二宮金次郎の一生

著者 :
  • 栄光出版社
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  • / ISBN・EAN: 9784754100452

感想・レビュー・書評

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  • 読みものとしてのレビューは置いておいて
    渋沢栄一さん、松下幸之助さん、稲盛和夫さんの思想のルーツであろうと思われる二宮金次郎さんの『報徳思想』。後の影響と相対的に、あまりにも知られていないと思います。
    二宮金次郎さんの生涯を知ることのできる一冊。

  • ・「積小為大」 
     大きいことをしたいと思えば、小さいことを怠らずに勤めなくてはならない。

    ・年貢を取られる仕事に、自分の労働力を投入しない。

    ・二宮金次郎の教えは「経済と道徳の一致」であるが、その原点は、
     「五常講貸金」にあるといってよい。

     仁義礼智信の5つの徳を守れる人だけを会員にする。
      きわめて倫理性の強い、すぐれた信用システム。

    ・物を担保とするのではなく、心を担保に貸す。

    ・「分度」とは、自己の能力を知り、それに応じた生活の限度を定めること。

    ・綿密な事前調査、分度の決定、権限の一元的掌握が、復興成功の秘訣。

    ・分度という方法によって、百姓一揆では成功しなかった
     「合法的大減税」をやり遂げた。

    ・「一円観」 互いに対立するものは、いずれもそれぞれ円の半分である。

     反対者には反対の理由があり、反対者がでることは、
      まだ自分の誠意が足りず、反対させる原因が自分のほうにもある。

    ・宇宙間すべてのものに徳があるとし、その徳を引き出す、顕現するのが
     人間であり、その徳を引き出す行為を「報いる」としている。

     報徳の実践に当たっては「至誠、勤労、分度、推譲の実行が報徳」

     人間が働くのはただ自分のために働くのではなくて、
     他の生命のために働かねばならぬ。これが他の恩に報いる報徳なのである。

    ・分度があるから分度外が生じるのであって、
     分度の本当の狙いは「分度外」にあるのだった。

    ・人が困っている時に憐れみをかけて、これを助けるのが人の道なのに、
     人が困っているときこそ商売をして自分だけが儲けるのは
     「天道廃絶」というべきである。

    ・とれたものを全て食べてしまってはだめだ。ほどほどの所で食べて、
     あとは残しておく。その残したものを、世のために蓄積していくことが大切。

  • 名著。表紙とタイトルを改良すればもっと広まるのにと惜しい著書。

  • この人の偉業、いまさらながらすごいですね。恥ずかしながら、二宮金次郎の詳しい業績を知らないままだったのですが、いまだに多くの信奉者がいるのがよくわかりました。農村復活の過程やプロセスはまさに艱難辛苦。現代社会にも起こりがちの多くの試練や反対に腐心しながらも成功事例を積み上げていく様は、おおくの社会人の教訓ですね。

