- Amazon.co.jp ・本 (493ページ)
- / ISBN・EAN: 9784751207185
感想・レビュー・書評
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幸か不幸か近代化の名の下に我が手で消してしまった江戸文化についての考察。江戸末期から明治初期にかけて来訪した外国人たちの偽らざる印象の記録から滅んだ文明を追体験して当時の特性が生き生きと浮かんでくる。彼らが驚嘆した日本の礼節 工芸品 風景が伝わって来ました。当時の外国人にとって目を見張るような素晴らしい異質な文明が確かに存在したことがよく判る。近代化を追う為に消し去ってしまった往時の文明はまさに逝ってしまった。それでも現代でも誇らしい特性は忘れてはならない日本の遺産だと心に刻みたい!良書です。
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「近代」って何だったんだ?ドンづまった今だからこそ考えたいよね。
そんな時、江戸末期から明治期日本に来た西洋人の見たもの、感じたものを通じて日本の近代の受容について考えるのはオモシロイ。
小布施まちとしょテラソ花井館長のオススメ本。
この本を入り口にして東洋文庫(平凡社)なんか手にとってほしいな。
シーボルト、ケンペル、ペリー、サトウ、バード、ウェストン、モース…。
モースの「日本その日その日」だったか?川崎あたりの海辺のまちの人々が夕暮れ時にみな外に出て「きれいな夕日だね」と語り合う姿を見て「なんと感受性にあふれた人々なのかっ!」というような観察に、ボクらのこれからのありようのヒントを感じるのは、ボクだけ?
(ひーさん) -
昔の日本人のことを、そのとき来日していた外国人が母国に伝えるために書いた本を基に、昔の日本人のことを現代人が知ることができる本。まあ長かったけど、現代人が
工業化・近代化により、労働から主体性が削がれて苦役になってしまった。
家具はほとんどない、農産物も安い、生きるのに必要な金が少ないので、労働も少なくて良い。
そこに当然あるものとして排除しない。
剥き出しだが、不快ではない好奇心。
姑は嫁が来たら雑用は譲るが、家の決め事の権利は譲らない。故に遊びに出かけることができるので余生を楽しめる。
人々は幸福で満足そう。
隔てる壁がなく、どこでも中で何をしているか丸見えだった。
子供は恥を知らない。だからといって恥知らずではない。羞恥心とは社会制度なのである -
江戸時代に日本を訪れた欧米人は「素朴で絵のように美しい国」、「地上で天国あるいは極楽にもっとも近づいている国だ」と讃えた。
その頃の日本人は、労働を楽しみ、豊かで幸せに暮らしていたが、近代化の波が押し寄せて、失われてしまった。
大量生産、大量消費のこの時代こそ、江戸時代から学ぶべきである。 -
岡野幸夫先生 おすすめ
16【専門】210.6-W
★ブックリストのコメント
明治維新による「近代化」の陰で、日本の文化が何を失ったか。幕末明治に来日した外国人による膨大な記録を駆使して語る、重厚な考察。異文化理解、異文化交流の考え方が身につく。 -
江戸時代は機械化や応用科学の分野を除けば近代化前文明として頂点を極めていた。近代化によって失われた別の日本像を外国人の記録から辿っている。
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逝きし世の面影 日本近代素描Ⅰ
渡辺京二著
葦書房
一九九八年九月二十日初版第1刷発行
ISBN4-7512-0718-0
職場の方にお借りしました。
とても良い本でした。 -
一家に一冊あるといいな。
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特命全権大使米欧回覧実記と合わせて読むと、納得できる内容が多い。その著者である日本人が持っていた疑問、例えばなぜ外国人は日本の衛生状態が良いのかという疑問は、ヨーロッパからの帰途で、東南アジアに寄港した時に理解した。瀬戸内海の島々の眺めもヨーロッパ人には何ものにも代え難かったこと等。