アルピニズムと死 僕が登り続けてこられた理由 YS001 (ヤマケイ新書)
- 山と渓谷社 (2014年10月24日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784635510073
感想・レビュー・書評
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まあ面白かったが、ちょっと物足りない気もした。
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読後は率直に「世の中にはすごい人がいるもんだなぁ…」という気持ちがわきました。
登山家の本を読んでみたいなーと思って検索したところ、「天国に一番近いクライマー」「世界最強のソロクライマー」と紹介されていた山野井泰史さん。
単独または少人数で、酸素ボンベを使用せずに難しいルートから挑戦し続ける世界的なクライマーです。
2002年、チベット高原ギャチュン・カン北壁登頂に成功した際に雪崩に巻き込まれ、凍傷で手足を計10本失います。
その北壁下降時の描写が極めて冷静なことに驚きました。
標高7,000m付近で雪崩に遭遇。眼球が凍り始めてしまい、視力を失ってしまう。次に手をかける場所を確認することができないーー。
そのような状況で生きて帰るための手段が、手袋を外し、手の感覚を頼りにピストンを打ち込んでいくことだったのです。手の指を失う結果になったのも、山野井さんにとってはその時取れる手段を冷静に選択した結果だったのです。
ほぼ日刊イトイ新聞でのインタビューを読むと、失っても日常生活に支障が少ない指はどれか…と、失う順番まで考えていたとのこと。
実際にはやはり生活に支障が出てしまったそうですが、極限状態で自分にとって現状で最も最適な手段を選びとる精神力は、一体どうやって身に着けるのだろうかと嘆息してしまいました。
自分が日常生活で日々追われている選択肢なんて、もっと気楽に構えてもよいのかも、と思える本。
成功しても指を失う、失敗したら死ーーそんな選択を突き付けられることはまず無いのですから。
その後、山野井さんは自宅近くの奥多摩からリハビリを始めて、2013年アンデスのプスカントゥルパ東峰南東壁の初登攀に成功しています。…すごい。
参考:http://www.1101.com/yamanoi/index.html
(ほぼ日刊イトイ新聞「ぼくは「想像」が得意 クライマー・山野井泰史さん、その発想」,2013.10.21-10.23) -
山は、死と隣り合わせにあることを改めて認識させられた。生きて帰ってきた人と、戻ってこられなかった人との違いは、いったい何なのだろう。この書で触れられた人たちはみんな経験があり、スキルを持ち、状況判断がきちんとできる人たちだ。油断とか不注意とか、ひとことではきっと語れない。山はなんて怖く、そしてなんて素晴らしいのか。
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沢木耕太郎の「凍」を読んでから何となく気になってる人。
ギャチュン・カンの登頂以降、
どうクライミングと取り組まれているのかが
少しでも知ることができてよかった。 -
慎重で臆病であること。
これが生き残った理由。 -
一気読みしてしまった。恐怖心を忘れないこと。生命の躍動を感じること。
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2015年12月8日読了。
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人生をかけた趣味なのか、それとも人生そのものなのか。
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日本のトップクライマーが、指をほとんど失うに至る側から見ると無謀なクライミング人生を振り返り、多くの同業者が死んでいく中で何故自分が生き残ったのかを考察する。
自然に対峙する緊張感の中でのみ、生きている実感を味わえる性格のようで中学生の時より死んでもおかしくないような無理な事をしていて、それが今の今まで指をなくそうが続いている。が、著者自身は他の人よりも慎重だと言っている。本を読んだ限りではたまたま運が良かったようにも見えるが素人なのでよくわからない。