    至誠・勤勉・分度・推譲
    戦前のようにもっと日本の教育に活用されるべきだと思います。
    史跡巡りをしてみたいな。

  • 二ノ宮金次郎の一生
    14歳 父死去
    16歳 母死去、一家離散
    富次郎
    女中 薪五本
    五常講貸金
    仁義礼智信
    入るをはかって、出ずるを制す。
    分度:自己の能力を知り、それに応じた生活の限度を定めること。
    服部家財政再建30年
    不揃い枡
    米の投機の損失100両を穴埋め
    低利資金による利息の節約
    小田原藩五常講
    心を担保に貸す
    桜町領の復興
    成功の秘訣は綿密な事前調査
    金を使わず、財政再建
    仁政
    四千石を復興完了までは九百石に年貢の軽減。
    報徳仕法の三大徳目
    勤労、分度、推譲
    名主の出迎えを断る
    まずは、農民の生活改善
    行いの良い者や一生懸命働く者を表彰。
    悪人には諭す。
    人の助けになることを必死になって行った。
    投票によって、善行者や一番の働き者を選ばせて、表彰した。
    老人への十五両の褒美
    「わたしは年寄りで力がありません。皆さんと一緒に休んでいたのでは、半分の仕事もできませんから。」
    他人の二倍働く人夫に叱責。
    「人目につくところでは、わざと一生懸命な働き方をしておる。わしが見ているから今のように夕方まで働いてみよ。」
    名主の借金
    借りない借金:借りたつもりでお金を貯める。
    借金の整理
    低利の借金に切り替えさせた
    借金のないものを表彰した
    離村者を呼び戻す
    入村者を子ども以上に愛おしんで受け入れる
    余剰米を備蓄
    道路や橋、用水の資金
    不満組の逃亡
    移住百姓へのいじめ
    名主たちのマイナス面への固執
    監視への不満
    夜逃げを仕掛けた者へ借金分の金を与える
    杉の皮泥棒に杉の皮を与える
    陣屋への訴えが増加
    よく訴えを聞き、原因を究明して、よく争いをさばいた。善悪を正して、さとし、刑罰に処するようなことはしなかった。
    陣屋に不協和音
    金次郎の理想主義に反発
    役人たちの訴訟
    復興の役目を訴えた者たちにさせてください。彼らを罰せないでください。心配しただけのこと。
    役人たちは反省し、復興に協力する。
    二千俵の余剰米 大減税が実現
    ちまたは百姓一揆が頻発
    金次郎の厄年
    とんでもない役人
    豊田正作の妨害
    酒攻め
    貧乏百姓の富裕化へのねたみ
    豊田正作に問題があるのではなくて、自分の心にあるのではないか。自分の方にびくともしないものがあれば、何でもないのではないか。
    自分に不動の心が欠けているからではないか。不動心を養う修養をしよう。
    禍を転じて福となし、
    凶を転じて吉となし、
    借財を転じて無借となし、
    荒地を転じて開田となし、
    痩せ地を転じて沃土となし、
    衰貧を転じて富栄となし、
    困窮を転じて安楽となし、
    一切人民の悪しきところを除き、
    一切人民の好むところ、
    ことごとく之を与えん
    成田山での二十一日間の断食
    豊田正作の召還
    一円観の悟り
    人には絶対の善人もないかわりに、絶対の悪人もいない。
    至誠をもって当たれば、心をも動かすこともできる。
    不動尊とは、動かざること尊し
    岸右衛門の改心
    豊田正作の改心
    徳をもって徳に報いる
    すべてのものに徳があり、その徳を引き出すのが人間
    報徳とは、神徳(天地自然の恵み)、公徳(社会の恩恵)、父母祖先の徳(肉親のおかげ)に報いるにわが徳行(報恩・感謝・積善)をもって実践の道と定義。
    報徳の実践にあたっては、至誠・勤労・分度・推譲を実行すること。
    即ち誠実勤勉に働き、収入に応じて限界を設け、余裕を生み出して、その余裕を次世代や地域のために譲っていく。
    桜町領復興の第二事業
    天保の大飢饉も乗り越える
    初夏だというのに秋茄子の味がした。
    地下にできる芋、大根、蕪など飢饉に強い野菜、稗を植えさせた。植えたものには、年貢を免除。
    餓死者を一人も出さなかった。
    続く大凶作にも備えた
    50年周期の不作
    三千俵達成

    青木村の復興事業
    水野忠邦によって幕臣に取り立てられる
    用水の不便と大火災
    まず、茅を刈り、田を耕させる。
    茅を買い取る。
    川幅の茅葺き屋根を水底に埋めて、堰き止めた。
    屋根を自ら落とす
    青木村の復興は大局的には成功

    谷田部・茂木細川家の復興事業
    分度を確立すれば藩は栄え、確立しなければ藩は滅亡する。
    熊本細川本家への200年来の怨みは不当。
    天下のことを思い、興元公の安全を考えてのこと。
    本家との親睦が成り立ってこそ、復興の意義がある。
    為政鑑
    十三万両の借金
    まず、本家との交渉
    債務の免除で四年で五万両に
    細川興建の大坂詰め
    復興よりも幕府のために尽くすべき
    金次郎が亡くなってのち、完済

    烏山藩の復興事業
    救済米
    空腹を我慢することが仕事だと思って、毎日を送ってくれ。
    餓死者を出さなかった
    藩主の他力本願が許せない
    厚木から復興事業をやってくれという自発的な願いがないと時期尚早。
    円応和尚を伝染病で亡くす
    豊作で武士から不満による復興事業の中断
    八郎右衛門の放逐
    烏山藩の復興が成るか成らぬはあなたの決意如何。二十両を渡してくれた。
    復興事業の再開
    菅谷殿をすぐ帰参させよ。
    むしろ加禄すべき
    八郎右衛門は神経衰弱で死亡
    報徳金の返済交渉のみが残った

