ひとりたりない (おはなしルネッサンス)

著者 :
  • 理論社
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (156ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784652013168

感想・レビュー・書評

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  • 児童書だが、何とも深い話。弟を庇って事故で死んだ姉、あまりのショックに家族がガタガタに壊れかける。SOSを受けたおばあちゃんが、自分の体調を鑑みず家族の心を取り戻していく…。大事な人がそこに居ることは当たり前じゃない恐怖も、亡くした地獄の苦しみにも涙が出る。

  • 【あらすじ】
    きのうと、きょうがあって、あしたも、おなじようにつづくのでしょうか?
    サッカーボールが、へんなはずみかたをしたばかりに、私たちのあしたは、おそろしい顔を見せたのでした。

    あの夏、私はおばあちゃんにS・O・Sをだした。とうさんにもかあさんにもいわないで。生きるために家族の意味を問い直す。 小学校中・高学年から。

  • お姉ちゃんが交通事故で突然いなくなってしまった。
    助けられた弟は赤ちゃんのようになってしまい自分の殻に閉じこもってしまう。両親も全てに気力を無くし家の中は殺伐としてしまう。
    そんなとき、私はおばあちゃんにSOSを出す。
    おばあちゃんは壊れかけた家族を救おうと奮闘するが今度はおばあちゃんが倒れてしまって。
    こんなことが起こったらそりゃ家族の心はバラバラになってしまうだろう。
    誰が悪い訳でもないけどみんなで気持ちをどこへ持っていけばいいのかわからなくなる。
    いちばん辛いのは弟の周斗。みんなわかっているけど余裕がない。おばあちゃんだって悲しくて仕方ないだろうけど何とか周斗を助けようとする。
    こんな状況を考えたくないけど、こんな時、人はどんな気持ちになり、どうなってしまうのか、考えるきっかけになるかもしれない。
    辛い話だけどありえないことではない。

  • 前半は主人公のとまどう気持ちが痛いほど突き刺さるが、後半から終盤になると、思考がふわふわして今ひとつ落とし所が分からない
    「一人足りない」ということについて、どこか行ったままで終わってしまい、ちょっと肩透かし

  • 弟を庇って死んだ姉の不在,家族のそれぞれの心が壊れてしまう.そこに登場したおばあちゃんの普段どうりの優しさがみんなの心を溶かしていく.主人公の姉への想い,弟への労り,そして成長と家族の再生.おばあちゃんの包み込むような大きな存在感,しみじみ素敵でした.

  • 家族の問題を描いています。
    タイトルからホラー?と思って読み始めたもののまったく違っていましたが
    なかなか考えさせられました。
    子どもにとって誰か、一人でいいから、近くに気持ちをわかってくれる支えてくれる言葉をかけてくれる存在があれば
    その子は救われるものです。
    この本では疎遠だったおばあちゃんがその役目をしてくれています。
    ほっとしました。

  • 弟をかばって交通事故で死んだ姉。
    姉の死に責任を感じて赤ちゃんがえりしてしまった弟。
    5年生のわたしは、両親に相談しないで、離れてくらすおばあちゃんにSOSを求めた。
    身近な人の死によって引き起こされる家族の物語。

  • 悲しい出来事と、それに立ち向かう姉弟。優しいおばあちゃん。耐えることに精一杯の両親。
    「ひとり、たりないんだよっ!」という一言にどうしようもなく元には戻れないつらさと、それでも生きていく強さを感じる。
    子どもに読んでほしい一冊。これを読んで成長したらあったかいごはんに癒されるってつながりで小川糸さんの本へ移行できるかも。

  • タイトル、「ひとりたりない」
    足りないのはお姉ちゃん。兄弟3人でアイスを買いに出た時のこと。小2の弟・周斗の蹴っていたサッカーボールが車道に出てしまい、その時きたトラックに気がつかずにボールを追った弟を助けて、お姉ちゃんがトラックにひかれて死んだ。目の前でお姉ちゃんが死んでしまい、私・琴乃たち一家は変わってしまった。周斗は指しゃぶりをして、言葉を話さなくなた。おねしょがはじまった。ご飯を食べず、それなのに夜中に冷蔵庫の中をあさって食べ散らかす。お父さんとお母さんは、仕事には行っているけど、夜はお酒を飲んでいる。お母さんはお酒を飲んでは吐く。
    琴乃はおばあちゃんにSOSをだした。
    おばあちゃんはすぐに来てくれた。琴乃の話しを聞いてくれて、きちんと食事を作ってくれて、家事をこなしつつ、周斗に歌を歌ったり本を読んだり、そして周斗のご飯も野菜をたっぷりとれるように作ってあげて・・・
    みんなの悲しみを受け止めて、時間が心を癒してくるからと、誰を責めもせず、「そういうもんだよ」と受け止めてあげた。

    家族の死という悲しみを乗り越えるには、どうしたらいいのか、
    心にしみる物語。

  • 中学年以上むきの物語。
    ある日突然交通事故で3人兄弟の長女をなくした家族。
    残された4人(父母、妹、弟)の心を妹の語りで描写。
    壊れた4人の心が回復するように献身的に手伝う祖母。
    でも、決して埋まらない心。
    大切な家族を失くした人が、いつか読めるか?

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