ジャパン・イズ・バック――安倍政権にみる近代日本「立場主義」の矛盾

著者 :
  • 明石書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784750339696

作品紹介・あらすじ

「立場」が主役の社会、日本。立場を失うことを極度におそれ、立場に与えられた役を必死に果たす「立場主義」は経済成長をもたらした一方で、戦争と原発事故を招いた。世界が変わった今、すでに立場主義は時代遅れの遺物となっているが、強固にこのシステムを守ろうとする人物がいる。それが安倍晋三である。立場主義という観点から、安倍政権の本質とそれを生み出した日本社会を分析。安倍政権を乗り越え、豊かで幸福な社会を創造するために一人ひとりが何ができるかを問う。

感想・レビュー・書評

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  • 何とか今日(11日)中にと思ったけど、どうやら日付をまたいでしまった。途中まではメモ読できたけど、そんなわけで、第三章以降は速読で。メモは明日(12日日中)以降で。
    今回3冊目の安富本。シニカルな物言いに、時折、声を出して笑ってしまった。「トレモロ」とか。
    この前に読んだ「原発危機と東大話法」で立場主義について一通り把握してたので、その辺は「おさらい」的な感覚で読むことができた。
    それと、これまでいくつか見聞きしてきた安富さんの発言につながる思想がこういうところにあったのかと。先日の動画で聞いた「3000万円借りられるようにする」話など、なるほどと。石井紘基さんの話は、この本が出版されたころと思われる、東大での講義の動画を以前拝見していた(ビフォーの時代)。金融の滞りの原因が銀行の与信能力のなさという部分では、かつて銀行の審査部で働いていた人をちょっと思い出していた。今思うと、傍で見る以上にしんどかったのかもしれない。
    発刊が2013年と7年前で、トランプ大統領登場より前の話だが、今となってみるといろいろ「あたり」な部分もあって驚く。例えば;「なんとなく」をキープし、無理しなければ長期政権になるかもしれない・・という安倍政権に対する見方は、まさに!!全然うれしくない話だけど。
    政治に関する話では、2013年の参院選の話もあり、ユニークな選挙についての言及があった。結局そのあと何度かの選挙があったけど、どんな目新しいことをやっても簡単に現政権に歯が立たないことに関しては、残念ながら特効薬はないんだよなあ・・。だからこそ結局は地味な活動を続けざるを得ないということになるんだろう。
    とはいえ、いわゆる「ノンポリ」な私が、昨夏の選挙から1年間、なにがしかの形で政治に関心を持ち続けてこられたことを考えると、こんな風に一人一人に波及していくことでいつか世の中が変わっていくと思うしかない。

  • フォトリーディング&高速リーディング。
    満洲国の研究家で、読書系動画で人気があったので図書館から取り寄せて読んだ。「イッポンをトレモロす」など、首相の言葉を揶揄するなど、ちょっと感覚が歪んでいると思って調べると、「自分が女として生きる事を自然と考えた」として突然の女装を始めた学者だと分かる。

    大きな声では言えないが、私が歪んで感じたのはそのようなところから来たのかと思わされた。つまり、「女の腐ったの」という様なもの。

    しっかりした学識はあるのにその辺が鼻にかかったので、星一つにしたかったが、学識に敬意を払い星三つ。しかしこのような視点は読者の身を亡ぼすと指摘しておきたい。

    聖書的に言えば政府も首相も単なるパペットなので、その裏にあるものを知らなければ、ネガティブな要素ばかり指摘するこの本のようになると感じた。

  • 「日本は後退している」と解題される戦略的なタイトルと表紙に怖気付くけど、これは面白い! 日本の閉塞感がどうやってここまで来たのかスイスイ説明してくださる。こんなにわかりやすくていいのか…。政治・経済・文化と言うと遠く感じる。それは生活なんだと、取り戻させてくれる。良著、全日本人におすすめ(2019-07-27)

  • 基本的には共感でき納得できる内容

  • 田中角栄の政策は
    ・中国重視(対米一辺倒からの脱却)
    ・地方への還流(公共事業)
    ・都市非体制の抱え込み(福祉重視)

    小泉の政策は
    ・中国重視の否定(靖国参拝)
    ・地方の切り捨て(公共事業抑制)
    ・都市の非体制の切り捨て(規制緩和、福祉抑制)

  • 日本の立場主義という考え方を理解すると、日本の危うい政治や行政、また組織の問題点が理解できる。特に、政治の分野では安倍政権はかれの祖父が実現できなかったことを実現しようとし、いまの日本のおかれている問題点を解決しようなどとは思っていないことがわかる。日本についてあらためて理解するにはいい本だと思う。安冨歩先生の他の著作も読もうと思う。

  • 面白い。安倍晋三内閣総理大臣を痛快に
    こき下ろす内容。個人的には安倍総理って
    胡散臭くて非常に危険な人物のような気が
    していました。今回の総理になるまでは
    どちらかというと肯定的に見ていましたが、
    今回の政権をとった時に非常に胡散臭く
    思えたのですが。それが多分彼が言っていた
    「イッポンをトレモロス」ということばだったのか
    と思います。
    トレモロスという意味は読んでみると分かりますが
    個人的には非常に納得できる内容でした。
    ただ、私もどちらかというと立場主義的な考えを
    する人間ですが。

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著者プロフィール

東京大学東洋文化研究所教授。1963年、大阪府生まれ。
著書『「満洲国」の金融』『貨幣の複雑性』(以上、創文社)、『複雑さを生きる』(岩波書店)、『ハラスメントは連鎖する』(共著、光文社新書)、『生きるための経済学』(NHKブックス)、『経済学の船出』(NTT出版)、『原発危機と「東大話法」』(明石書店)、『生きる技法』『合理的な神秘主義』(以上、青灯社)、『生きるための論語』(ちくま新書)、『満洲暴走 隠された構造』(角川新書)ほか

「2021年 『生きるための日本史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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