    小田原藩の復興事業
    大久保忠真の病
    金次郎への反感
    麻上下、恩賞の辞退
    米倉の解放を渋る
    千両の費用を配布
    無事、飢饉を免れる
    五年後には返済
    大久保忠真の死去
    わたしは人生の目標を失ってしまった。
    百姓が懇願に弱い金次郎
    積小為大
    藩の分度なくしては行えない。
    分度を立てないでやれば、絶対失敗します。
    領民の熱意に負け、分度が決まらないまま、再び立ち上がった。
    報徳堀
    冷水堀
    力を合わせた自発的な自力更正運動
    金次郎の指導と実例を見習った、下から盛り上がった農村復興
    幕府から金次郎を登用する。
    水野忠邦の天保の改革
    印旛沼の開拓
    小田原藩の復興事業廃止
    金次郎との往来を禁止
    分度で武士は減俸という考え
    君子は天を恨まず、人をとがめず。
    自分の真心が足らないのを怨むのみ。
    他の藩の事業も取り止める決意。
    亡き殿に対する道
    五千両の手切れ金
    小田原藩の財政が急迫し、返却が遅れる。
    か山村、日光神領に五千両を投入二宮本家再興を達成

    相模片岡村の復興
    農村復興の手本
    片岡村の復興とは、大澤一家が村民全部を助けること。
    小作人の実力養成が先
    借金の肩代わり
    二年で年貢の未納はゼロに
    今後は大澤家の分度を立て、自覚を持たせて村民全体で成し遂げる
    分度は三十パーセント。
    慈悲復興から報徳復興へ
    大澤氏の五男 福住正兄
    二宮翁夜話

    大磯の仕法
    川崎屋
    仙台通宝
    孫右衛門の留守に約束
    打ちこわし、投獄、暴風、火災、妻の死
    孫右衛門の妹 嫁入り道具を売って支援
    至誠天に通ず
    孫右衛門も行動を反省、釈放
    自分の罪も反省せず
    善の種をまけば善が実り、悪の種をまけば悪が実る。
    五百両は町内に差し出します。うまくいかなければ五百両を弁償いたします。
    孫右衛門に対する町民の態度は一変。

    韮山の仕法
    江川代官
    古金銀引替
    小田原と孫右衛門からの報徳金で危機を脱出
    彌次右衛門の死去で返済が遅延

    下館藩の復興事業
    人口減少、年貢減少、借金増加
    大名としての任務を怠ったから
    衣笠兵太夫
    陰極まれば一陽来復
    石川総貨
    藩主の努めは仁政
    分度:過去十年間の租税の平均値
    借金:元金、利息の調査
    経費削減
    桜町、商人、本家からの資金調達
    上牧家老の俸禄辞退、桜町から扶助米
    自発的減俸の広がり
    苦しさに耐えかねて、反対者
    経費削減できない
    改善とともに問題
    減俸復元
    報徳金返済の遅れ
    門弟の富田高慶
    金次郎の長女文子と結婚
    報徳結社

    相馬藩の復興事業
    国の衰亡の原因は重税にある
    借金、田畑の荒廃
    相馬益胤藩主
    草野正辰
    池田胤直
    相馬充胤
    富田高慶:斎藤嘉隆の次男
    心痛と苦学のために病となる
    学問をするのは国を救うため
    金次郎への入門
    豆という字に馬はそっぽ
    報徳の豆は真実の豆。
    机上の学問は実社会では役立たない。
    入門の許可
    四大高弟の筆頭
    藩の復興は難事業
    藩主や家老が本気でないと成功しない。
    草野正辰の訪問
    政治を要約すれば、取ることと施すこと。
    施すことを優先すれば、栄える
    荒地をもって荒地を開墾する。
    貧国の中で財を生み、それによって富国とする。
    富国方法書
    過去188年の記録
    円相
    六十年を一周期
    為政鑑土台帳
    報徳仕法は、よい者をほめ、よくない者にこれをならわせるやり方
    「直きを挙げて諸(これ)を枉(まが)れるに錯(お)けば、能く枉れる者をして直からしむ。」
    「正しい人を引き上げて曲がった人の上におけば、曲った人を正しくさせることができる」
    最初の村を選ぶ時は、他の見本となるところを選ぶべきである。
    最初に手がける村は、復興する価値が高く、経済的効果の高い村から選ぶべき。
    復興を遅らせ、熱意を待つ。
    高野丹吾
    成田村、坪田村の復興
    表彰と修繕を投票で決める
    正月二日から仕事に打ち込む
    村民自らが積極的に動かなければ駄目
    大井村、塚原村の復興
    最初の村を徹底的に復興した後、他に着手すべき
    第一期九カ村はそれぞれ良好に完了
    十年間、分度を守ったのは相馬公のみ
    草野正辰、池田胤直が死去
    第二期九十三カ村
    第三期は明治維新で中止
    金次郎は一度も相馬へ行かないまま
    斎藤高行
    廃藩置県後、武士の帰農を進めた
    興復社
    二宮尊親
    六十年間の分度を確立

