「マエストロ、それはムリですよ・・・」 ~飯森範親と山形交響楽団の挑戦~

著者 :
  • ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784636846539

感想・レビュー・書評

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  • 一地方オーケストラの山形交響楽団を全国区に押し上げた理由とは?
    音楽本と言うよりビジネス本と言った方がいいかもしれませんね。指揮者の飯森さんのアイデア、オケの職員の奮闘、山響のドキュメントとしても面白かったです。
    山響聴きたくなりました。
    全国の地方オーケストラの職員はもちろんですが、会社やお店を経営されてる方も読むと何かヒントがあるかも?

  • 阿久悠の日記本に続き同居人絶賛の本!山形という閉鎖的な地で、それまで低迷していた山響を観客動員数180%という驚異的な地位に押し上げた人物。松本もかなり閉鎖的なのでこの本読むと元気が出そう!

  • 実力はあるのに、地方オーケストラとして今ひとつ力を出しきっていなかった山響=山形交響楽団が常任指揮者に飯森範親を迎え、そのマエストロの人間性と音楽性によってどんどん実力を顕し、国内を代表するオーケストラとして認知されるようになるまでを描いたノンフィクション。飯森さんの人間性の他、山形人の人間性もよく現れていて面白かった。

  • 山形交響楽団はブルックナーチクルスをはじめとして、中規模の編成とは思えない重厚な音色でとても素晴らしい演奏を聴かせてくれるオーケストラなのですが、そんな山響にも試行錯誤の過去があり、その中で飯森範親さんのアイデアとチャレンジの結晶が詰まっているからこその今があるのだなぁということを強く感じました。

    アイデアと想像力はどんな苦しいときにあっても、もちろん必ずしも即効性があるものばかりではありませんが、チームを前に進めてくれるのだなぁということを強く感じさせてくれた一冊でした。

  •  山形交響楽団の活動の本。同響を大きく活性化させた指揮者と代表の発想が対照的で面白い。プロの楽団の話だが、アマオケサークルにも転用できる事例もある(ここまで本格的に考える余裕はないかもしれんが)かと読むが、正直世界が違う。アマのアマたる所以は、本書にあるようなところまで手が回らない、でも楽しみたい、というところ。でも、思想は理解したい。音や曲のイメージ、興味の深さの方向を各団員が揃えていくのが大事なのだろう(指揮、監督の曲想にしたがって)。実に難しいが・・・。

  • 地方の一オーケストラだった山形交響楽団は、常任指揮者に飯森範親を迎えてから、山響を聴きにわざわざ山形まで足を運ぶファンを獲得する人気オーケストラに成長する。飯森の指揮者としての音楽的力量はもとより、オーケストラの運営能力、ファンや人とのつながりを大切にする人間性が、山響を大きく飛躍させた。インタビュー形式で読みやすく書かれている。飯森氏にも山響に親近感を覚え、山形で山響の演奏を聴きたくなる。

  • 日本で最小のオーケストラ、山形交響楽団。けれど観客はいつも満員。かつて慢性的な財政難だったこのオーケストラを変えたのは、若手指揮者飯森範親氏。彼のしたことは地元の良いところを活かし、お客様のために当たり前のことを当たり前にすること。運営の仕方や飯森氏の指揮者としての心構えなど関心をもって読めます。

  • 読了@図書館。
    それにしても、地方オーケストラの維持が大変なこと。本書では意識変えから始め、それと平行して色々な具体的にな方策が行われることが描かれています。

  • 【最終レビュー】

    今月(図書館貸出先で毎月発行している)の特集内容にて紹介されていた著書。図書館貸出。

    この著書も、実に、「一押し」その一言。ノンフィクションとはいえ、音階に乗って、テンポよく読み進めてるかのよう。あっという間に読破。

    何気なく、日9「半沢直樹」第5話、リアルタイム鑑賞の影響?ほぼ、原作通りの流れで筋を通した分、内容も濃かったですし。関西編とうとう終わってしまいましたよ…視聴率、また最高って!驚異の驚異でしかないですか。

    やや、脱線しましたが、この著書から切実に伝わってくる、飯森さんの「人間力」・楽団員・観客。これらの【融合のトライアングル】

    心から【ブラボー!】と叫ばずにはいられない。これ以上、言葉では言い表せません。後は、自身、特に印象に残った箇所を抜粋し、レビューを終えたいと思います。 

    『「お互いの、音質・音楽性・癖」を、「充分に分かっている【派閥がない。風通しもいい。響き・アンサンブル重視の姿勢】が、【無意識のうちに、培われてきたもの】』(山形交響楽団・通称、山響の「音」の第一印象。飯森さん)

    ★『音楽家は、【サービス業】だ』(飯森さん)

    『「ごく、普通に」接してくれる』(飯森さんについて。山響ファンクラブ会長・加藤さん)

    『多くの問題から逃げずに、「真正面から、解決にあたる そういった、「気持ちを持ち続けること」』(飯森さんが山響へのマニフェストとして込められた想い)

    『粘り強い。1%でも可能性がある限り、「NO」とは言わない。逆に、「様々な角度から見つめ直して工夫したり、考え方を切り替えて」実現に持ち込もうとする』(飯森さんへの取材を通じて。取材担当・松井さん)

    『派閥が、「複雑に絡むような、オケ」では、「スムーズに事は進まない」』(山響・楽団員の一人。佐藤さん)

    『とにかく、「いい」と思ったものは、「可能性が、ゼロでなければ、やってみる」 やらないうちから、「ムリだと言ってやらない」のが、「一番良くない」』(飯森さん)

