道徳形而上学の基礎づけ [新装版]

  • 以文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784753102341

作品紹介・あらすじ

【訳者のことば】
人間は言葉を持ち、言葉をつなげてものごとを考えるが、カントはこの人間の能力、つまり「理性」とよばれる能力について、それをどのように働かせたらよいかを徹底して追究した。と言うのも、人間ひとりひとりの生き方は、その人間が自分の理性でものごとをどのように考えるかによって決まるからである。理性は、科学的知識を求める場面だけではなく、道徳とはなにか、美とはなにか、神や宗教とはなにかを考える場面でも働いている。科学的知識だけを絶対視する誤りを避け、また迷信や狂信に陥らないためには、これらのあらゆる場面で理性を正しく働かせるようにすることが必要である。カントは人間の自由と尊厳の確保を目指しつつ、こうした理性批判の道を歩んだのである。

感想・レビュー・書評

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  • なんか、4とか5とか評価できるもんなんすか?カント?
    でも星つけてしまった、自分の理解度が悪いので4ということで。トイレでカント。次は実践理性批判へ…

  • この宇都宮訳の特徴は、注解という形で、Kantの議論が進むごとにその要約が書いてあるところ。また訳文は読みやすい。

  • 【ドイツ哲学者カントの倫理学信奉者兼人種差別主義者の自分とは異なる人種に関するスキーマ】(仮説)

    やつらは人間じゃない。

  • 前半部は納得させられる部分も多く、嗚呼と思わされた。
    他方、後半部では前半部の繰り返しかな、と思う箇所や、そもそも何を言っているのかわからない箇所が多く見られた(readabilityの問題かもしれないですが)。

    その点で、読み手に一定の読解力が求めらるのかもしれない。

  • 「最高の道徳原理は何か」についての哲学書。

    これまでに自分が手にとって読んできた何百冊という本の中で、最も難しい部類に入る。その分、得られることは半端ない。「正しい行為とは何か」という抽象的な問いに対して、とことん抽象的に考え抜いたカントの根気と知性に賛辞を送りたい。

    だがたとえ「最高の道徳原理」を知り得たとしても、それを実践するのは難しい。ましてや世の中に存在する大きな矛盾に直面すると、それを考えることすら億劫になる。それでも考え続けなければいけないし、行動をやめてはいけない。たえず自分と向き合い続けなければならない。

  • 読みやすい。薄いしw
    カントに興味を持ったらここからスタートすると良いかも。

  • 僕が勤務している中高は、「自由な校風」を標榜している。であるからこそ、その「自由」とはどういうものなのか以前から興味があった。多くの生徒は、「校則が少ない」(制服もないしゲームやマンガを持ち込める)という「制約からの自由」(消極的自由)として勤務校の自由を捉えているようだ。

    しかし、この本でカントの提示する「自由」は、それとは全く異なるものだ。カントは、一時の欲望や本能といった「傾向性」に自分が従っている間は、その人は「自由」ではないという。傾向性に従うのではなく、自分が自分でたてた法則に従っている時、つまり自律しているときに、人間ははじめて「自由」だとする。そしてその法則の中身については、「汝は汝の格率が普遍的法則となることを意欲することもできるか」(あなたは、自分がしたいと思うことを他の全ての人が欲望しても構わないか)という問いによってチェックされるのだという。つまり、カントにとっては自由は自律であり、自律的であるとは、「自分と同じ振る舞いを誰もがしてもこまらない」道徳的な法則に従って生きるということでもある。

    カントの提示する「自由」は、ひどく道徳的で、窮屈だ。そう思う生徒は多いだろうなと思う。特に教育現場という権力的な場で教員からカントの「自由」が語られるとき、それは容易に自律ではなくただの他律になってしまう、そんな危険性もあるはずだ。

    だとしたら、「自由な学校」の「自由」とは何なのだろうか。「制約からの自由」なのか、それとも「自律への自由」なのか。生徒はどう考えているのか。そういう興味を持つ僕にとって、カントの著作は今後も読むべき本なのだろう。

    なお、本書(「道徳形而上学の基礎づけ」「人倫の~」とも訳される)はカントの主要著作の中では比較的平易で短いとのことだが、率直に言うと僕には十分に難しかった。電車の中で読むというより、線を引きながら読んでいくという感じ。しかし、中公クラシックスや岩波文庫版とは異なり、以文社版では、宇都宮芳明氏の詳細な注解が、読者を助けてくれる。もし「道徳形而上学の基礎づけ」をこれから読むのであれば、現段階ではこの以文社版をお薦めしたい。

  • 「人倫の形而上学」の導入として書かれたテキスト。平易でありながら、非常に重要なエッセンスが詰まっており、カント倫理学の基礎を成すものである。

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著者プロフィール

1724-1804年。ドイツの哲学者。主な著書に、本書(1795年)のほか、『純粋理性批判』(1781年)、『実践理性批判』(1788年)、『判断力批判』(1790年)ほか。

「2022年 『永遠の平和のために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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