    幕臣への登用
    尊徳 たかのり
    岡本近江守
    水野忠邦との対面
    小田原藩の反対による中止
    藩の復興から手を引く
    利根川の治水、印旛沼からの運河
    房総沖の貨物輸送の難所
    黒船から食糧輸送を守る
    農村復興との両立が必要
    元金を減らさずに工事を進める金次郎独得の正攻法の報徳仕法
    水野忠邦は一、二年で完成させたい
    金次郎の案は不採用
    わざと採用されない案を出した金次郎
    水野忠邦の失脚とともに中止
    小田原藩の後押しで、金次郎は罷免されず
    小田原藩にとっては金次郎に帰ってきてほしくない
    分度をしたくない
    報徳仕法を守るため
    大生郷村の復興
    大地主久馬、代官の反対
    七年後も失敗
    真岡、東郷、小名浜
    日光神領
    仕法の標準書作り
    江戸の大火
    衣服、家財の全焼
    二年三ヶ月で富国方法書にまとめる
    一両の元金で土地を開発すれば、六十年で莫大な開発ができる
    幕府の反応は鈍く、実現されたのは七年後。

    再びの真岡
    政情が騒然
    費用不足
    役人の入れ替え
    新田開発
    役人たちの反抗
    時節の来るのを待つしかない
    東郷陣屋への移転
    棹が島村の復興
    復興事業の初期投資について、必要なものは惜しまない。
    二年で立ち直る
    ただ資金が問題
    永安方法
    花田村
    石那田村、徳次郎村の用水問題も解決
    大原幽学
    小田原復帰 墓参り
    箱根湯本に桜三千本
    長男彌太郎の結婚
    長女の結婚

    日光神領開発事業
    長女文子の死亡
    倒れてのち止むの精神
    芋を作った百姓の苦労を思うと、皮でも捨てることができない。
    金次郎は極めて清廉
    反物、菓子折りは受け取らず、野菜は喜んで受け取った。
    大事な物事は、その時機を捉えないと、成功しない。
    膨大な資金の調達
    余剰金が出ない
    将軍の分度は決められない
    相馬藩からの献金
    下石田報徳社 庄七
    報徳運動
    遠州報徳七人衆
    岡田佐平治
    岡田良一郎
    蝦夷地開発下命

    大推譲
    孫 金之丞
    自分の生涯の業績は、人々の心の中に残るのであり、世の中に残るのである。
    報徳記

  • 至誠・勤勉・分度・推譲の実行が報徳の生き方。
    二宮金次郎の生涯を通じての報徳精神が伝わります。

  • 「至誠 勤労 分度 推譲」

  • 二宮金次郎といえば、その昔はどこの小学校にもあった薪を背負って本を読みながら歩いている少年の銅像のイメージしかなかったので、報徳運動と呼ばれる農村復興のことや、金次郎の滅私奉公(まさに公儀に奉仕する)の至誠、身体も精神も大きかったことなどを、この本を通じて初めて知った。
    勤労、分度、推譲、積小為大、一円観といった尊徳の思想、困窮に対する仁政など、エピソードから理解できた。
    二宮尊徳の人生全体を語るには本書の体裁になるのかもしれないが、その偉大さを伝えるにはもっとコンパクトな方がよいと感じた。
    09-80

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三戸岡道夫の作品

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