    ★『「決して、人の悪口を言わない」 悪口をいうことで、「マイナス効果が、周囲にもたらされることをよく分かっている」』(飯森さん。飯森さんの尊敬する、母親からの教え)

    ★『「ありがとう」の言葉を頻繁に使う。何に対しても。プラス思考』(飯森さんが子供の頃から実践していること。飯森さんの母親からの教えを通じて)

    『できませんって言う人に対して、「できません」と思わせないような、「工夫」が必要。(略)時には、「本人が気付かない才能を引き出すことも可能」』(飯森さん)

    『「人間、誰でもミスをする」 でも、ミスしたこと自体は、「責めない」 原因を、「先送りせず、早く突き止める」次にミスしないために(略)放置して、「単純に切り捨てることは良くない」 「誰にでも、必ず、能力が活かせる場所がある」 「その場所を見つけるのも、指揮者の【重要な役目】」』(飯森さん)

    『アゲインストの風も、向きを変えれば、「追い風」になる』(飯森さんが山形の良さをアピールする姿に対して。かみのやま温泉・某旅館女将・佐藤さん)

    『「いい演奏をすることは、当たり前 そこに、【プラスαの要素】を、【どれだけ、上積みできるか】」』(飯森さんのマニフェストのもう一つの側面)

    『CD録音は、「演奏レベルアップに繋がる」』(飯森さん)

    『音楽的な「本質」・「サービス業としての、エンターテイメント性」お互いの、【バランス良く両立した所=オケの望ましい姿】』(飯森さん)

    『音楽家は、【夢を売りにしている商売】』(取材担当・松井さん

    『音楽は、【人に、生きる力を与えてくれるもの】』(取材担当・松井さん)

    『音楽は、「安らぎ、幸福感」と共に、「新たな気持ちで歩き出す力」を与えることができる』(取材担当・松井さん)

    『3月31日=耳に一番=「オーケストラの日」』

    『決して、「特別なことをする必要はない」 演奏家が求められる、「当たり前の努力を、【当たり前に重ねる】」 【それを続けていくだけ】』(取材担当・松井さん)

    『「ものすごく、引き出しの多い人」それが、【音楽の幅】になり、【人の心を掴む力】になっている』(飯森さんの印象。山形放送。山内さん)

    『父が聴かせてくれた、「ボレロ」』(10歳の時。飯森さん。ここが出会い)

    『母は、「根っからの、ポジティブな人」失敗しても、「次に繋がる失敗。今度、頑張ればいい」と育てられた。(略)【人の真似が、嫌いな人】 誰々がやっているから~とかは、一切言われなかった』(飯森さん)

    『何々できたら、こうするという、「交換条件は、一切なし」 母は、「目を見ながら、お互いに話し合うという、対話の機会の習慣」 最近になり、特に気付かされる』(飯森さん)

    『「個人個人、全く違う」 様々な発見があって、どんどん面白くなってくるもの』(母が出版した文章の内容より。飯森さん)

    『楽譜は、嘘をつかない』(飯森さん)

    『excellent(エクセラン)』(飯森さんが大学時代、特別レッスンを受けた、フルネ先生の言葉。今の指揮者人生の支えとなっている言葉)

    『【本物を感じたことのない、指揮者】は、説得力がない』(飯森さん)

    『人生の師=両親。いくつになっても、越えられない存在。「人の真似をするな(母からの教え)」』(飯森さん)

    『自分のやり方を通させていただいてるだけ。「誰の真似をしたわけでもありません」』(飯森さん)












      

  • いいものを持っているのに、イマイチそれを発揮できないオーケストラ―山形交響楽団。その原因は土地柄やコンプレックス、そして“昔からの山響”から抜け出せないことだった。
    彼らに転機を作ったのは、新しく常任指揮者となった飯森範親。彼は山響をあるべき姿、さらに日本でひとつのオーケストラにするため、次々とマニフェストを打ち出していく。題のように弱音を吐いていた者も、飯森の流れに巻き込まれて変わり始める。

    ひたすら飯森氏の人間性に感銘を受ける本だった。オーケストラ再生の話ながら、他の組織、個人においても同じことが言えるだろう。真のリーダーとはどういう人か、分かった気がする。「良い人には良い人が集まる」「良い人は周りさえも良くする」、そんな人が世の中にはいるのだ。
    自ら台風の目にはなれないにしても、自分を信じ、決して驕らず、彼のように進んでいきたいと思う。

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著者プロフィール

松井信幸(まついのぶゆき)

脚本家、放送作家、フリーライター。1963年愛知県出身、信州大学人文学部卒。

情報系、経済系TV番組の構成や、企業向けVP作品、インフォマーシャル、生配信イベントなどを幅広く手がけ、
脚本家出身の経験を生かし、ドラマ的手法を用いて人物の生涯を劇的に振り返る作風が評価を受けている。

主な脚本作品に『横浜心中』(NTV系)、『鉄道警察官・清村公三郎シリーズ』(TX系)、
主な構成作品に『昭和偉人伝』(BS朝日)、『ザ・偉人伝』(BS朝日)、『追悼なかにし礼 ラストメッセージ』(BS11)、『GINZA CROSSING Talk』(日経CNBC)、『日経スペシャル 日本株は買いか』(日経CNBC)、
主な著書に『マエストロ、それはムリですよ‥』(ヤマハミュージックメディア)、『駅スタンプの旅』(エイ文庫)などがある。

「2023年 『昭和歌謡ものがたり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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