- Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
- / ISBN・EAN: 9784642056342
作品紹介・あらすじ
なぜ源頼朝は坂東武士団を糾合し、鎌倉幕府を開くことができたのか。紛争調停者としての河内源氏の東国進出と、土着した軍事貴族や受領・郎等の末裔たちとのかかわりをダイナミックに描き、幕府成立の基盤を探る。
感想・レビュー・書評
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これは面白かった。それこそ子供の頃から謎に感じていつつ放っておき、大河等で平安鎌倉に触れるたびに思い出していた「なぜ石橋山で惨敗した頼朝がああも短期間に巻き返せたのか」との疑問がついに解消した思い。
・そもそも源氏と平氏は不倶戴天の敵同士であり続けていたわけではなく、桓武平氏嫡流筋の平直方の時代、請い願うかたちで婿に河内源氏の嫡男頼義を迎えていること
・為義と義朝の不和により、義朝が坂東に実際に下る期間が平氏一門の人間に比べ長く、当地にて紛争を調停する京武者の役割を存分に果たしていたこと
・上総氏と千葉氏はその恩恵に与っていたこと
・特に千葉氏は頼朝挙兵時、周辺の脅威に晒されていたこと
・石橋山以前から頼朝は上総、千葉に挙兵への合流を求めており、すでに承諾を得ていたこと
をこの本で知った。
坂東武者はもとを辿ればだいたい平氏、ただそんなことは現代に生きている自分の想像以上に関係なかったと理解した。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
複雑怪奇な人のつながり。
大学の「日本史特講Ⅳb」の参考書として購入。本書の扱う時代は授業内容よりやや古いが背景の理解に役立つ。授業で取り上げられる佐竹氏にも言及がある。
200ページたらずにこれだけの登場人物が出てくる書も珍しいのではないか。利害関係、姻戚関係、乳母関係、男色関係…非常に複雑に人間関係が入り組んでいるのが明らかにされ、驚きをもって理解できる。中学校で習う歴史のような単純な図式ではわからない実態が見えて興味深い。家系図も多数載っている。
以前レビューした「古代豪族と武士の誕生」が郡司氏族が主題なのに対し、本書は国司氏族を中心とする。視点の違いからか欠落している情報があり、内容を相互補完するので2冊セットで読むと良いかもしれない。「古代豪族と武士の誕生」で主題に挙げられている海上郡にも本書は言及する。
目次
○プロローグ
1.頼朝、鎌倉に入る
○武門源氏の成立
2.源氏の坂東進出
3.源頼信と平忠常の乱
4.前九年・後三年合戦と坂東武士
○院政期の源氏と坂東
5.源氏庶流の北坂東進出
6.源為義の闘い
7.武家の棟梁の成立
○鎌倉幕府の草創
8.平家政権下の坂東武士団
9.「一所傍輩」のネットワーク
10.源頼朝の挙兵
○エピローグ
11.頼朝政権の実態 -
河内源氏とそれに従った坂東の武家の関係を、
前九年の役以前にまで遡って書かれています。
ただ、思ったより源氏の棟梁たる為義や義朝と、
坂東の武家との繋がりへのスポットの当て方が弱かったような気がします。
系図が随所に挿入されていたのはわかりやすくて良かったのですが。 -
武士の草創期である平安中期から後期、頼朝が鎌倉幕府を開くまでの源氏の動きについて、とてもわかりやすい観点から解説された本。
何故、頼朝が鎌倉幕府を開けたのか?
何故、武士が社会的進出を成し得たのか?
その歴史の礎がどのようにして積み上げられてきたのか、少し分かった気がしました。
もともと、源頼義と平直方女の婚姻関係や前九年・後三年の役あたりに興味があって購入したのですが、目的以上の収穫がある本でした。 -
直実さんをはじめ、坂東武士の動静がわかる画期的な本です。
何故頼朝が幕府を成立することが出来たのか
見えてくるところがとても面白いです。