入門刑法学・総論 (法学教室ライブラリィ)

著者 :
  • 有斐閣
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本棚登録 : 50
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784641042957

作品紹介・あらすじ

刑法「変革の時代」だからこそ、刑法学の基礎-基本思想・諸原則・理論構造-をしっかりと理解する。刑法総論のコアを濃密に凝縮し、判例・学説の考え方を明快かつ丁寧に解説。姉妹編・各論とあわせて、必読の入門書。法学教室人気連載「ゼロからスタート☆刑法"超"入門講義」に最新情報を加え、待望の単行本化!

感想・レビュー・書評

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  • 井田良著『入門刑法学・総論(法学教室LIBRARY)』(有斐閣)
    2013.13発行

    2016.11.24読了
     まさに刑法学の入門書。本格的に刑法学を学びたい初学者にとって、この本は本当におススメ。もっとも著者は行為無価値論者なので、その立場に立った記述となっている。しかし、講義形式のです・ます調で読みやすく、クロスレファレンスが徹底されているので、体系的な学びがしやすいように工夫されている。この本から入って、次に同著者の基本書『講義刑法学・総論』に移行していくのが良いかも。

    URL:https://id.ndl.go.jp/bib/025069278

  • 0円購入2015-11-18

  • 語り口調で読みやすいが、ダラダラ続く。
    刑法はcbookあたりで良いのかもしれない。

  • 「古典とは時代と国境を越えた超ベストセラー」
    ・団藤刑法学を痛切に批判した平野刑法も面白い。
    ・条文上の刑が不確定なのがだめで、裁判所が不確定刑を言い渡すのは少なくとも罪刑法定主義とは関係ない。
    ・解釈には、それが一般化可能性をもっていないといけない。
    ・電気が横領罪の客体になるかどうか、電気以外のエネルギーが窃盗罪、詐欺罪の客体となるかは今でも論議されている。
    ・結果無価値論は、その刑罰論が応報刑論に基づくところからきている。行為無価値論は一般予防論が根拠。
    ・結果無価値論は因果的違法論で、違法の範囲が無限定になり、関係あるなら人じゃないものでも違法対象となる。
    ・違法、有責性の判断は、およそその行為が違法かとかではなくたとえば、傷害罪の違法性を具備するか、文書偽造罪の責任が肯定されるかどうかの問題とされる。
    ・結果→①形式的意義の結果②実質的意義の結果。
    ①:構成要件が発生することを要求している一定の結果。例「人の死亡」。これがあるかないかで、結果犯か挙動犯となる。
    ②:法益侵害ないし危険化。侵害が必要かなら侵害犯で、危険で足りるなら危険犯かとなる。
    だから、危険が発生することを要求している構成要件の犯罪は、危険犯で結果犯ということになる。
    ・判例は109条2項や119条の「公共の危険」は構成要件要素ではなく、処罰条件と解している。
    ・不可罰的事後行為は、実質的には共罰的事後行為である。
    ・故意、過失、目的犯における目的が主観的構成要件要素であることは異論がほぼないが、それが本質的に違法要素なのか責任要素なのかに関して考え方が鋭く対立している。
    ・最近は合法則的条件公式が有力化しつつある。
    ・行為無価値論では、不能犯の問題で、行為時点で一般通常人がそう認識するだろう諸事情の下で危険な行為と評価できる行為がなされるなら、客観的に結果発生の可能性をもたなくても、不能ではなく未遂犯として処罰されるべきとなる。
    ・未遂犯の問題となる着手時期はいつか、という問題で、従来の通説は構成要件から判断する形式的客観説だったが、最近は実質的見地から現実的危険性を有する行為の開始時点で認められる。しかしこれらは排他的なものではないだろう。罪刑法定主義から最低限の要件として、犯人が故意を持って構成要件該当行為にまさに接着する直前行為ないし密接行為を行うことが必要。しかし、直前行為と言いうる枠内で、法益侵害ないし構成要件の実現に至る現実的危険性という限定的基準を設ける。しして、この実質的危険性の危険とは、結果発生の時間的切迫性か自働性のどちらかだろう。
    ・最高裁は、実行の着手時期の判断にあたり、行為者の主観的事情(計画性)を考慮できることを示した。
    ・行為無価値論は故意過失を違法要素、結果無価値論は責任要素とするのが基本。しかし、責任要素説でも構成要件を有責類型としてとらえて含める、また故意は違法要素+責任要素として二重の地位を認めるというバリエーションも。
    ・錯誤を問題にする場合も、実行行為、結果、因果関係が確定された後の花っしで、仮に因果関係がないなら錯誤を論じるのは無意味。
    ・錯誤①事実の錯誤(構成要件的錯誤/違法性阻却事由に関する事実の錯誤)②違法性の錯誤。TBの段階ではTb的錯誤のみ問題となる。その他の錯誤は責任段階で考えることに異論はない。そして錯誤は、未必の故意すら認定できないときに問題となる。
    ・法定的符号説は、異なる構成要件の保護法益が言葉る場合は符号を否定するので、単純遺棄の故意と死体遺棄罪とでは、似ているけれども保護法益が異なるので行為者を処罰できない(しかし井田先生はOKとする)。
    ・可罰的違法性の考慮はTB段階とRw段階で問題となるので、前者で問題となるときは絶対的軽微性、後者で問題となるときは相対的軽微性と呼ばれる。
    ・偶然防衛は、行為無価値論からはきついか未遂、結果無価値からは未遂か不可罰となる。

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著者プロフィール

中央大学教授

「2023年 『講義刑法学・各論〔第3版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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