではないリアルな問題への言及も興味深い。
    特に、地域によって狩猟の補助金が異なるために、補助金の多い地域での狩猟が集中し、野生動物が激減してしまう問題。統計上ではハンターの減少や高齢化が叫ばれる一方で、真逆をいくような問題が発生している現状には驚いた。

    今年は街中でも多くの熊が出没し、人的被害も多数報道された。早急な対策を講じなければ、これからも被害は拡大し続けるだろう。地域ごとではなく日本全体の問題として、対応する必要があるのではないだろうか。

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著者プロフィール

長崎県佐世保市出身。
佐世保南高校→島根大学農学部→日本写真学園
雑誌、冊子等の撮影、執筆を生業とする。
秋田県の阿仁マタギとの交流は20年に及び“マタギ自然塾”としての活動を行う。
狩猟採集の現場から「地の力」とそこに暮らす人々の生活を常に見つめてきた。
「マタギ 矛盾無き労働と食文化」は阿仁マタギの里での生活を活写。
熊、ウサギ、岩魚、山菜、キノコと山の恵みを享受してきたマタギの暮らしを追った。
今は引退されたり、亡くなられた多くのマタギ達との様々な体験が記録されている。

「2023年 『完全版 日本人は、どんな肉を喰ってきたのか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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