- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784642053143
作品紹介・あらすじ
鎌倉時代前期の有力御家人。父義澄と平家追討や奥州合戦を転戦。家督を継ぐと鎌倉での政争や将軍実朝暗殺、承久の乱を北条氏と共に乗り越える。北条義時・政子の死後、執権泰時と協調して新体制を支え、朝幕関係の要として朝廷や貴族からも頼りにされた。『吾妻鏡』などに史料批判を加え、文化財や三浦半島の史蹟に触れつつ、義村の実像に迫る。
感想・レビュー・書評
-
鎌倉幕府で宿老にまで上り詰めた実力者・三浦義村。
その真の姿を様々な史料から解き明かし綴る、その生涯。
・モノクロ口絵2ページ ・はしがき
第一 義村の誕生 第二 若き日の義村 第三 宿老への道
第四 義村の八難六起 第五 最期の輝き
第六 義村の妻子と所領・邸宅・所職、関係文化財
三浦氏略系図、略年譜、参考文献(一 主要史料 二 著書・論文)、
挿図一覧有り。
永井路子の小説や大河ドラマで注目された、三浦義村。
黒幕、裏切りが示される「吾妻鏡」の記述だけでなく、
その時代の史料に注目し、解き明かしていくと、
異なる姿が浮かび上がってゆく。
その初陣は平家追討。
三浦一族の棟梁である父・義澄と共に、源範頼軍に参加。
更に奥州合戦にも参加。弓馬の家、武の三浦一族の一人であり、
義澄の後継として、様々な場に登場するようになる。
源頼朝の死去からの頼家の時代の、十三人の合議制。
その一員の梶原景時追放と追討に関与する。
有力御家人である父・義澄の死去で、嫡子の義村が跡を継ぐ。
北条家の政子、義時や泰時との結びつきと協調、
源実朝や藤原頼経からの信頼を得て、
様々な事件や乱への対応を成し、
有力御家人の筆頭として、幕府政治を支えた。
また、承久の乱の戦後処理により、京の貴族社会や
有力神社からも頼られる存在になる。
更に子息を任官させたり、中央の寺社に送り込んだりして、
三浦家の格式を向上させた。
頼経の上洛での行列で先陣を任されたことは、
その死の前の絶頂の時だったと想像してしまう。
しかし、偉大過ぎるその所業は子孫たちからの理解が足りず、
宝治合戦で三浦義村の男系子孫は滅亡へと追い込まれた。
丁寧に様々な史料から事実を追い検証、新しい史料も紹介。
様々な説にも緻密に考察がなされ、見解を述べています。
また、本文の上に簡易な見出しがあるのも、良い。
特に「吾妻鏡」の“作文”についての解読は面白く、
記録とはいえ、後付けに別の史料を盛り込んだり、
創作があったりで、鵜呑みにしてはいけないのがよく分かります。
これがために後世まで、悪しき義村になってしまったんだなぁ。詳細をみるコメント0件をすべて表示