- Amazon.co.jp ・本 (36ページ)
- / ISBN・EAN: 9784751528433
作品紹介・あらすじ
むかし中国に、天下一の弓の名人になろうと決意した若者がいた。若者は弓の名人に弟子入りするが、言い渡された修業は、「まばたきをするな」。ただそれだけの奇妙なものだった。以来、男はまばたきをせずに2年を過ごした。眠っているときでさえ、その眼は大きく見開いたままだった。
やがて、若者は師をしのぐほどに成長し、さらなる奥義をもとめて西へと旅立つが……。
名人とは、道をきわめるとは、いったいどういうことなのか?
「山月記」で知られる中島敦の傑作短編を、画家の小林豊が絵本化!
感想・レビュー・書評
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「山月記」のついでに読んだという私のおぼろな記憶が、この絵本でありありと蘇ることになった。挿絵は「せかいいちうつくしいぼくの村」で有名な小林豊さん。
いつもの画風とはまるで違い、原作の緊張感や古代の雰囲気をとても良く表わしている。
お話の舞台は紀元前。日本で言うなら弥生時代。
中国の春秋時代の邯鄲(かんたん)の都での話だ。
弓の名人を目指す若者・紀昌は、達人の元で5年間学ぶことになる。しかし野心に燃えた彼は、師匠に向かって弓を射ることに。
前半は、さすが中国!と失笑する場面が続く。
一事が万事大げさで「2年間まばたきをしなかった」とか、「3年の間1匹のノミを見続けた」とか。ところが中盤から展開は変わり、終盤はもはや哲学の様相を帯びる。
山の上で9年間修業をした紀昌のその後は、驚きとも拍子抜けとも言える。
弓の名人を目指したはずが、これは一体?
弓の名人とは、弓を持たず戦わず、ということなのだろうか。
一切の武具を持たず、その使い方も知らない。
それが平安ということなのだろうか。辛い修行に耐えたのだから、さぞかし凄腕に成長したのだろうという読者の予想が、こんな形で裏切られるとは想像だにしなかった。
道を極めるとは、その奥義とは、考えずにいられない。
中島敦がこの作品を世に出したのは1942年。戦争中の緊迫した時節だった。
そしてその同じ年に、持病の喘息を悪化させて亡くなっている。
漢文調の格調高い文章と、無駄のない整然としたつくり。
この傑作を、どう読み解くか。
出来るなら高学年以上の子たちに読んで、その後の話し合いを楽しみにしたい。
約15分。もちろん大人の皆さんにもおすすめ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
名人は何を得たのだろう。
物に頼っているうちは名人とは呼べないということだろうか。 -
うむ…名人とは…
作者中島敦がパラオ -
子どもの読み聞かせに。
絵本に出来るほど短い話だったんですね。
5歳児は、絵も話もカワイイ要素がないから早々脱落。
8歳は、どんな展開になるのか興味を持って、結末には、えーー?!と。
多分いつか授業などでまた触れるんじゃないかな。なんか前読んだことある、と思い出せたら良いな。 -
「むかし中国に、天下一の弓の名人になろうと決意した若者がいた。若者は弓の名人に弟子入りするが、言い渡された修業は、「まばたきをするな」。ただそれだけの奇妙なものだった。以来、男はまばたきをせずに2年を過ごした。眠っているときでさえ、その眼は大きく見開いたままだった。
やがて、若者は師をしのぐほどに成長し、さらなる奥義をもとめて西へと旅立つが……。
名人とは、道をきわめるとは、いったいどういうことなのか?
「山月記」で知られる中島敦の傑作短編を、画家の小林豊が絵本化!」 -
原作の中島敦にひかれて読んだ
この著者 アフガニスタンの村などを描いている人だ
ずいぶん画風が違っている
新しい境地でしょうか?
それにしても名人の神技とは?
これは子供に向けたメッセージでしょうか?
凡人の私にはわかりません
≪ 行く先は 修行の歳月 何射抜く ≫ -
中島敦の短編の絵本化だということ。どうりで子供っぽくない内容なわけだ。