徳治郎とボク

著者 :
  • 理論社
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本棚登録 : 83
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784652203057

作品紹介・あらすじ

四歳から小学校六年生まで、祖父とボクの物語。お祖父ちゃんはだいたいのものが、それがどんなに便利でも新しくても高価でも、気に入らない。朝起きて畑に行き、夜寝るまで一度決めたルーティーンは、正月だろうがなんだろうが変えない頑固者だ。そんなお祖父ちゃんのガキ大将だったころの話を聞くうちに、ボクは子どものお祖父ちゃんが大好きになっていく。

感想・レビュー・書評

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  • 非常に具体的なんですけど・・~逸見で生まれ育った浦賀に住むお祖父ちゃんの家に、三人の娘が孫を連れて盆正月に集まる。母は離婚し再就職し、小学生のボクが横浜から週末に通うのはシロと畑を目指して坂を上りながら耳の遠いお祖父ちゃんのチッセイ頃の話を聞くのが好きだったかだ。心筋梗塞で倒れ、娘三人が交代で世話をしなくてはならないのは、お祖父ちゃんが医者など偉そうにしている人間が嫌いだったから、余命半年と言われながらも、自宅で療養し、遂に逝った~花形さんって幾つなんでしょうね。お祖父ちゃんが大正の生まれってことは・・40代?

  • 徳治郎
    浦賀に住むボクのお祖父ちゃん

    頑固
    無愛想で無口
    自分でやらないと気がすまない
    急かされるのが大嫌い
    気に入らないとすぐ怒鳴る

    3人の娘たち(ボクのお母さんとおばさんたち)とはうまくいかないけど
    ボクには子ども時代のことを話してくれるお祖父ちゃん

    子どものお祖父ちゃんて、かっこいい

    4歳から6年生まで
    “ボク”と“お祖父ちゃん”の交流を軸に
    人の生き方、家族の在り方を花形みつるが描き上げた意欲作

    《死を知ることは、生を知ること。》──帯のコピー

    切なくなるエンディング
    でもみんなお祖父ちゃんが大好きになる

  • 都合の悪いことは聞こえない気難しい祖父と孫との交流。頑固で気難しい祖父は病気で弱っていくやがて自宅介護となるが…。プライドや自分のやり方、考え方を曲げない祖父と娘たちの攻防、訪問看護師やヘルパーへの暴言などは娘たちに同情する。在宅で静かに亡くなった祖父を「選ばれた人しか出来ない綺麗な死に方」と言った訪問看護師の言葉が心に残った。

  • 物語の主人公ボク(名前はケンイチらしい)と徳治郎お祖父ちゃんの物語。
    ボクの4歳から中一までのお祖父ちゃんとのかかわりとそれをめぐる家族の人間模様で、子育てや介護、自然描写のエピソードもリアルで文体も読みやすい。
    でもなにか不全感が残る。どうしてだろう。

    主人公は子どもだから児童書に分類されているんだけれど
    読んだ感じではむしろボクは狂言回し的な役割で、お祖父ちゃんとその3人の娘(ボクの母を含む)の介護の物語の印象が強い。

    明るくサラッと読める介護と離婚後の子育て小説としてならばアリだと思う。
    頑固で思った通りに生きてきたお祖父ちゃんが、死に方も自宅で治療拒否して最後を迎えたいと願った時の身内の戸惑い。
    真剣に考えると思いテーマも、この本なら重くなりすぎずに大切なことを考えるきっかけになる。

    同じ著者の『落窪物語』は面白いらしいのでぜひ読んでみたい。

  • たいていのものが気に入らないおじいちゃん。
    そんなおじいちゃんと孫。
    ふたりだけで分かち合うものが暖かい。

  • ケンイチのおじいちゃん徳治郎は、三人の娘が家を出ておばあちゃんが亡くなってからは、浦賀に犬のシロと二人(?)で暮らしている。お盆と正月、おばあちゃんの命日に姉妹3人が家族とやってくる。だが、ガンコモノのおじいちゃんは朝夕に畑仕事に行くことを変えようとしない。お供はいつもシロだったが、ある時からケンイチも一緒に畑に行くようになる。休憩するとき、おじいちゃんは自分の「ちっせぇ時」のことを話してくれる。ガキ大将の悪ガキだったちっせぇ頃の話を…。

    頑固者で娘たちを困らせるおじいちゃんが、少しづつ老いてゆく。ケンイチの家族も、いとこのエリカちゃんも、少しづつ変わっていく。身近なおじいちゃんの老いと死を受け入れていくケンイチの姿が、子どもの目線でよく描かれている。

  • おじいちゃんとの日々。母親やおばさんたち、いとこたちと共におじいちゃんとの最後の日々を過ごす。家族といえども人それぞれ違った考えや生き方があって。ぶつかりつつもやっぱり家族で。おじいちゃんと孫ってやっぱり少し特別な関係だなと思う。

  •  徳治郎は、主人公の少年(ボク)の祖父。ボクの4歳の夏から中学生の祖父の初盆の時まで。よくいえばマイペースなお祖父ちゃんは、山の畑に行くのが日課。ボクはお祖父ちゃんと山に行き、「ちっせぇときの話」を聞くのが大好きだった。

  • 孫息子の目線から語られる祖父。生きている間にしかできないこともある。後悔しない生き方をしたいな。

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著者プロフィール

花形みつる 編訳・絵
神奈川県生まれ。『ドラゴンといっしょ』で野間児童文芸新人賞、『サイテーなあいつ』で新美南吉児童文学賞、『ぎりぎりトライアングル』で日本児童文学者協会賞、野間児童文芸賞、『徳治郎とボク』で産経児童出版文化賞大賞を受賞。作品に「荒野のマーくん」シリーズ、『アート少女』『Go Forward!: 櫻木学院高校ラグビー部の熱闘』など多数。

「2021年 『落窪物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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